初の武器屋がショボすぎる!?
「ふーん、旅人かぁ。珍しいね。ペティでいいよ、よろしくぅ」
言いながらまっさきに手を指しのべてきた女の子が、見習い剣士のペティ。見事な赤色の髪に、水着のような赤いアーマー、腰には短剣をぶらさげていた。
「よろしくお願いします、マードラです」
続いてぺこりと軽めのお辞儀をしてきた紺色の髪の女の子が、ヒーラーのマードラ。白い大きめのワンピースに似た服に、ペンのようなサイズの小枝のような杖?を腰のベルトにさしていた。
「あの、イアン、です」
最後に二人の間に隠れながら顔を出した黒髪の少年が、見習い魔法使いのイアンらしい。灰色のローブをまとっていて、こちらは腰ではなく背中から大型の杖をギターのように背負っているようだ。目が隠れるほど伸びた長い前髪とおどおどした様子から、見るからに引っ込み思案といった感じだ。
「えっと、旅人のアキヒトです。討伐? クエストとか、よくわからなくて、どうしたらいいのか……」
「ふーん。なるほど、はじめてなんだ」
ペティが興味津々といった感じでのぞきこんでくる。
「は、はい。まぁ」
あまりの距離の近さに一歩引き下がると、今度はなめるように上から下まで見つめられる。
半袖半ズボンというあまりにも浮いた格好に好奇の目を向けているといった様子はない。むしろ手ぶらなことに驚いているようだ。
「あの、武器は、何を?」
恐る恐るといった様子でマードラが聞いてくる。この子もおとなしめらしい。
「武器、あの、えっと、こういうのはじめてで、ホント何したらいいのか」
「大丈夫大丈夫、私たちも初心者ばっかりだから。とりあえず、ショップ行こっか」
「ショップ?」
道中、ペティが様々なことを教えてくれた。この町のこと、ショップのこと、初心者にオススメの武器、冒険者という職業や、そのシステムについてなどだ。
「ついたよ」
見上げると、RAIN・SHOPと書かれたネオンの看板があったが、壊れているのか光っていなかった。
「ちょっとボロいけど、その分安いから。とりあえず、羅針盤と地図は買っといた方がいいよ」
言いながらガラスの扉を開けるペティ。続いて中にはいる。
「おぉーお」
思わず、感嘆の声が漏れる。
そこにはまさしくRPGの世界が広がっていた。壁にかけられた物々しいハンマーや剣はとても手が届かないだろうが、そこらじゅうがゲームにでも出てきそうな武器や防具で埋め尽くされたこの空間でなら、欲しいものなどいくらでも手に入りそうだった。
「すげぇ、すげぇ!!」
「テンションあげあげって感じだね」
ペティの言葉にイアンとマードラがくすくす笑う。構うもんか。そのくらい僕の心は子供のように浮き足立っていた。もう二十歳超えてるけど。
「で、何が良い?」