初の防具がショボすぎる!?
「アハハハッ!!」
「ちょっと、かわいそうよペティ」
「そうだよ……」
会計中の僕の背後で爆笑するペティ。レジカウンターにはペティが羅針盤と呼んでいたコンパスと地図、そしてうすっぺらいメリケンサックのような頼りない武器が置かれていた。
そう、1500ギルグでは、まともな武器も防具も買えなかったのである。
「えーっと、羅針盤と地図が一点、これはーーーーあぁ、ハンドアーマーですね。計1490ギルグになります」
早くも財産がほぼ底を尽きた。というか店主ですら一瞬考えないとわからない商品ってなんだ。売れ残りか? 在庫処分品なのか? しかもハンド”アーマー”って……。
店を出てからペティに教わった手順でステータスを確認すると、
『ハンドアーマー 防具 アビリティ:打撃耐性、防御力小UP 説明:打撃系の武器としても使える』
「ーーーー防具じゃねぇか!!」
「アハハハッ!!」
ペティはまだ笑っていた。
なんだこの夢がなさすぎるRPGは。確かに最初はおなべのふたや木の棒といった武器とすら言えるのか謎なものが定番だが、それはあくまでも初期装備であって、ショップに行けば一通りまともな武器防具をそろえられるのがお約束なはずだ。それがまさか、
「……メリケンサックだけとかマジかよ」
「アハハハ!!」
しかも買えたのは片っぽだけで、利き手じゃない左手はもはや素手だ。金属製とはいえ、もっとマシなものはなかったんだろうか。
「おい! いつまで笑ってんだよ!!」
「アハハ、ごめんごめん、だって、あんまりにも面白くて。さっきまであんなに喜んでたのに、ハンドアーマーって。武器ですらないじゃん。ふふふっ」
笑いすぎて涙目になるペティ。イアンとマードラもこらえきれずにくすくす笑っていた。
「ま、とにかくさ、これで一応、戦える武器? もそろったし、行こうよ」
「バカにしてるだろ!」
「アハハハッ!!」