安倍晴明
次の日の朝、火神達はテントを壊した事でサルバトロスに怒られることになったが事なきを得たのだ。
まぁやむを得ない損失であろう。
しかしこの先野営する時にテントが無い事は旅に影響がある。
事情を話すと集落の族長からテントを都合してもらえる事になった。
遊牧の民が使うテントは昔ながらの物で動物の皮を幾重にも重ね縫い合わせたものだが、この集落で使っているテントは炎の魔獣の皮と氷の魔獣の皮を2枚合わせて作られ、防寒防熱対策として最高級の逸品であった。
だが数名が寝泊まりできるテントを製作する為には数日はかかり魔獣の皮を調達する必要もある。
火神達は責任を感じ炎の魔獣と氷の魔獣の皮を調達を請け負った。
幸いにも商隊はムリフェンへと帰還する最中の出来事であり、痛みやすい荷は無かった。
まぁ出来るだけ早く素材を集める必要はある事には変わりないのだが。
火神達は朝食を食べると集落の民がテントの素材を集める為に捜索する山に足を踏み入れる。
このミスティリオは東に炎の属性、西に氷の属性が別れて存在しており中央には無属性の物質系の魔物がひしめき合っている。
中央の魔物は危険度の高いものが多く属性の行き来も無い。
ちなみに集落の民は中央部には足を踏み入れることは無いそうだ。
俺たちは2つのチームに別れて素材を集める事にした。
火神と裟伽羅とウロボロスは氷属性の西側へ。
オロチ丸と難陀は炎属性の東側へと向かう事になった。
結局昨晩から捜索したが火神に襲いかかろうとした犯人は見つける事はできなかった。
しかし明確な殺意を感じたことは確かであった。
こうして火神達はミスティリオへ向かう。
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ここは海底神殿ガンジャ。
世界の中心にある
臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前
神殿の最奥にある社の前で九字護身法を印を結び唱える男がいる。
その後ろ姿は白と青を基調とした着物に身を包み神秘的なイメージである。
その眉間には深い皺が刻み込まれており一日の大半を此処での九字護身法を唱えるだけ苦行の日々である様に見える。
しかしその実態は式神による代理詠唱である。
彼の名は《安倍晴明》
かつて日本最強の陰陽道と有名であったその人である。
式神を使い世界中の情勢を知り予言する。
また魑魅魍魎の退治を生業とする1面も見せるがこれもまた当の本人は自宅でゴロゴロするだけで式神が全てを解決していた。
彼の能力の本質は《式神使い》である。
ティンカーやイヴァと言った妖精も実は式神である。
彼の手となり足となる忠実なる下僕。
彼女達の必死な晴明の為に働く姿は健気だが全ては晴明の思惑通りなのである。
自我を持ち晴明の命令を命懸けで執行する忠実なる下僕であり捨て駒。
式神に性格が有るのはその術式によって差があるからである。
玄武、白虎、青龍、朱雀の四神による術式は一長一短で青龍が1番有用であるのだが安倍晴明と言えども青龍術式の式神を使役すると他の式神に意識がいかなくなるのである。
ティンカーは知識高き朱雀による式神、イヴァは残酷なる白虎による式神であった。
イヴァは倒されたが実体がある訳でもなく安倍晴明にとっては痛くも痒くもない。
『ふふ、、、火神くんか、、、面白いな、、、さて、、、こちらの思惑通りにいくかどうか、、、ふふ、、、』
あーっはっはっはっは!
晴明はその端正な顔を歪ませ邪悪な笑い声をあげるのだった。




