クシナダ城戦
クシナダ城を夜襲する事になった火神達は荒れまくった城下町で一時休息をとる事にする。
ギルドへの報告も忘れなかったがギルド内はそれどころでは無かった。
火事にはならなかったがギルド内には人間が最も多く、魔族から激しく襲撃を受けたのだ。
だが流石は冒険者達である。
ギルド内に居た人間はギルド内を制圧すると住民を助けに行っていた。
そんな冒険者のお陰もありそこまでの被害は出ていなかった。
だがこれからまた元通りとなるまでにはかなりの時間が要する事は間違いないことであるが。
俺たちの拠点だった宿屋も被害を受けてしまい、他の宿屋に泊まることになった。
その他の冒険者達はこの騒動の影響でセイトへ逃げ始めていた。
災い転じて福となすではないが火神の宿の確保へと繋がったのだ。
そして、、、、夜になる。
城下町では昼間の慌ただしさが嘘のように静まり返っていた。
「ふぅ、、、そろそろ行こうか。」
火神達は覚悟を決めクシナダ城に乗り込む。
クシナダ城は跳ね橋を上げ外部からの侵入者を阻んでいる。
まぁ飛行が使える難陀に乗っていけばなんの問題も無いのだが。
そして難陀が使役出来る下級ドラゴンからオロチ丸も能力を喰らい、火神、オロチ丸共に飛行を使えるようになっていた。
彼らは城の正面の跳ね橋周辺には警備は薄いと予測し飛行を使い侵入を図る。
しかし城壁内側には既に魔王軍が今か今かと待ち侘び犇めき合っていた。
どうやら火神達が来ることは予想済みだったようだ。
「ちっ、、、結局正面突破かよ、、、よし!初めから全力で行くぞ!《豪炎の爆風》!」
『はっ!那岐様僕も最強のブレスで行くよ!奥義、、、《八式嵐舞》』
『ほほぅ、、、オロチ丸も中々やりますね?では、、、我の本気をご覧に入れましょう。《龍神速千裂破》』
上空から火神の放ったブレスに加え、オロチ丸の八属性の合成ブレス、難陀の神速の千連斬撃で広場に集まっていた10万の兵はほぼ壊滅状態になる。
「よし!行くぞ!」
俺たちはクシナダ城前の広場に降り立つ。
上空からの不意打ちに驚いた兵たちは逃げ惑っている。
「このまま正面突破で城に入り《夜叉姫》を救助に向かう!素戔嗚尊を倒す事に拘るな!安全優先で行くぞ!撤退も辞さない。無理をするなよ?」
『はい!』
『カグツチ様分かりました。しかし、、、素戔嗚尊如き我だけでも充分ですよ?ましてやカグツチ様が対峙したら、、、』
難陀は自信満々である。
しかしここは戦場である。少しの油断が命を落とすのだ。
「うん。分かってる。だけどもしもの時は自分の身の安全を優先して逃げてね?約束して!」
『ふふ、、、この度のカグツチ様はお優しい。了解しました!我が危なげなく討伐してみせましょう!』
「本当に分かってる?、、、まぁでもありがとう!よし!オロチ丸も頑張ろう!!」
『は、はい!何か、、、僕も、、、最近2番手に甘んじてる感があるので頑張ります!!』
どいつもこいつも火神の話は無視である。
そりゃそうだろう。実際彼女らは一騎当万の実力を持つ世界最高戦力の一角である。
例え魔王と言えども不覚は取らない。
そもそも魔王という定義がこの世界はおかしいのだが、、、
俺たちはクシナダ城の城門前に辿り着く。
「この扉どうしよっか?開けてくれないよねぇ?」
『そうですね、、、しかもどうやら魔法がかかっているようで物理攻撃は無効化されてしまうみたいです。』
うーむ。どうした物か、、、!?
火神は何かを閃いた。
「よし、、、ここは俺に任せてよ!」
「開けーーーゴマ!」
、、、、、えっ!?
開くわけないのである。
『『なにそれ?』』
ギキギギィ、、、、
「『うそ!?ホントに開いた!!』」
決して火神の合言葉で開いた訳では無いのだが結果的に開門するのだった。
これは櫛名田姫が指示したものであった。
このまま兵を減らされる位なら城の中で闘うと言った判断の様だった。
何処からともなく不気味な声が聞こえてくる。
《うふふふふ、、、よくおいで下さいました。魔王の間へそのままおいで下さいまし。》
『那岐様、、、これは確実に罠だと思います、、、行きますか?』
それは誰が見ても明らかな罠だった。
しかしここまで来て退却した所で状況が好転することも無い。
火神達は話し合った結果、、、周囲を警戒しながら行くことで合意した。
そして、、、
魔王の間に辿り着く。
そこは煌びやかな装飾などは一切ない質素な造りであった。
城壁と同じ素材でコンクリートブロックの様な灰色の配色とクシナダ城の国旗である緑の旗が左右に6枚ほど貼ってあるだけである。
しかし魔王の間の近衛部隊と思われる兵隊たちは異常な数が居た。
その数およそ300人。
左右に5列の隊列を組み、こちらの動向を伺いみている。
通常魔王の間に在中する兵は10人程度が妥当だろう。
あまりに人が多いと戦闘の際に魔王を護ることが難しくなる事は誰が見ても一目瞭然である。
しかし今はその状況にない。
という事は魔王を護る気が無いことを意味していた。
彼らの戦闘配置は3人を数で圧倒し数の力で押さえ込もうと言ったものである。
まさに数の暴力。
そして5メートル空中に浮かぶ、、、《鳥籠》。
その中には人質の《夜叉姫》が囚われていた。
「夜叉姫!君を助けに来たぞ!父上との約束を果たしに来た!」
火神は声を張り上げ夜叉姫に声をかける。
しかし夜叉姫からは返答はない。
彼女は虚ろな目をし、衰弱しきっている様子だった。
「夜叉姫を早く助けないと、、、よし!」
火神はいきなり飛行を使い鳥籠を目指す。
しかし火神のその考えは甘く、鳥籠の周りには結界が張ってあった。
『貴様ら俺の事をなめすぎであろう?夜叉姫は渡さんわ!櫛名田姫の生贄にその身を捧げよ!』
素戔嗚尊が魔力を込め始めると周囲の兵隊たちはバタバタと倒れ始めた。
倒れた兵たちは魔力や精気を抜かれたかの様で完全に干からび絶命している。
《เหจวขจาลมชจบเจ~、、、、、》
櫛名田姫が何かを唱えている。
まるでモンゴルの《Хөөмий(ホーミー)》の様な声で1人で二重奏の様な発声する。
それはまるで呪術の様である。
その声に気づいているのは火神1人だった。
櫛名田姫が唱えているのは呪術では無かった。
それは、、、《禁忌の呪魔である魂喰》ソウルイーターであった。
神の生まれ変わりである火神には効かないのだがオロチ丸や難陀ですら重たくなり倒れそうになっていた。
「難陀?オロチ丸?大丈夫!?耳を塞いで!」
難陀とオロチ丸は耳を塞ぐが既に膝から崩れ落ちている。
魂喰は耳を塞いだ程度では防ぐことは出来ないのだ。
徐々に魂は喰われそして絶命する。
「くそぉ!!!アイツさえやってれば、、、全て焼き払ってくれる!地獄の火焰嵐!」
ヘルファイア、、、それはカグツチが使う魔法の中でも最強の温度と威力を誇る。
温度は軽く10000℃を超え、渦を巻いて相手に攻撃するのだ。
当たったものは熱による蒸発と嵐による破壊でその身を引きちぎられる。
しかしクシナダ姫の前に素戔嗚尊が立ちはだかる。
『ぐぁぁぁぁぁあああああ、、、くそが!我が妃には手出しさせんぞ!』
素戔嗚尊の体は半身が吹き飛び、もし生きていたとしても虫の息になっているはずの素戔嗚尊は、無くなった半身の開いた場所に黒い肉片がぐじゅぐじゅと音を立てて補い始めるのだった。
「素戔嗚尊って不死身なの?半身吹き飛んだよね?」
『ま、まさか、、、不死体なのか、、、?素戔嗚尊はまさか、、、不死の契約を?』
不死の契約には種類がある。
対等な関係で行うものや、主従関係になるもの、そして、、、彼が受けた秘術は《傀儡の心臓》。
そう。ただの《あやつり人形》と化すものである。
それは櫛名田姫との契約。
素戔嗚尊はその純粋な心を弄ばれ櫛名田姫に騙されてしまったのだった。
次回はこれから広がる世界を簡単に地図にしてみました。わかる人が見たら分かっちゃうかもしれませんが、、、
適当に作ったのではなく意図がちゃんとあります。
ヒントはインヴァースです。




