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ギブリ洞窟脱出

グウオオオオオオオオオーーーーーー


腹の奥底から発せられているであろう咆哮の様な声で呻く裟伽羅?と思しき存在。


遅延性のヒールが彼女を苦しめているのかと疑いたくなるほどの呻き声である。


彼女は時々ビクンビクンと跳ねるように体を上下させながら真っ黒な瘴気を放つ。


龍王と言うよりは魔王に近しい存在に思える。


4人は警戒を強めたが時々ビクンビクンなる以外は何も起こらず遅延性ヒールの効果を期待した。


遅延性ヒールは欠損部位の完全回復すら可能で、その他軽微な毒や魔性水による魅了にも効果がある。

直ぐに回復できない欠点さえ目を瞑れば最強の回復術なのである。

まぁ戦闘中には使い物にならないのも確かなのだが。


「そろそろ、、、かな?裟伽羅さん、、、無事だといいけど、、、」

火神は時々魔性水の魅了に当てられ結界内に入りそうになっていたが少し結界から離れると落ち着きを取り戻していた。


『そうですね。そろそろ効果が現れる頃だと思います。あとは本人次第ですね。』


それから5分経過した。


、、、、


「な、長いね、、、?まだなの?」


『うーん、、、明らかにいつもより長いですよね、、、難陀どー思う?』


『そうですね、、、流石に長いかと。ではもう一度ヒールをかけますか?』


「うーん、、、遅延性ヒールが効くのは1日1回だよ?忘れたの?2回目以降はほぼ効果が無いよ?」


『分かっておりますとも。しかしそれは遅延性ヒールで全回復した場合でございます。裟伽羅と思われるこやつは全回復しきっていません。それならば、、、と思ったのです。』


「そっかぁ、、、そーなんだ!?じゃあ1回やってみようか!」


見守っていた火神達はその重い腰をあげると直ぐに遅延性ヒールを使う。


先程までは真っ黒い瘴気を放っていたがそれは無くなり銀色のオーラを放ち始める。


裟伽羅?は今までで1番大きく背を仰け反らせ両手を広げる。

『アゥェイルハムスイヴィルカスマッタカマラヤサークイ、、、、』


と謎の詠唱を始めた。


すると天界龍ウロボロスが大声で叫ぶ。


『危ない!避けろ!』


咄嗟に全員がバックステップをとる。

自分たちが元居た場所の足元には黒い触手がぐにゃぐにゃと発生しうねうねとそこに居たであろう者を探し回っていた。


「、、、、あっぶな!何だよ、、、裟伽羅さんって敵なのかよ?」

『、、、多分ですがそーでは無いかと思われます。我は聞いたことの無い詠唱でしたゆえ。』


『あれは古代の死霊を呼び起こす禁呪です、、、死霊と言ってもピンキリなのですが古代の死霊で召喚される死霊は高位な者のみなのです。その当時の最高戦力とも呼ばれる剣聖や大魔道士と言った伝説の死霊を呼び寄せるまさに最強の死霊術です、、、よもや下界の者が扱えるなど聞いたことも無いのですが、、、』


そして裟伽羅?の激しい呻き声が止む。


『、、、、はっ!?どこ、、、?ここ、、、?ちょこれーとは?あ!あそこに、、、』


裟伽羅?は結界の中に入ろうとフラフラしながらも歩き始める。


「裟伽羅さん!ダメ!!そっち行ったらダメだよ!」

火神は大声をはりあげて叫んだ。


『んみゅ、、?』

裟伽羅?は火神の声に気づき振り返った。

彼女の髪は老婆の様に白く薄汚れていたのだが振り返ったその顔はアルビノの様な肌の白さの目立つ少女であった。

口の周りにはベッタリと《ちょこれーと》と思しき黒い物が付着しておりお世辞にも綺麗とは言えないが端正な顔立ちであることは認識できる程の美貌の持ち主である。


「俺たちライラック王に言われて裟伽羅さんを探しに来たんだよ!裟伽羅さんなの?」


『んみゅぅ?そう、、、?さーがら?何それ、、、?美味しいの?』

裟伽羅?は首を傾げ《んみゅ?んみゅ?》言っている。


『顔は裟伽羅の様ですが、、、もしや操られてるのか、、、?』

唯一裟伽羅を見知ってる人物である難陀が顔を歪ませ難色を示す。

裟伽羅は序列6位とは言え龍王に名を連ねるものであり、その幻術師としての才能は他を圧倒している。


『、、、はっ!?もしや、、、、これも裟伽羅の幻術、、、?おい!?ここにいるのか?裟伽羅よ!』


クックックッ、、、、


どこからともなくくぐもった乾いた笑い声が聞こえる。


『矢張りか、、、おい!裟伽羅!幻術か!?ならば、、、《龍覇気(りゅうはき)》』

難陀は黄金色に染まる闘気を纏い一気に分散させた。


周囲は一気に灯りを取り戻した。


次の瞬間、、、、


周囲には地獄絵図が広がる。


そう、、、、《漆黒蟲》が次々と落ちてきたのだ。


「ぎゃあぁぁぁぁぁーーーーーーー」

火神は狼狽え走り回る。

『《四式嵐(フォーステンペスト)》!』

オロチ丸は現在放てる最高の技で落ちてくる《漆黒蟲》を次々と消し去る。が嵐のせいで更なる悲劇が。

オロチ丸を中心に《漆黒蟲》が束になって降ってくる。

『ぎゃぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁ!』

彼女もまた走り去ってしまう。

難陀は《漆黒蟲》すらも裟伽羅の幻術と勘違いしていたが、自らの手元に落下してきた《漆黒蟲》に声ならぬ声を上げて走り回る。


『クックックッ、、、龍王長たる難陀が情けないえ、、、クックックッ、、、ぬぅん!』


裟伽羅は幻術を解き周囲の《漆黒蟲》は別名《加加阿》に変質する。

ギブリ洞窟地下三階に生息するのは《漆黒蟲》ではなく《加加阿》である。

《ちょこれーと》の原材料としても有名なカカオ。それが《加加阿》なのだ。


先程までの結界と老婆も実は裟伽羅の発生させた幻影であり火神達の逃げ惑う姿を堪能した裟伽羅はヒーヒーと笑いながら《加加阿》を捕まえては砂糖をぶっかけて食べていた。


加加阿の味はカカオその物で苦い。

砂糖をかけることでちょこれーととまではいかないがそれに近しい味になっているようだ。


火神達は落ち着きを取り戻し、裟伽羅の元へ行く。


「裟伽羅さん!酷いよ!あんまりだよ、、、俺もちょこれーと食べたかったんだから、、、」


火神はぷぅっと頬を膨らませて苦笑いを浮かべる。

どうやら彼女こそ裟伽羅(サーガラ)であった。

風貌は幻術師さながらの鼠色のローブに身を包み時々ふわっとローブが揺れるのがやけに色っぽい。

ローブの中は薄着なのだろう。

時々見える素肌が白く透き通りまるで透明なのでは?と思わせるほどである。

もしかしたら幻術による見た目の変化とも思わせるほどの透明度だが乳は貧相で体も華奢である。

幻術だとするならば乳は大きくしているだろう事を予測すると幻術ではない事は明白であった。


『クックックッ、、、はじめまして裟伽羅と申しますえ。ライラック王に何かあったのかえ?』


先程までそこに存在していた少女は消え去り人型の魔物が出現し幻術だったことが伺える。


しかしそれは決してただの幻術だった訳ではなく人型の魔物が幻術により操られ、加加阿を黒い水たまりに溜め《ちょこれーと》を作ろうと画策していた様だった。


そして裟伽羅は結界を消し去ると黒い水溜まりに出来上がった《ちょこれーと》の様なものに手を伸ばし口へと運ぶ。

しかし次の瞬間裟伽羅はその美しい顔を顰める。

自分が操っていた魔物が思わず食べたくなるほどだから美味しいだろうと高を括っていたがどうやら思惑とは異なったらしい。


『ま、不味い、、、ねぇ、、、?坊や?あなたも舐めてみる?』


見た目にはとても食べられる様な物質では無いのは確かなのだが勧められると好奇心で手を出したくならないこともない。


散々悩んだ結果火神は1口舐めてみる事にした。


ペロッ、、、


フォォォォォォーーーーー


1口舐めた途端に火神は奇声を上げ気が触れたのでは無いかと思うほどに飛び跳ねた。


「うんまぁぁぁい!これ美味しいよ?チョコじゃん!?ちょっとビターだけどこれくらいが最高だよ?」


火神はテンションを最大まであげるとどんどん舐めていた。

その姿に触発されたのか難陀、オロチ丸、ウロボロスも1口舐める。


『『『うまい!!』』』


3人が揃って声を上げる。

どうやら裟伽羅の口には合わなかったがそれでもこの世界にはスイーツは皆無であるために至福のひとときであった。


裟伽羅とはセイトでどんなことがあったかを話したがふんっ。と興味がなさそうだった。

ただ、ライラック王の話題だけには反応を示す。

わかりやすい女の様だ。


こうして《ちょこれーと》を堪能した火神達は裟伽羅を連れて洞窟を出るのだった。

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