決戦の刻
魔王月詠──魔王と呼ばれてはいるが元々伊邪那美命と伊邪那岐命の子供とされる《神》だ。
では何故月詠は魔王なのか?
その謎はこの世界インヴァースを創り出したのが伊邪那美命だからだ。
そしてこの世界は全てが逆に出来ている。その方向性には意図があるが全てが決まっているわけではなかった。しかし唯一決まっていた事がある。《殺されたはずの加具土命が生きる為の世界》ということだ。
伊邪那美命と伊邪那岐命の子加具土命。
炎の神として産まれたが産道を通る際に伊邪那美命の産道を焼き爛らせ死に至らしめてしまった。それに激怒した伊邪那岐命がこの世に生を受けた瞬間に殺したのだ。
黄泉の国に行った伊邪那美命は加具土命も来たことを知り哀れんだ。そして伊邪那岐命が伊邪那美命をこの世に助け出さんとする時に思いついたのだ。
加具土命が安心して過ごせる世界を創造しようと──
月詠──彼もまた二人の子供だったが普通の親子として愛されて育った。そこが加具土命とは違う所だろう。
この世界に《加具土命》以外の因子は全て悪でも良かった。せめてもの償いとして創った世界。しかしそのインヴァースを利用しようとしたものがいたのだ。
それこそが《安倍晴明》だ。
安倍晴明は陰陽師としての名声を得たがそれは50を過ぎてからの事。陰陽師としての寿命は短く現世に未練があった。
未練それは──
鬼の討伐──
英雄としての地位──
そして最終的には世界を統べる王になることだった。
なのにこの世界では《鬼は勇者》だった。
それを何とか元勇者と改変し討伐の対象とした。鬼たちは安倍晴明に明確な敵意を持ち討伐しようとした。しかし使役する式神たちによってそれは叶わなかった。
そこへ何も知らない火神達がやって来たのだ。と言っても八岐大蛇を呼んだのは安倍晴明だ。ついでに来た少年火神が《加具土命の魂》を宿すことになるなんて知る由もなかったのだ。
「くひひひひ…漸く餌がやってきたか。朱雀。青龍。玄武。白虎よ。計画通りにな?」
『『『『御意』』』』
ここはガンジャ深部──安倍晴明の根城だ。
「魔王月詠、魔王伊邪那美、魔王伊邪那岐、魔王天照。この4大魔王とあと2人は……くひひひひ……面白くなってきたぞ?」
あと2人の魔王──
それは仏陀と基督だ──
全てを超越した神々が魔王。素戔嗚尊は敗れてしまった。まぁ人に最も近い神だったからだ。天照や月詠も殺られるかもしれない。しかし仏陀と基督は絶対神だ負けるはずはない。加具土命の生まれ変わりと言え勝てるはずのない全知全能の神なのだ。たかだか日本の創造神に殺されるような駄神では無いと安倍晴明は信じてやまなかった。
安倍晴明の計画は着々と進んでいく。
朱雀、青龍、玄武、白虎の式神たちは最もその力が発揮出来る様に世界に散り散りになっている分霊を回収した。
そしてその身を琥珀で作られた《器》に宿した。
炎の鳥フェニックスを象った朱雀
水龍を象った青龍
巨大な亀を象った玄武
白毛の虎を象った白虎
式神たちは安倍晴明の用意した《器》の力によって具現化に成功したのだ。最強の式神として。
安倍晴明と式神たちが計画を実行している間に火神達が全ての地獄を制覇するとも知らずに。
お待たせしてすみません。
現在他に書いている作品に時間を取られ更新頻度が落ちています。申し訳ありません。
最後までお付き合い頂けると幸いです。




