インヴァースの秘密
アルマゲドンが絶技《死への鎮魂歌》を発動。
世界は崩壊を始める。
突然耳にした歌に酔いしれるように目を瞑る。
数秒後には目玉が裏側にひっくり返る。
体はブルブルと突然震え始め、鼻から赤い液体が垂れたかと思えば次の瞬間、膝から崩れ落ち顔面から地面に突っ込む。
この現象は神殿を中心に全世界で見られた。
まずは1番近い商業都市ムリフェンと港町バーナード。
次々と倒れる人々。
まさに地獄絵図だった。
たまたま地下に居た人は助かったが突然すぎる殺戮に戸惑う間もなく死んでいく。
実は地面に突っ込んだ時点ではまだ生きている。
そのまま数時間《死への鎮魂歌》に晒され続ける事で脳内破壊が起き死に至るのだ。
スキル《サイレント》や《超音波耐性》を持つ人だけは無事だった。
このスキルは比較的下位ランクの冒険者たちも所持している。
スキルは魔物を倒すと稀に獲得することがある。
中でも《超音波耐性》は比較的簡単に討伐出来る蝙蝠を倒すと得られる。
冒険者たちはダンジョンや洞窟といった暗い場所に行くことも多く、蝙蝠の魔物とはそれなりにエンカウントする。
その結果冒険者たちは《超音波耐性》のスキルの所持率が高いのだ。
しかし超音波耐性がある建物など存在しない。
超時間超音波に曝され続けると建造物は浸食性の破壊が始まる。
途中超音波が一瞬でも中断された場合は破壊されることは無い。
アルマゲドンが使った絶技《死への鎮魂歌》は永続的な鎮魂歌を発動者が辞めろと言うまで近くに存在している地縛霊達が奏でる。
もしくは地縛霊の霊的エネルギーがこと切れるまで続くのだ。
アルマゲドンは意図していないが世界中では静かなる破壊と殺戮が行われていた。
~~~
「ここは、、、どこだろうね?まぁ多分ガンジャなんだろうけど、、、」
火神は足元に注意しながら切り立った岩山から地上へと降りていく。
スキル《飛行》が発動しなかったからである。
ここでは移動系スキルに対する制限があるようだった。
召喚術や加具土命に由来する技は使えた事がせめてもの救いだ。
オロチ丸はと言うと、、、
いつも通りだった。小さい蛇そのまんまである。俺の胸でゴソゴソしている。時々顔を出す仕草が可愛らしい。
ガンジャには特に高い6つの岩山があった。
小高になった岩山は規則正しく円形に並び、意図して作られたかの様である。
岩山を直線で繋ぐと六芒星となるから不思議だ。
俺たちは地上に降りた。周囲を見渡すとガンジャ中心にとてつもなく大きな岩が鎮座する。何かを守っているかの様だった。
更に注意深く周囲を見ると小高い岩山には文字が書いてあった。
炎地獄、水地獄、岩地獄、氷地獄、闇地獄、聖地獄と書かれていた。
ともあれ地獄とは物騒である。
地獄それすなわち、、、地上で受ける何倍もの厳しい苦を与えられる場所。
逃げることも坑がう事も不可能な世界。
それが地獄だ。
黄泉とは似て非なるものだ。
死者の国、、、黄泉。
それは現世とは近くそして限りなく遠い世界。
現世の人間が最も簡単に行ける異世界だろう。
此処インヴァースは逆転異世界だった。
誰もが気づかない、決して気づくことがない矛盾に今アルマゲドンが意図せぬ破壊と殺戮で破滅に向かう。
かたや火神達はインヴァースの中心。
鏡による逆転も回転も意味をなさない地にいる。
彼らはまだ知らない。
蛇使い座の中心に居ることを。




