表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/104

桃源郷へ

商業都市ムリフェン滞在5日目

この日は朝から雨だった。

宿屋の窓には横殴りの雨が打ち付け俺たちの旅の行方を暗示しているかの様である。


憂鬱な朝がさらに憂鬱になる。

本日は旅立ちの日。

サルバトロスがリーダーを務める商隊とムリフェンを立たねばならぬのだ。


トンドラから色々あってムリフェンに来た火神たちはかなり此処を気に入っていた。

ギリシア神殿にも近くウーラニア以外にも交友を深めたりしたかったのだ。

カリオペーからはオロチ丸が《美声の角笛》を授けられ、クレイオーからは意外な事に裟伽羅へと《祝福の杖》を借り受けた。

暗殺を企てる者に神具が与えられることは決してないのだがクレイオーには見えていたのだ。

裟伽羅の肩に繋がる操り糸のその先が。


クレイオーとは祝福の女神。

ギリシア神話の文芸の女神ムーサイの1柱である。


祝福とは神による《奇跡》である。

絶対に治らない不治の病を治したり、モーゼの十戒、空が燃えたり山が溶けたりその伝説は数しれず。

しかしその《奇跡》はクレイオーの気まぐれで発生する。

不治の病を治すが対象となる人物が重要人物かどうかは関係ないのだ。

一国の王や親友が苦しんでいても助けない時もあれば物乞いでも助ける。

クレイオーは《気まぐれの女神》とも呼ばれていた。

さて、《祝福の杖》はその奇跡が起こる杖である。

効果はランダムだが魔力の使用料に応じてそれなりの効果がある。

発動する時には3つの方向性だけ決めることが出来る。

1つ、仲間に何らかの奇跡が起こる。

1つ、敵に何らかの奇跡が起こる。

1つ、物に何らかの奇跡が起こる。


仲間に奇跡が起こる場合は攻撃やデバフは含まれない。

マイナス効果は無い。


敵に奇跡が起こる場合はバフや回復は起こらない。


物に奇跡が起こる場合はなんでもありである。


物は試しと火神に向かって裟伽羅が《祝福の杖》を使うと体内の魔力をごっそり4分の1を消費して、火神を透明化させた。


火神は喜び奇声をあげ調子に乗ってスカート捲りに街に逃げ出そうとしたが針を逆立てたアルマゲドンに阻まれ床にひれ伏すといった残念な事件も起こった。


透明化はアルマゲドンの拘束が解かれるまで続き1時間程で解除された。

たった1時間で何が出来るのかと言われそうだがこの時火神はちゃっかり《透明化》の能力を得た。


しかしアルマゲドンやオロチ丸に知られればまた拘束される。

火神は能力の発現を黙秘しニヤニヤしていた。


まだ見ぬ桃源郷を夢見て。


透明化。それは男子なら誰もが憧れる最強の能力。

不可視の攻撃も去ることながら全裸でも気づかれない。

変態さんにとっては最高のスキル。

まぁ火神にそんな趣味が無いのが幸いなのだが彼もまた男である。

女湯に入るのは幼き頃からの夢である。

女湯に入る事が夢でないものは居ないのではないか?と思えるほどのロマンを感じさせる。

決して女体の裸が見たいのではない。

純粋に秘匿されるから知りたい。

知識欲である。

というのは建前で裸が見たいのだ。

若い娘の裸に興味が無いものが居るとしたら聖人君子だけであろう。

聖人君子であっても男なればロマンの1つ位はあるはずだ。

聖人君子のロマンが桃源郷とは言わないがほとんどの男のロマンは《女湯》にある。


熱く語ってしまったがそれほどまでに女湯にはロマンがあるのだ。


そして不可視攻撃の有用性は言うまでもない。

不可視攻撃で頭が溶けるなんて荒業も可能なのである。

最早無敵の存在。

いよいよ神の化身と呼ばれるに相応しい能力をさらっと得てしまった火神であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ