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暁の薔薇の伝説~ゲームの始まる前に滅亡した国の王女に転生したので回避したいと思います~  作者: えとう蜜夏
第一章 覚醒編

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十二 魔力感知とは

 翌日は刺繍や礼儀作法に国史などのお勉強をしていた。魔術の勉強は暫く先送りになったので、マドラやダンカン卿と顔を合わせることはなかった。


「姫様の為に礼拝堂に新しい魔術の司祭様が来られるのですね。楽しみですね」


 アナベルが楽しそうに話しかける。今日は天気が良いので客間から続くベランダでお茶を頂くことにしたので準備をしてくれている。


「ええ、魔力感知と術を教えていただけるのよ。嬉しいわ」


 正直これ以上、マドラとかダンカン卿の顔を見なくていいのでほっとする。アナベルと他の侍女達がいそいそとお茶会の用意をしようと部屋を出入りしていた。今側にいる護衛はバルドだけだった。


「リルア様が魔力感知を学ぶのですか?」


「そうなのよ。普通の人は命名式のときにしているのにね」


 私が魔力量が多いことは周囲には伏せることになっている。まだ封印は全て解いてないと言われているし、最終どのくらいになるのだろう。これで脆弱王女は脱出できるはず。


「……私でも魔力感知をお教えすることはできます。魔力感知は互いの魔力を通しあうことですから」


「え?」


 ベランダで立つ私にバルドが近づいて私の両手を取った。正面で見合う形になって手を握り合わせてきた。掌をお互いに合わせて指を絡める。


 ――これって、こ、こ、親しい人しかやっちゃあいけないやつではないですか?


「リルア様、目を閉じて」


 バルドの綺麗な澄んだ青銀の瞳が目の前にあって、イケメン眼福などという言葉が脳裏に浮かぶけれど、バルドの言われるがままに目を閉じた。


 すると右手の掌が熱く感じてバルドからの何か変な熱を感じる。そのままその熱は体の中を通り抜け、左手の方まで電流のようなものが走り抜けたのが分かった。


「は、ふにゃ」


 膝が、がっくんなってバルドの胸に倒れ込んでしまった。体の力が抜けてそのままバルドに体重を預ける形になっている。バルドの体温を頬に感じながら、自分の中を廻っている魔力を感じ、次に寄り添うバルドの魔力を感じた。


「ば、バルド……。何をして」


 ――魔力感知ってこんなものだったの。これって……。


「ああ、リルア様の魔力は暖かく優しいですね。あまり、誰とでもこのような魔力の交流をなさらないでくださいね」


「わ、わか、分かりましたわ。このようなものとは知りませんでしたの……」


「司祭様方はお仕事ですから仕方ありませんが、あまり良い気はしませんので」


 ……それって、バルドがですか?


 いい加減バルドから離れようにも足とか膝ががくがくしているので難しい。


「まああ! 姫様、どうしましたか? お加減が悪いのですか?」


「どうやら、魔力酔いをなさっているようです」


「あ、ああ、大神殿に行かれましたものね。慣れるまでは暫くは仕方ないですもの」


 アナベルは神殿で魔力感知まで終わっていると思っているようだった。普通はそうだもんね。


 お茶の用意が整ったので、バルドに抱え上げられるように用意されていた椅子に座らせてもらった。


「さあ、姫様のお好きな茶葉です。それと焼き立てのビスケットですよ」


 暖かいお茶で生き返った。バルドを見遣るといつも以上に真剣な顔をしてこちらを見ていた。視線が合うとやはり先程のことを思い出してしまい、慌ててもう一枚、ビスケットに手を伸ばした。


 美味しいはずのビスケットが喉が通らない。どうしてくれるの。


 今までは気にしていなかったけれどバルドってちょっとヤンデレの気があるんじゃないの? 公式設定ではどうなの。でも、そもそもバルドは薔薇伝には出てこないし。


 こうしていると自分以外の他の人の魔力で存在を感じることができるようになった。その人の位置まで分かるようになったので便利なような、どうなのかしらね。それにしてもバルドのあれは一体……。




 数日後にファルクが城の礼拝堂に配置になったらしく、挨拶を兼ねての授業が始まった。相変わらずの美形で銀髪を背中で束ねた姿は本当に氷の彫像のよう。


「では王女様。早速練習いたしましょう」


「はい。よろしくお願いしますね。ファルク先生」


「せ、……こほん。始めます」


 何故か、ファルクの頬が少し赤くなっていた。心なしか口元も微笑んでいるような。


 ――これでいよいよ私もライトボールとか癒しの水とか使うことができるのね。目指せ魔法剣士。最終決戦までに絶対にカンストしてみせるわ。


「と言いたいところですが、王女様は先ず魔力感知を開かないとなりません。普通は命名式の際に神殿で魔力の選別が行われ、幼少期には魔力を無意識に使いこなすことによって慣れるのですが、王女様は魔力を封印されており、そういったことが一切ない状況です。だから、日常生活に馴染めるように……、ん? まさか」


 ――普通はそうみたいね。だから、これから挽回しなくっちゃ。そして次の封印も解いてもらわないとね。私はエイリー・グレーネの最強魔法剣士になってみせるの。


「……どうやら、魔力感知が出来るようになっていますね? 司祭長様がされてましたっけ」


「あ、えっと。まあそうでしたかしらね」


 まさか、バルドがしたとか言えず曖昧にぼやかしてみせた。一般の護衛騎士見習いがそういうことをしていいのか知らないもの。バルドが罰せられるのは困る。バルドはちょっとヤンデレ系の片鱗を見せたけれど小さい頃からずっと一緒で家族のようなものだもの。


「……まあ、いいでしょう。では、先ず魔力感知の範囲や精度を深めて、コントロールをできるようにしましょう。内なる自分の魔力はどうであるか見つめていくのです」


 ――うふぁ。それってなんだか座禅修行みたいなものかしら? 自分の内面と向き合ってとか魔力って、やっぱり難しそうね。


 そもそもゲームの公式ではリルアは初期魔法のみしか取得できなかったからどうなるのかしら?

お読みいただきありがとうございます。

さて、今日のやらかしは、

「これって全年齢で大丈夫かな? ついついいつもの癖が出る」でした。

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