幻獣種イフリート
『さぁ~第478回トンドラ名物バトルロワイヤルかいさ~い!!!』
「参加されるメンツと予想オッズはこちらになりま〜す!1番人気は前回大会覇者の大聖人ウルバエル選手!1.3倍となっていま〜す!大穴は正体不明の戦士ナンダ選手216倍で~す!一攫千金のチャンスですよぉ~!」
どうやら闘技場では同時に賭事をやっているみたいだった。
まぁ良くある話ではあるがどうやらトンドラの住民は賭博が好きなようだ。
「まぁ、、、出場にも大銀貨5枚払ってるし俺に金貨1枚かけておくか、、、」
出場者はイカサマ防止のために自身以外には賭けることは出来ないそうだが自分に賭けるのなら問題ないのである。
もしも優勝すれば金貨316枚とラファエルの指輪に挑戦出来る権利が得られることになる。
金貨1枚で100万円の勝ちだから、、、3億である。まさかの年末ジャンボ級なのである。
出場者の中には金目当てで来ている者も多いのだ。3億あれば小さな村ならば1年の総支出レベルである。
さて。いよいよバトルロワイヤル開催。
難陀達は会場中央の結界に包まれた石畳のリングの上に上がらされる。
リングの大きさは50㎡である。
リングから客席までは約10メートル程の堀があり間には強固な結界が何重にもかかっていた。
司会進行役のお姉さんが上級魔法をぶっぱなしたが対抗する属性の結界に完全に阻まれていた。
『で~は~、、、只今よりバトルロワイヤルを開始しますぅ~、、、はじめぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』
それまでのらりくらりと声を出していた司会のお姉さんは発狂したかのように大声になっていた。
どうやらバトルロワイヤルに興奮を隠せないようだ。
その風貌は華奢で金髪ショートヘアで端正な顔を持つ美少女である。
種族は尖った耳の為にエルフ族であると推測した。
そんな彼女の狂気性に驚愕しながらも難陀ら目の前にいる敵に対峙していく。
目の前にいるのは《詐欺師フェイクス》である。ニヒルな笑いを浮かべる超絶イケメンである。
まぁ彼自ら詐欺師と名乗るのには訳があるようだ。
彼の家族は詐欺師によって家庭を崩壊され、父親は自殺、母親は売られて行った。
そして、、、妹たちも娼館に身売りする事になったのだ。
自分も男娼館に売られたのだが奴隷印を押される前に逃げてきた。
そんなフェイクスの目標は娼館に身売りしてしまった妹たちの救出である。
妹は2人いる。
トーリエとノバリである。
トーリエは当時まだ12歳。成人すらしていなかった。この世界での成人は15歳で、酒も煙草も15歳から可能になる。
彼女は母親に似て12歳の未成熟な性格に似つかわしくない豊満なナイスボディの持ち主であった。
エメラルドカラーがキラキラ光る彼女の髪は街でも有名であった。
そして責任感が強い女性であった。彼女に責任感が無かったのならばフェイクスを置いて出ていってくれていたかと思うと心が痛むのだ。
そしてノバリ。彼女は当時8歳。娼館と言えども働かせる訳にはいかず雑務をするのだと言っていた。彼女が客を取るようになるまでには時間がかかるだろうが絶対にそれまでには救出しなければと誓っていた。
まだまだ幼さの残るノバリは身長も120センチ程度でまだまだ小さく非力である。
ただ魔法のセンスだけは非常に高く兄をも超えるのではないか?と幼少期から言われるほどであった。
フェイクスは魔法のスペシャリストという訳では無いが幻術系の魔法に長けていた。
そして彼は詐欺師と名乗り当該詐欺師を炙り出す作戦に打って出ていた。
詐欺師が詐欺師とバレると生業が阻害される。
詐欺師からすればフェイクスが邪魔になるのだ。
詐欺師は1度騙すとその場には留まらない。
他の地に足を運びまた詐欺を働くのだ。
転々としている彼らを見つけることは簡単ではなかった。
詐欺師とされ罵られる日々を送りながらも妹たちを買い戻す金と詐欺師への復讐のためにバトルロワイヤルに参加していた。
『きひひひひ!俺には幻獣種イフリートがついてるんだ!貴様などに負けはない!きひひひひ!』
フェイクスは召喚の魔法陣を素早く描くと目の前には赤い魔法陣が現れる。
魔法陣はグルグルと回り高速回転していく。
周囲の魔力を奪いながらどんどん大きくなっていき中心部が膨れ上がる。
大きな爆発と共に火の幻獣イフリートが発現するのだった。
「ほほぅ、、、イフリートか。久しいな。まぁ我の敵では無いが。カグツチ様の爪の先にも及ばぬわ!!!」
龍王難陀はその龍王たる能力の1つである、ドラゴンオーラを纏う。
ドラゴンオーラは常時発動は面倒だが使用魔力も少なくエコで強化率の非常に高い秘技である。
その強度はオリハルコンを凌駕する。
しかし気を抜けば解除されてしまう為に難陀は使う事をいつも躊躇っていた。
今回に至ってはほとんどの戦いをドラゴンオーラで強化した武器無しのステゴロで戦う予定でいた。
本当の窮地に陥った時。
それは武器も無く、仲間の援護もなく、圧倒的なまでの相手との戦いだと言うことに櫛名田姫に気付かされたからである。
何も無くても我が身一つでカグツチ様をお守りする力を、、、と切に願うが故であった。
そして難陀とイフリートの激突が始まる。




