表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/104

オロチ丸の過去

ふっふっふ

若い娘の臭いがするな。

そろそろ約束の10日だ。

よもや約束を違えたならば街を焦土に変えてやろうかと思っておったが、、、

此処の人間は物分りがいいのか臆病なのか従順でやり易いわい。

オロチ丸改め八岐大蛇である。

彼女はオソラカンの山頂にある洞窟に身を顰めていた。


今日は少女を喰らえる日。

そう思うとオロチ丸は心が踊るのだった。

かつて姫たちを食べ漁り酒池肉林の限りを尽くした黄金時代。

その時を彷彿とさせる《少女の肉》が喰らえるのだ。

記憶の改竄を施されたオロチ丸は勘違いしていたがその事には気づいていない。


「楽しみじゃのぉ?楽しみじゃのぉ?早うぉ来い。くっくっくっ苦しみに歪む顔も見たいのぉ。」

最早《妖》の類である。

現在オロチ丸の体は4本の頭部に8本の尻尾。

カラフルに染められていた頭部は全て深い土留色。

そしてくすんだ目の色も特徴的であった。

4つの頭部の目には朱・青・玄・白の文字が血のような紅で刻み込まれている。


4本の頭を奪われた原因。

それは安倍晴明が伝説の魔獣《八岐大蛇》を操り配下にする事。

彼の目的はまだ誰も知らない。式神達ですら。


彼には仲間と呼べる存在はいない。

代わりに魑魅魍魎を操る妖術を使う。

陰陽師であるのにだ。


魑魅魍魎を退治する存在だった陰陽師一族だった安倍家は安倍晴明によって衰退する。

40歳を超えても大した実績も能力も安倍晴明には無かった。

そしてお家断絶状態となる。


父の名は阿部保名。

有名な陰陽師であった。そして厳格な父親でもあった。

安倍晴明は幼少期よりその無能さ故に、保名に貶され続けた。蔑まれた。そして壊れたのだ。


陰陽師とは。魑魅魍魎とは。そして、、、人間とは何なのか理解に苦しむようになる。

それぞれが持つ役割。

安倍晴明は必死に考えた。


そして答えは、、、


人間も魑魅魍魎も同じ。同類。


《自分以外である》と。


それから安倍晴明は自分以外の存在が意のままに操れるように行動することになった。

時には不動明王を呼び起こし、時には蠅王を復活させ利用したこともあった。

しかし過去の魔王や神々を利用するには限度があった。


時間制限や能力制限である。

不動明王を操る満足感はあったがたった10分しか使役出来なかった。

神々や魔王の体を維持することが難しかったのだ。

更には対価として払われる魔力や妖力。

貢物として使った生贄の数々。

その労力に見合わなかったのだ。


ある日安倍晴明は天照大御神を呼び起こした。

そして天照大御神によって神託が下った。


《八岐大蛇に神を魔王を降ろせ。さすればそなたの願いは叶えられん》と。


こうして狂ったように八岐大蛇を捕まえる日々が始まったのだ。


そして漸く安倍晴明の願いが叶った。


妖に堕ちてしまった安倍晴明は山田神社に入れなかった。

その時たまたま通りかかった火神に声を掛けたのだ。そして蛇石を破壊した。封印の解けた八岐大蛇はかつて封印された時のまま《穏やかな性格》であった。


八岐大蛇は永き時を生き、捕食する食料が人に変わった。知能のあった彼女は嘆いた。

生きるためには《人》を喰らわなければならない。


だが八岐大蛇は人が好きだった。だからこそ嘆いた。


はるか昔のこと。ヤツハカという部落に山田辰明という老人が1人で住んでいた。

70を超えた辰明は身寄りもなくたった1人で部落の最北端に人と隔離された小さく汚い小屋でひっそりと自給自足の生活をしていた。そこに迷い込んだ幼き日の八岐大蛇。まだ茶色いただの蛇。ヤマカガシである。

ヤマカガシとは日本で(マムシ)に次ぎ毒蛇として有名だ。


幼き日の八岐大蛇は恐怖した。

畑で鍬を持った辰明に。殺されると恐怖した。

この時既に自我があり知性的だった八岐大蛇は不可解な行動にでる。

蛇とはそもそも臆病な生き物である。

毒性の強い者=弱いものが強者に坑がう為に得た進化の辿った結果。

なのに八岐大蛇は自らの毒腺を放棄した。

自らの牙を折って。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ