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オロチ丸の陰謀

イェド・プリオルに到着した火神は予知夢で見た内容とは異なり平和そうであった。

街ゆく人々が怯えている様子もなくただ平和そのもの。そう感じられた。

それはただの住民であれば。


~~~


私の名前はアン・フォーゼ

イェド・プリオルの太守を任されるグリード・フォーゼの娘なの。


まだ未成熟な彼女は身長120センチ体重20キロそこそこで痩せ型体型。茶髪を三つ編みし顔にはそばかすが残る。まさに純朴という言葉が似つかわしい幼女である。


最近お父様とお母様が私が就寝に行ったあとに密談しているのを見かけてしまったの。

そして聞いてしまったの。


「あなた、、、どうすれば、、、」

「ルイーゼ、、、申し訳ない、、、私はなんて無力なんだ。娘が危機に瀕してるというのに何もしてやれないなんて、、、いっそギルドや王都へ討伐依頼してみるのも悪くないか?いや、、、怒りを買うとこの街が潰される、、、矢張り生贄しかないのか、、、」


そっか、、、そういうことなのね?、、、娘。生贄。

私にはまだ難しいことは分からないけれど、生贄の意味くらい分かるわ。

何かの貢物にされるということ。ただそれだけは。

私はまだ8歳だけど太守の娘。街の危機を守る太守の娘。

でも、、、生贄かぁ、、、食べられちゃうのかな?それとも虐げられる、、、?何にしても良いことではないようね。

だってここの所毎日お母様もお父様も泣いてらっしゃるもの。


アンはここ数日朝起きると両親の様子がおかしい事に気づいていた。


両親の目は赤く腫れあがり目元にはクマができている。明らかに泣き濡らしたと言った顔だ。


そして最近第1次反抗期が来たからか親に反抗的な態度を取っていたのだが朝起き抜けにハグされるようになったのだ。

そりゃ嫌でも異変に気づくよね。って思ったがなかなか理由は分からなかった。


しかし異変に気づいて5日目。

今日は寝る前に1杯の水を飲んでトイレに行かなかった影響で、夜トイレに行きたくなってしまったのだ。


そして二階から1階に降りた時に2人の話し声が聞こえてきた。

そのあまりの内容に私は驚愕してしまった。両親が打つ手が無いと嘆いていたのだ。

最早自分がどう足掻こうと無駄なことは明白だった。


アンは見た目や年齢以上に聡明で知に長けていた。

これから太守の仕事を覚えていこうとしていた矢先の出来事。

無惨にも彼女の未来は奪われようとしていたのだった。

たった一匹の龍によって。


ああ、、、なんて短い人生だったのだろうか。

私は好きな人も出来たことがない。趣味と呼べるものや特技も無い。何も無い人生だったなぁ。

まぁ唯一の救いは両親に愛されて生きてこれた事だろう。


離婚する親や暴力を振るう親もいる。

そんな中私はぬくぬくと育てられた。

父は言い方はキツいが後で後悔しているのを知っている。

私がどう思ってるかだとかをお母さんに聞いている姿を見て微笑ましかった。

そしてお母さんは兎に角優しかった。

とても美人の類では無いがコロコロよく笑うお母さん。

大好きだった。この笑顔が見られなくなるのは辛いが街の為に命を張ることを誇りに思う。本当は逃げ出したいくらいに怖い。


ああ、、、神様、、、どうして、、、こんなタイミングで、、、折角ならあと1日でも遅らせてくれてもいいじゃん、、、誕生日に生贄にされるなんてあんまりだよ、、、


そう。アンが生贄に指定された日は奇しくも9歳の誕生日だったのだ。

我らのオロチ丸、、、いや、、、八岐大蛇に喰われる日は着々と迫ってきていた。

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