ギリシア神殿
火神は決して殺人をした訳では無い。
と言っても1度は確実に《殺した》のだが。
強盗をしたであろう彼は今は火神達の監視の中ロープでぐるぐる巻きにされていた。
どうしてこんな事になったか分からない様子だったが《頭が溶けた》その瞬間を思い出したくないのか物思いに耽ったと思ったらブルブルと震え出した。
火神は1度は殺したが直ぐに滅炎龍ヴァルバリーの力の1つである《反魂の術》により一瞬で復活。
火神は簡単に考えているがこの《反魂の術》は禁術である。
おいそれと使っていいものでは無いと怒られてしまった。
ヴァルバリーに限ってもしもということは無いのだがもしも失敗すると、、、
この世界のどこかに裂け目が生まれることになる。
そしてその裂け目はどんどん広がり人々を飲み込むのだと言う。
未だかつて裂け目が発生した事例は無く未確認事項ではあったがもしも起こってしまったら防ぎようのない大惨事になると伝わるのであった。
しかし火神は悪びれることも無くヴァルバリーに向かって「ヴァルなら大丈夫でしょ?」と一言いい放ち皆の笑いを攫っていく。
『流石は那岐様ですね。強盗犯も災難すぎる、、、頭部が溶けちゃうとは、、、』
オロチ丸が強盗犯に同情していると先程の店の店主がハァハァと息をあげて到着する。
『はぁ、、、はぁ、、、、あ、、、ありがとうございます、、、つ、捕まえてくださったのですね、、、あり、、、ありが、、、』
息も絶え絶えに話す店主は禿げた頭を俺たちの方に向け何とも惨たらしい事になっていた。
「どうか顔を上げてください。」
お願いします。笑いが吹き出しそうです。
「この人が強盗犯なのですね?取られたものは無事ですか?」
火神が盗品の確認を促す。
『あ。そうだ!ええっと、、、あれ、、、?ない、、、?』
店主は焦った口調で取られたものを探すが店主が探し出したいものは見つからない様子だった。
盗品の数々が出てくるので強盗犯であることは間違いないのだろうが目当てのものがないのだ。
『ううむ、、、これは困った、、、おい!強盗犯!石はどこにあるのだ?ウルツァイトはどこに隠した!出せ!!!あれが無いと俺は、、、、俺は、、、、』
店主は取り乱し強盗犯の頭を叩きまくる。
『いてぇ、、、いてぇ、、、って俺っちは石なんて盗ってないっちゃ!金になりそうな物だけ盗ったっちゃ!』
変に訛る彼は山口弁に似ていた。
本当に心当たりが無かったようで事情を聞いてみると、強盗時にナイフで脅された店主は金を要求されその辺にあった材料も一緒にごっそり持っていった犯人がウルツァイトも一緒に持ってると思ったようだった。
実際店主が見た時に無かったのだから取られたことは間違いないようだったが強盗があった時には店内に2人の客が居たようだった。
1人はうら若き乙女らしき女性だったと。
もう1人は白髪が目立つ老人の様だったが髪に艶があり顔は皺一つない若々しい肌だったと言う。
強盗犯を道の往来で丸裸にひん剥いてそのどちらかが盗んだ事が濃厚だったことが確定した。
頭を溶かされたり、全裸にされたり可哀想な強盗犯であるが犯罪者に人権は適用されない。
彼は周囲から蔑まされ衛兵に捕まることになった。
もうムリフェンには住むことは出来ないであろう。
火神達は乗りかかった船だと店主の話を聞く為に彼の店に同行した。
そこには《鍛冶屋ダンカン》と書かれている看板が斜めにかかっていた。
今にも落ちてきてしまいそうなほど斜めで店の外見もボロボロである。
しかしどうやら火神達が助けたのは探していたダンカンさん当人だった。
ダンカンに感謝されつつ盗難内容を聴く。
そしてダンカンを探していた経緯を説明すると快く天叢雲剣と燼滅剣を預かってくれた。
俺たちは彼から直接の依頼を受けることになった。
その当時居た女性と老人の捜索である。
また老人探しかと火神達は肩をガックリと落としたがオロチ丸は目を光らせる。
もしかしたら自分の頭を盗んだ人物と同じ人かも知れないのだから。
こうして火神達は盗っ人を探すクエストに出かけるのだった。
ギルドへ1度赴き人探しの術が無いか確認を摂る。
すると魔道具に似たような能力を持つものが存在すると聞いた。
それはかつて古代ギリシアの神ウーラニアによって創られたとされる《ウーラニアの眼鏡》である。
ウーラニアの眼鏡にはウーラニアの特殊な力が宿り未来予知、過去透視が出来るようになる。
彼女は占星術を得意とした絶世の美女であった。
華奢であったが胸は大きくアンバランスに感じるがその臀も安産形でプリっとしている。
一言で言うなればボンキュッボンである。
神域に達した能力を持ちながら美貌すら兼ね備える彼女に人々は崇め羨望の眼差しを送る。
そのウーラニアの眼鏡がどこにあるかと言うと分かっていないのだそうだ。
「それじゃダメじゃん!」と火神がツッコミを入れたが强そうでも無いようでギリシア神が祀られる神殿に行き神々に願うと叶う可能性があるのだそうだ。
火神達はギリシア神殿に向かう事にした。
しかしそれは大陸を挟んだバーナードとの間に浮かぶ断崖絶壁の島にある。
とは言え飛行が使えアルマゲドンすら仲間の彼らには何の問題にもならずアルマゲドンの背に乗って神殿へと飛び立った。
アルマゲドンの背中の一部の針を無くして貰いそこへ5人で立っての移動である。
針を持ってバランスをとる必要はあるか風を遮ってくれる針の存在はありがたかった。
「気持ちいい!アル早いねぇ!俺が飛ぶより全然楽ちんだよ!ありがとアル!」
と労いの言葉を言いながらアルマゲドンの背中にポンポンと手を当てる。
気を良くしたアルマゲドンは凄まじい速度で神殿へととばしものの数分で到着してしまったのだった。




