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裟伽羅の苦悩

絶体絶命の裟伽羅は考えていた。

私はどこで間違ったのかと。

火神に出会ったこと?・・・否

火神について行ったこと?・・・否

それは分かりきっていた。

火神を誘拐したことである。


彼女の目前には破壊神クラがいる。

(デス)(カラー)》と言う技を使われ自分の前に咄嗟に出した木片は漆黒に染まり朽ち果てた。

私もこうなる運命なのだろう。

覚悟を決めなければならない時が来たのだ。

優鉢羅を助けることも出来ず無念の死である。

知らず知らずのうちに目尻に涙が溜まる。

それでも龍王の端くれだ。

声は出さない様に泣かなければ。

しかし無念の一言に尽きる。


火神は優しかった。

今まで化け物と罵られた事もあったし龍王となってからは金は増えたが嫌な仕事も多かったのだ。

そんな私に対して尊敬や敬意を持って接してくれる火神に惹かれていたのも事実。

それ故に焦っていたのかも知れない。

暗殺しなくてはならない相手を好きになるなど言語道断である。

例え好きであったとしても妹の救出には変え難いのだ。

ムリフェンを発ってしまえば他の者たちの目が厳しくなる。

だからこそ誘拐したのだ。

そう自分に言い聞かせて彼女は目を閉じた。


「クラ!そこまでだ!俺の元へ!」


『はっ!仰せのままに、、、』

裟伽羅まであと2mと迫ったところで火神に止められた。

あと一撃《死色》を浴びせられれば確実なる死をお届けできるのに。

そう思った。

しかし主の命令は絶対である。

カグツチの命令を反故にしてまで実行するのは無理である。

クラではカグツチには勝てない。

カグツチとは火の神。

まだ伊邪那美命と伊邪那岐大神の両者が健在であった時の初子である。


カグツチの放出する熱には際限がない。

実際太陽の数千度や数万度すら超えた温度が世界には存在する。


逆に絶対零度とはマイナス273℃でそれ以下の数値にはならない。

宇宙空間こそが絶対零度。

それより低い温度などありえないのだ。


死色とは死の色に変えること。

簡単に言えばその物が持った限度まで一瞬で温度を下げるか上げることで可能になる。

しかし火神には一切の温度攻撃が無効化されてしまう。


無効化スキルのお陰ではなく寒さは感じても死にはしない。暑さを感じても死にはしないのだ。


例え溶岩の中に使ってもアイルビーバックである。


そしてクラは死色を操ることが最も得意であり、逆に言うとそれしか出来ない。

ある意味最強の不器用である。


そんな彼女は先の戦いで火神に勝つことが不可能であることを悟っていたのだった。

難陀の様にかつてカグツチに仕えていた訳では無いが絶対的な力の前に屈したのである。


『して、、、こやつをどのようにされるので?』

「んー、、、元々仲間だったんだよ。裟伽羅。でも裏切られた。何度もね。そして極めつけに俺を誘拐した。まぁ実際俺は《透明化》できるから逃げられたんだけどさ?何故裏切る必要があるのか知りたかったんだよね。どうしても理由がわからなくてね。謎が多いんだよ。裟伽羅って。さぁ、、、話してくれるかい?」

火神は激昂することも無く淡々と諭すように話す。

これは火神なりの配慮なのであるが実際には激昂する輩より淡々と諭される方が恐怖なのであるが火神にその意識は無い。


「は、はい、、、火神様、、、私には妹が居るのですが、、、ある事情があって、、、捕らえられているのです、、、!?きゃ!」


裟伽羅の体を呪術が襲う。

優鉢羅の話をすると発動する呪いである。

どんどん死の影が迫る中裟伽羅は急ぎ火神に説明をする。


「じ、時間が無い、、、火神様。妹を、、、優鉢羅をお救い下さいませんか?私はもうじき安倍晴明の呪術で死んでしまいます。もう時間が無いのです。図々しいお願いで申し訳ないのですが、、、お願いします。。。妹の優鉢羅はとても良い子です。この先の旅にも役に立つと思われます。私の、、、最後の願いを、、、我儘を、、、お願いします、、、」

裟伽羅は涙ながらに話す。


「ふぅん、、、そーなんだ?裟伽羅が助けなくて良いんだ?」

感情の起伏を感じさせない口調で火神が話す。


「ま、まぁいっか。クラ?この呪術消せる?」

『はっ。私には無理ですね、、、かなり強い呪術の様で、、、』

「そっか、、、じゃあ、、、、どうしようかなぁ、、、」


どんどん死の影に蝕まれていく裟伽羅を2人が為す術もなくただ見守る。


その時に奇跡が起きたのだった。

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