難陀移動を始める
我が名は八岐大蛇である。
齢100年を超えたあたりから妖力を使える特殊な蛇の女王。まぁ見た目は蛇より龍に近く8つの頭と尻尾を持っている。
使える妖術は数千を超え、姿を変えることすら容易にこなす。
普段は人の目を欺くため人の形をしている。
幼い幼女ばかりに姿を変えるがそれには理由がある。
想像で姿を変えることは難易度が高く妖力も大量に使う。
下手に妖力を使い陰陽師に捕えられるなど阿呆のする事だ。
我が変容の術を使う時は《喰らった姫》を再現するのだ。
そう。我は好物でもある幼子の娘を14程喰らった。
村や城を脅し姫を喰らっては襲う土地を変える。
喰らうことに腹を満たす等の意味は無いが喰うと我が体が喜ぶのが解る。
だから喰らう。それだけの理由で。
それもあの日で止まってしまった。
我はある城に目をつけた。
その城には8人の姫がいると聞いた。
我はいつも通り城主を脅し次々と姫を喰った。1人2人とその城の姫は美しく甘美な味がしたことをハッキリと覚えている。
そして最後の8人目。
名を櫛名田姫と言った。
我は最後の生贄の日それはそれは大層楽しみにしていた。
櫛名田姫は末の子。1番若い10歳の姫と聞いた。
女の体は10歳を超えると肉が臭くなり不味い。
若く張りのある肉が我が体が最も喜び求める物であったのだ。
だが櫛名田姫を喰らうことは出来なかった。
《安倍晴明と4人の弟子》が我を騙し酒に酔わせた上に結界に閉じ込められた。
決壊には札を大量に張りやがって身動きすら出来なくなった。
そして8本の頭は4本程切られ焼かれた。
残りの4本の頭は何とか守っていたが、、、
、、、え?どうやって守ったのだ?
仲間も居なかったのに、、、?
結界の中に居たのに?、、、何故?
記憶が曖昧なのか、、、?
4本の頭は、、、?どうなったのか、、、?
わからない、、、わからない、、、わからない、、、、
あああああぁぁぁあああああああああぁぁー
ここでまたオロチ丸の意識は無くなる。
これは混濁したオロチ丸の脳内の出来事である。
~~~
我は何も出来なかった。
たった1人の、、、いや。たった1匹の蛇すら守れない龍王。
王と呼ばれることも恥ずかしく感じる。
難陀は結界を張って安心していたという事もなく注意深く警戒していた。
ただそれをもっていても安倍晴明の魔力が大きかったということだろう。
結界の破壊と隠蔽を同時に行いなおかつオロチ丸を誘拐する形跡さえ見つからない。
足跡ひとつも無いのである。
「完全に見失ったか、、、すみませぬ、、、カグツチ様、、、すまん、、、オロチ丸」
いくら悔いても悔い足りない。
あまりに無力。
しかし火神に会うことを優先に考えるべきと思考を転換させ奮起するもオロチ丸が居ないという喪失感に打ちひしがれそうだった。
「ちっ、、、我も仲間という存在に支えられていたという事、、、なのか?ふっ、、、居なくなってから分かるとは、、、つくづく情けないな、、、」
パンっと頬を叩く
「カグツチ様!待っていてください!全力で貴方様と合流し、我が身滅びようともオロチ丸を探し出します!まずは君主の無事が最優先!すまぬ。オロチ丸よ!」
そう言うと難陀は未だ全く荒らされていない森を疾走する。
そもそもオロチ丸が難陀と一緒にいなければ迷子になる事も歩みが遅れ火神達との合流に支障が出ることも無かったのだ。
全てはオロチ丸の自業自得。
そして難陀が火神達と合流したのは2日後の事であった。




