ゴブリンとスライム
目を覚ますと、、、
俺は仰向けで平原に寝ていた。
ビュォーーーーーー
すごい風だ、、、
今まで気づかなかったのかな?
ってここはどこなん?
、、、痛、、、体が痛てぇ、、、
ん?俺の体縮んでねぇか?
どうやら身長は140センチ位しかないぞ、、、
顔は、、、、ペタペタ、、、、、
うん。変わってる。、、、
どうやら俺は転移してきたみたいだ。
俺は前世ではそこそこのルックスだった。
神様、、、どうか、、、それ以下は流石に嫌です。
もう童貞を卒業させて下さい!!
は、早く顔の確認をせねば、、、
俺は近くに流れていた川の水を掬って顔を確認する。
うーん、、、分かりにくいな、、、
まぁそこまで気にすることじゃないか?
ん?ふと胸元見た、、、
ん?膨らんでる?
俺、、、女の子になっちゃったの!?
童貞卒業、、、夢に終わっちゃったのか、、、
はは、、、悲しすぎた、、、泣けてくる、、
え?違う!なんか動いてる!
モゾモゾ、、、、
「やめ、、、くすぐったいよ!」
俺は服をバッと上に捲し上げた。
ボト。
蛇が落ちた。
うわーー!!!蛇じゃん!
怖!!!
火神は声にもならなかったようだ。
『ひ、ひどいよぉ、、、僕のご主人様ぁ~もっと優しく扱ってよぉ~』
蛇が喋ってやがる、、、
「えっ?喋れるの?君、、だれ?」
『えぇ、、、僕の事を助けてくれたの忘れたの?僕だよ!僕。蛇石の八岐大蛇!』
あ。思い出した。
山田神社で変なお爺さんに言われて、、、
そして、、、蛇石が、、、飛んで、、、割れて、、、蛇が、、、!?そうか!あの時の八岐大蛇か!ん?でも何か凄く愛らしい蛇になってねぇか??
蛇というかミニドラゴンと言うか、、、
見れば見るほど可愛いな、、、
「うん。思い出した!あの時の八岐大蛇だな!姿は変わってるけど、、、で、、、なんで俺がご主人様なんだ?」
火神は生まれて1度もペットを飼ったことも無いのだ。ご主人様と言われても世話すら出来る自信はない。ここはサクッと断らねばと思った。
『ご主人様はご主人様だよぉ?僕がご主人様を護るの!守護獣とでも思ってくれれば良いよ?僕もこの世界で一人ぼっちは嫌だし、、、ね?僕を傍に置いてよ?』
「そっか、、、そうだよね!俺も一人ぼっちだもんな。じゃあ一緒に行こう?」
俺は八岐大蛇と一緒に平原を歩く。
何がどこにあるかなんて分からないんだから、、、
「ねぇねぇ?八岐大蛇って言い難いよね、、、あだ名付けてもいい?」
『はい!是非付けてください!嬉しいなぁ、、、数千年も誰とも話せなかったから、、話せるだけでも嬉しいのに、、、愛称を付けてくださるなんて、、、いいご主人様過ぎるよぉ、、、』
八岐大蛇はぐすぐすいいながら泣いてしまった。
「大袈裟だなぁ、、、、よし!決めた!んーとね!オロチ丸でどうかな?」
『オロチ丸、、、良い名ですね!今日から僕はオロチ丸です!よろしくお願いします!火神様!』
「俺も下の名前で呼んで欲しいかな?俺の名前は那岐だ!よろしくね!」
『那岐様!一生ついて行きます!』
「俺も呼び捨てでいいよ?オロチ丸!」
なんか名前で言い合うって恥ずかしいな、、、蛇だけど、、、ペットなのかな?友達なのかな?
まぁ五分五分の関係でいれたら良いなぁと思う火神なのであった。
平原を歩くと、、、そこには村が、、、なんて都合よく無いものである。
村に行く前に魔物らしき物とエンカウントしてしまった。
小さな棍棒を持ち、薄汚れた服を纏った大きさ120センチ位の緑色の魔物。
そう。ゴブリンである。
「あ。ゴブリンじゃん。なんか本当に異世界って感じだなぁ、、、うわ!!」
ゴブリンが棍棒を振り回しながら襲いかかってきた。
「ど、どうしよう、、、オロチ丸、、俺武器もないよ、、?」
『ふっ、、ゴブリン如き私の敵ではないですよ!では私が相手になりましょう!』
オロチ丸は真ん中にある白銀色の頭の口から白銀のブレスを吐く。
ゴォォォオオオオオ!!!
小さなオロチ丸とは思えない程の威力のブレスだった。
『ピギャー!』
ゴブリンは消し炭も残らず焼き払われた。
「今のはなに?」
『聖なる息吹です。那岐様。僕の頭って色が全部違うでしょ?属性が違うのです。白銀は聖属性、赤は炎属性と言った感じです。ゴブリンなら魔属性ぽいので聖属性かなぁと思ったのでセイントブレスを使ったのですが違ったかも知れませんね。』
「凄いじゃん!オロチ丸!でも俺もゴブリンに勝てるようになりたいな、、、出来るかなぁ、、」
『那岐様ならば出来ると思いますよ!僕を使役出来てますから!僕より強いはずです!まぁこれはただの勘ですけど、、、ね?』
オロチ丸が少し気まずそうに言うがやたらと可愛い。
もう彼はマスコットとしては最高だ!
「そっか!そうだよね!うんうん!俺も頑張って戦ってみるよ!でも武器欲しいなぁ、、、、?どこかで買うしかないのかなぁ、、?」
『あ!いいの僕持ってますよ!ほら!これ名刀なんですよ!天之尾羽張です!」
「どこから出てきたの?いいの?これ高そう、、、重!!!!!」
十拳剣の1つ。
かつて伊邪那岐命が加具土命を斬ったとされる名刀である。
異世界に持ってきちゃダメなやつである。
「でも、、、ちょっと持ってたら慣れてきたかも、、、?手に馴染んでいく、、、?」
天之尾羽張が少し小さくなり柄の部分が火神の手のサイズにピッタリとマッチングした。
『おお!天之尾羽張に認められた様ですね!流石は那岐様!流石過ぎです!刀に認められしは勇者の印ですよぉ!』
俺はブンブン刀を振って感覚を楽しむ。
おお、、、、これいいな!
めっちゃ切れ味も良さそう、、、!
何か魔物出てこないかな、、、?
あ!何か居た!!!
そこには小さな小さなスライムが、、、
「こんな小さなスライムを斬るのは流石に可哀想、、、」
『じゃ僕が食べちゃいますね!えぃ!!』
オロチ丸は青い頭を伸ばしスライムを一口で食べた。
自分の頭よりも3倍は大きなスライムを一飲みだ。
『ごっくん、、、あんまり美味しくないけど、、、能力獲得したみたい!』
・・・能力獲得・・・
オロチ丸・・・水耐性
火神那岐・・・水耐性
「え?俺も獲得しちゃったの?何もしてないのに、、、」
『どうやらそのようですね!僕が獲得した能力は全て那岐様も使えるようですね!ん?という事は、、、?那岐様先程僕が使ったセイントブレス使えるんじゃ、、?』
「あ、、、!そっか!よおぉぉし!聖なる息吹!」
ゴゴゴゴゴォォォオオオオーーーー!
『僕が使うブレスより強いなんて、、、那岐様ずるいですよぉ、、、』
オロチ丸は拗ねてしまった。
八つある頭を全て下げてしょんぼりと。
可愛い奴なのだ。
「もう!可愛いなぁ!」
俺は思わずギューッと抱きしめる。
『やや!那岐様?恥ずかしいです、、、でも、、、那岐様の体柔らかくて気持ちいい、、、はっ!やや、、もう離れてください!』
どうやら蛇が変な感情になってしまったようだ。
俺はただペットを愛でるような感覚だっただけなのだが。
ふふ、、でも那岐様柔らかかったな?
またたくさん頑張って褒めてもらおっと!と思うオロチ丸なのであった。