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ムリフェン最終日

商業施設ムリフェンに着いて4日目の朝を迎えた。

明日が商隊との約束の5日目。

明日の早朝にはムリフェンを経つことになる。

まぁ当初の目的をほぼ果たした今となっては消化試合のようなものでムリフェンを観光して回ろうと言うことになった。


先日の事件以来《予知夢》を見れる様になった火神だったが《予知夢》は使用者が強く願わない限り発動することは無いのだ。

ここ数日は夢を見ることも無く泥のように寝ていた。


ムリフェンにはカジノが無く「那岐様!僕の腕を見て欲しいです!」と言っていたオロチ丸はガックリと肩を落としていたが火神は安堵していた。

最早オロチ丸はカジノの亡者であり趣味とは言えない程のハマりようだったのだ。


4つの頭が《すろっと》のリールを5センチ程の拒否で見つめるあの真剣さは傍から見ると滑稽で面白いのだが、身内から見ると身内と知られたくないと思えるほどに鬼気迫っていた。


《目押し》それはただの《すろっと》のテクニックに過ぎない。

世の中一般的に言えば戦闘には使えないと思われがちであろう。

しかし目押しの集中力と予測と実測の演算を瞬時に行うトレーニングとしてオロチ丸にとって大いに役立っていた。

特に剣術において《目が良い》事は剣の腕を上げることよりも重宝されている。

剣の腕は鍛錬で上がる。

やればやる程に熟練度が上がるが《目》に関しては上がらない。

と言うよりは上がりにくいのだ。

剣速が音速を超える達人は居るが世界に数名である。

彼らを倒すには音速の剣を超えないといけない。

受けるだけでも困難なのだ。

避ける、攻撃を仕掛けるなどの行為がどれほどの難易度になるか想像はつくだろう。

剣術の鍛錬で身につく剣士としての目も大事だが、避ける、受けるに関しては目のみを効率的に鍛えた方が良いのだ。


オロチ丸は剣士ではない。だからこそ《すろっと》による目押し練習は彼女の修行となっていた。

彼女の意図しないままではあるが。

オロチ丸はただ火神に褒めて欲しい一心ですろっとを延々と回していた。

鍛錬を楽しみながらできる点に於いてはラッキーだとしか言えないが楽しんで鍛錬出来るに越したことはない。

好きこそ物の上手なれである。


『那岐様~明日の朝出発ですか〜?確か、、、サルバトロスさんについて行くんでしたよね?』

「うん。そーなんだ。だからムリフェンは今日が最後だね。必需品を買い足して旅の準備をしないとね?」


まず向かったのは道具屋。

商業施設らしく大きな店舗にセイトとは比較にならないほどの商品群である。

俺たちは雑談を交えながら回復薬や食料を買い足そうとした。がアルマゲドンに止められた。


『かがみん?僕ってば回復出来るよ?と言うか蘇生も可能だし、、、』


「「「えっ!?」」」


『僕はね?この世界の理から外れた存在なんだって。この世界が僕に干渉するとは無いし僕から見たら《かがみん》以外は全部同等の存在なの。だから蘇生と言うのとは少し違うけど違う体から載せ替えることが出来るんだよ。魂とは言わないけど生命の移動って感じかな?』


「てか!かがみんって、、、」

『あ。ごめん、、、火神の方が良かった、、、?』

アルマゲドンが俯き目尻に涙を溜めて今にも泣きそうになっている。


「そんなことないよ?愛称なんていつ以来だろう、、、?幼年期かなぁ?いや待てよ、、、ない、、、のか?」


火神はひとりの世界にどっぷりと浸かりウンウン悩み出した。

火神那岐という名は愛称で呼びにくく現世日本の友人にも火神と呼ばれていた。

かつて保育が行われる時期ならば愛称だっただろうがそんな記憶は持ち合わせていなかった。


現在彼の見た目は10歳ぐらいの少年であるが中身は高校生。

修学旅行の最中にこちらの世界に迷い込んだ異世界転移人である。


アルマゲドンも異世界転移獣であったがそれは周知の事実となっており最早疑う余地も無いことである。


しかし火神が異世界転移人だということはオロチ丸と安倍晴明しか知らない。

暗殺者の裟伽羅ですら安倍晴明から説明を受けていなかった。


よってゴタゴタが続いた今その事実が明らかになったのである。

メンバーのみんなは驚きのあまり声を失ったが顔を見合わせると大声で笑った。


アルマゲドンが懐いたこと。

異常な能力の持ち主であること。

全てにガテンがいったのだ。


そんなこんなで旅の支度を終えると火神達は宿に戻り明日に備え早めに就寝した。

あと少ししたら1章が終わります。

一旦少しおやすみしたいと思います。

今までお付き合いしてくださった方。ありがとうございました。

また書き溜めたら投稿していきます。

よろしくお願いいたします。


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