火神変態扱いされる
ドサリと大きな音を立てて崩れるように倒れた八岐大蛇もといオロチ丸。
その体はみるみる小型化し当初会った時程の大きさになっていた。
しかし全ての頭の片目は潰れ空洞が空いている。
首を象っていた鬼の顔や子供たちの体や服は消え去り元の姿になっている。
どうやら幻影だったようだ。
体はボロボロで息も絶え絶えである。
火神は八岐大蛇に素早く近づくとオロチ丸に接するように声をかける。
「大丈夫?オロチ丸?こうするしか無かったんだ、、、」
意識のないオロチ丸の空洞になった目にそっと手をかける。
「ごめんな、、、治るかどうか分からないけど、、、転生の炎リーインカーネーション」
優しい炎がオロチ丸が包む。それは転生の炎。
不死鳥が転生する時に用いる魔法それがリーインカーネーションだ。
地獄の業火に包まれているのに何も燃えることなく、されど炎は止むことは無い。
やがて八岐大蛇の体は燃えることなく鱗がボロボロと剥がれ始め、全てがキラキラと崩れ去る。
サラサラと大量のキラキラと光る砂が床に溜まる。
山になった砂の中には何やら蠢くものが。
大きさにして拳大の蠢くもの。
それはまるでマスコットキャラクターかのように可愛らしいオロチ丸であった。
首は極端に短く頭がキョドキョドと効果音を発しながら動く。
体は丸みを帯びて短足。
火神の大好きなフォルムである。
火神はキラキラな砂の中からオロチ丸を抱えあげるとぎゅっと抱きしめる。
「オロチ丸!おかえり!もう、、、大丈夫?一応治ったと思うんだけど、、、」
『キュキューーキュッキュー!?キューーー』
どうやら言語を話せなくなったようである。
驚いた顔をしたオロチ丸は小さく口をあける。
するとマッチの炎が。除菌スプレーが。水のミストが。砂のシャワーが少量出た。
どうやら技を試したかったようだ。
途轍も無く威力の弱いブレスの数々に頭を下げて凹むオロチ丸。
しかしその様子も可愛かったのか火神は更に強く抱きしめる。
「また1から強くなろうよ!俺と一緒に!ね?」
より強い力でハグをされ《けふん》と息を吐く。
「ああ!ごめんごめん、、、ついつい、、、アルマゲドン?そろそろ帰ろうか?」
「はい。帰りましょう。では僕にお乗り下さい!」
アルマゲドンはそこそこの大きさまで縮むと火神を背中に乗せる。
オロチ丸は火神の股間の上にちょこんと乗っている。
オロチ丸は少し顔が赤くなっていた。
勿論オロチ丸のブレスによって全裸。
どうやら精神的には幼くなっていないようだ。
対して火神はホッコリした顔で満足気。
オロチ丸が小さくなるという予想外の出来事が起こるも無事に救出成功した一行は難陀、ウロボロス、裟伽羅、クラがいるイェド・プリオルに戻ることにした。
アルマゲドンが飛行すること数分。
たった3キロの道のりはあっという間だった。
火神達はフォーゼ宅に急いだ。
古代龍や八岐大蛇との戦闘で時間がかかり日が傾いてきたのだ。
日が傾くまでには帰ると難陀達に伝えたのだ。
そしてもし帰らなければ次の手を打つ必要があると。
その作戦を実行されては不味いのだ。
火神達は街ゆく人々を避けながら全力でフォーゼ宅を目指した。
時には馬車の上を飛び人の股をくぐる。
街の人々には旋風のひとつにも思える速度だった。
フォーゼ宅に到着すると籠の中にアンが入ろうとしていた。
グリード氏とルイーゼ夫人がアンとの別れを惜しんでいた。
「ううん、、、お父様お母様。私はこの家に生まれて幸せでした。そんな顔をしないで?」
「「アン、、、何もしてあげられない私たちを許してぇ、、、、」」
涙のお別れである。
「あ、、、あのぅ、、、火神です。今帰りました。」
「「「えっ!?」」」
『ほら!火神様に任せておけば大丈夫なのよ!』
『さすが師匠。まぁ当たり前だが。』
『火神様、、、私のせいで、、、すみません、、、』
『さすが我が主!加具土命様にかかれば不可能なことなどないのだ!』
先程までの狼狽え様を火神は知らないが散々なものであった。
アンとグリード夫妻はポカンとした表情になり涙も止まっていた。
恰も何も無かったのような雰囲気で無事を喜ぶ火神達。
あえて言うなら火神は服を着てない。オロチ丸のブレスで塵と化したからである。
混乱していた状況が落ち着くと火神が全裸であることに全員が気づく。
「「「、、、火神様、、、その格好は、、、?」」」
キャーーーーーーー
フォーゼ宅に女性陣の悲鳴が鳴り響いたのだった。




