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ウーラニアの力

火神達は女神ウーラニアが住まう神殿を目指す。

とは言ってもアルマゲドンにかかれば僅か一日で着く距離だ。


「相変わらずアルマゲドンは速いねぇ!楽だし!いつもありがとう!」


火神はアルマゲドンの背中をポンポンと手で撫でると急に軌道が上昇する。

明らかな暴走である。


「アルマゲドン?このまま行ったら空気が薄くなっちゃうよ!」


火神は焦った口調でアルマゲドンに話しかける。


『す、すみません、、、火神様に撫でられてつい嬉しくて、、、』


アルマゲドンがいつになくしをらしい。


「撫でられたら嬉しいの?じゃあいくらでも撫でてあげるから速く快適に飛んでね?」


火神の無茶振りである。


『は!はい!!!頑張ります!!!』

しかしアルマゲドンには効果覿面だったようだ。


先程までの速度でも一日で着く速度だったが今の速度はそれを軽く凌駕している。

海上では激しい水飛沫が上がり、森では木々が風圧に耐えかね次々となぎ倒されていく。

それも上空200メートル付近を飛んでいるのにだ。


時々見えるワイバーンや飛龍の群れもその速度に驚きを隠せないようだった。

一目散に森や岩山に逃げ込む姿は滑稽だ。


「はやーい!流石アルマゲドン!」


褒めれば褒めるほど速度を上げていく。

火神達は結界によって保護されている為に安全快適な空の旅だが、地上の人からすれば鎌鼬が横切ったとしか思えなかった。

それも上空200メートルの場所で発生している為に空からの衝撃波だ。

逃げる術はない。


一応街や城の近辺は飛ばないようにお願いすると『わかった!かがみんの仰せのままに!』と言っていたので平気だろう。


それにしても早かった。衝撃波が出るのだから超音速以上の速さなのだ。

いとも簡単に半日で神殿に着いてしまった。

アルマゲドンは到着と同時に人サイズに変化する。


「アルマゲドン急いでくれてありがとう!」


火神が礼を言いハグをするとアルマゲドンは顔を赤らめふにゃふにゃになった。

火神を好きすぎるのにも困ったものである。


神殿は前来た時と変わらず厳かにそこに佇む。

ギリシア神話通りの神殿だ。

白を基調とした石で出来た建物。

亀裂ひとつ、塵ひとつも無い異質な存在。

卓越した職人たちが作ったであろう過去の遺物だ。


以前ここに来た時は直ぐに此処を去った。

それは目的を達すること無く終わってしまったからだ。

当初の目的はウーラニアの眼鏡を得ることだった。

しかし一言二言会話すると踵を返してウーラニアは去った。俺に加護を与えて。


それから俺は《予知夢》を見ることが出来るようになった。

本人はまだ気づいていないが予知夢が本来の力では無い。

《未来視》と《女神の力》が合わさった《都合のいい未来改変》である。

これまでこの力の使い方を知りえなかった火神は使い方を誤っていた。

いや。正しく使えていなかった。


今までも深層心理の中で『こうなってくれたらいいな、、、』と考えた事が現実のものとなっていた。

まぁ意図して正しく使えなかっただけで使っていなかった訳では無いのだ。

今までも探し人が見つかったり、上手く事が好転したりしていた。

それは《都合のいい未来改変》の能力から来るものだったのだ。


しかしこの女神の恩恵も加護も無限ではないし、彼女の力の範疇を超えたものを変えることは叶わない。

特にこの世界のモノで無い存在に関する女神の干渉。これは禁忌とされる。

それは全知全能の神のみの権限だ。

侵してはならない領域なのだ。


そんな噂や神話を今まで旅してきた街や国で見聞きしてきた。

分かっているつもりだった。

ウーラニアから直接聞くまでは。


『また来たのですね。異世界人の坊や。』


「はい。来ちゃいました。あはは。」


前回あった時はスカしてしまいウーラニアの眼鏡を得ることが出来なかった。

今回は人命がかかっている。失敗出来ないのだ。


「女神様。お願いがあってきました。」


『神は全能故に非情である。女神は神が取りこぼした数多ある哀しみを救う。それだけが盟約。して汝は何を望む?』


「俺は操られ誘拐された優鉢羅を救いたい。それは俺の仲間総意の願いなんです。どうかお願いです。救ってくれとは言いません。ガンジャ迄の道を示して下さい。俺達にはその術が分からず困っているのです。」


『では女神の力を使いなさい。話はそれだけですか?ではこれにて、、、』


「ちょ、ちょっと!女神の力って、、、」


目の前に出現したウーラニアは煙のように去っていく。その姿を追うことはできない。


「女神の力ってなんなんだよ、、、」

火神がそうボヤいた時だった。


目が熱くなる。目の中が。眼球が飛び出そうなほど熱い。

思わず両手で顔を覆ってしまった。

心配そうに裟伽羅とアルマゲドンが声をかけるが火神には届かない。


うわぁぁぁぁあぁぁああああーーー


突然起こった体の変化に俺は地面をのたうち回った。

顔面を掻きむしり皮膚が破れ血が滲む。


ふぅふぅふぅ、、、少し落ち着いてきた。


漸く周囲の状況が分かってきた。


え?皆は?裟伽羅は?アルマゲドンは?


火神は切り立つ岩山が犇めき合う岩肌に何故か立っていた。

オロチ丸とたった2人で。

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