無一文
火神達のクエストは滞りなく終了した。
内容は取ってつけたかの様な地質調査だった。
「地質調査か、、、この土を瓶に詰めて、、、おっし!終わった。これで大銀貨8枚とかお得なのかな、、、?」
『まぁ破格ですよね。しかも《指名クエスト》ですよ。意図があるとしか思えませんね。まぁ僕達にとってはクシナダ城の調査もついでに出来るので願ったり叶ったりですが、、、』
オロチ丸は手を横に出しふぅーっと溜息を吐く。
「ま!考えてもしょうがないよ!でも、、、何を調べたらいいんだろ?塀の高さとか?」
『そうですねぇ、、、塀の高さもそうですが門の状況や城下町の雰囲気ですかね?あわよくば城下町へ滞在してもいいかも知れませんし、、、』
「そっか!じゃあ城下町行こっか!オロチ丸!!」
火神はルンルンした様子でオロチ丸の手を握る。
『はっ、、、、また、、、、』
もう!那岐様ったら、、、不意に僕の心を攫っていくよね、、、役得じゃぁぁん!
オロチ丸も嬉しくなって2人で手をブンブン振りながら城下町へと入っていく。
此処が悪夢の幕開けとなる事も知らずに。
~~
クシナダ城~
『おい。例の件どうなっておる?櫛名田姫よ。』
「スサが申した通りにしておりますよ?ギルドへ依頼し、密偵を送り監視しております。現在は城下町へ入った模様。」
『城内では《スサ》は辞めなさい、、、王でも魔王でも名前でも良いと言ってるのに、、、部下の者に示しがつかぬだろう?』
櫛名田姫はニッコリわらって
「ふふふ、、、やだ。私ったらおほほほほ、、、気をつけますわ?《魔王様♡》」
ただの悪戯だったらしい。
この櫛名田姫、かなりの美人であり、服装はまるでJCの読モの様な姿格好なのである。
この世界においては異端児と言える存在だろう。
服の配色は派手でヒラヒラしたミニスカートを履きこなし、髪型も少しウェーブがかかっているアッシュ系のロングヘアだ。
肌も白く透き通っていて、体は今にも折れそうなほど華奢である。
それでいてオッパイはでかいのだ。
ロリ巨乳ファンの皆様におかれましては正しく女神さま~と呼ぶに相応しい姫であった。
彼らの間には子供はいなかった。
それはその筈だ。まだ彼らが婚姻の契りを結んで数カ月なのだ。計算が合わなくなるのである。
彼女がこの国に訪れたのはちょうど半年前。
突然現れた彼女は《櫛名田姫》と名乗り、素戔嗚尊の伴侶に成りたいと言うのだ。
当然素戔嗚尊は笑い飛ばし彼女の話に耳も貸さなかった。
しかしその魔王素戔嗚尊との謁見の際に櫛名田姫が秘術と呼んでいた《予言の映像》を見せた。
そこには素戔嗚尊が火神と自分が討伐した筈である八岐大蛇が映っていた。そしてこの国が討ち滅ぼされるという予言だった。
映像の八岐大蛇は昔の姿と寸分違わぬ物で、疑う余地も無かった。
かつて素戔嗚尊が討伐した八岐大蛇だが後世に伝わった書物では改悪された姿だった。
それ故に神々や当事者の《8人の姫》以外には知りえぬ姿なのだ。
そう。素戔嗚尊が倒した八岐大蛇は当時幼女の様な姿だったのだ。
勿論変身することも可能だったし、巨大化等も可能だった。
しかし本来の姿はまさに《幼女》そのものであった。
『ふははははは!お前は誰だ?本当の名を言え!櫛名田姫は前の世で妻に娶ったが我は子も作れず生涯を閉じ神となった。仮にお前が櫛名田姫と言うのならうなじを見せよ!そこには櫛名田姫に相応しい《櫛》の形の痣があったはずだ。』
さあさあ!と素戔嗚尊が凄むが当の櫛名田姫は笑顔を絶やさずニコニコとこちらを見つめる。
「ふふふ。相変わらずね。《スサ》どうぞ?遠慮なくご覧になってくださいまし。」
そう言うと櫛名田姫は服をストンと脱ぎ捨て髪を上に結び始めた。
『「なっ、、、、」』
素戔嗚尊も周囲の側近も驚愕する。そして素戔嗚尊は彼らに玉座の間より退出する事を申し付けると、彼は櫛名田姫の首元へ手をかける。
『こ、これは、、、、、、んぐっ!?』
その時櫛名田姫は素戔嗚尊の首に手を回すと激しく口に接吻をする。
それはかつての妻である《櫛名田姫》の慎ましやかな妻の接吻とは全く異なるものであった。
ここから素戔嗚尊の意識は無くなるのである。
~~
『那岐様~城下町コームに着きましたね!ここでは宿や食料事情の調査をします。しかし、、、この町名物の《賭博》もやってみたいですね!』
「賭博?何それ、、?」
『賭博をご存知ない、、、?えっと、、、ギャンブルやカジノと言えば伝わりますか?』
「うん!それなら分かるよ!廃人が行く所でしょ?」
おいおい。火神君。君はお母さんにどんな教育をされてきたんだね?
『ま、まぁ、、、廃人は言い過ぎですが賭け事ですね。今あるお金を増やすのです。遊び程度ならそこまで損は出ませんから安心してください!』
「でも、、、僕は遊んで、、、場合、、、遊んで、、、遊ばない訳無いじゃないか!!!行くぞ!オロチ丸!!」
『はい!那岐様!いざ一攫千金を夢見て!』
彼らはチンチロリン、双六など様々な賭博に手を出した。
そして、、、勿論、、、、無一文に。
彼らは自ら茣蓙で包まり簀巻き状態で町を練り歩く。
「オロチ丸さん、、、賭博とは怖いですね、、、帰る手段すらも無くなりました、、、コームで稼がなきゃ飢え死にです。。。」
『申し訳ございません、、、ついつい僕が使い過ぎてしまって、、、』
彼らはあと少し、もう少しとどんどんと深みにハマり無一文になった。
それはギャンブルの、、、、いや賭博の悪魔の囁きに負けたのだ。
無一文になった彼らはコームの町にあるギルドへと向かう事にした。
この魔国も少し前までは魔族と人間の調和が取れていた。
その影響もありギルドは魔王が統治する王国にもあるのが普通のことらしい。
俺たちは茣蓙で簀巻き状態のままトコトコとギルドへ向う姿は滑稽であった。
ギルドの中に入ると普段の姿を取り戻す。
「よし。どんなクエストにしようかね?オロチ丸君。」
『そうですね。討伐系がいいと思いますよ?旦那様。』
彼らのテンションは壊れていた。
失うものは何も無い。
まさに向かうところ敵無しなのだ。
そして彼らは1つのクエストを受諾する。
元勇者の下僕とされていた《難陀》の討伐である。
火神達はこの先の洞窟に巣食うと言う情報を元に討伐に出かけた。
洞窟までは歩いて30分程度の距離にあり攻略もしやすい。
他の冒険者が幾度もチャレンジしたらしいのだが、討伐に向かうと、誰もがその後姿を消してしまうとの事だった。
クエストに失敗していることは明白であったが死んでいるのか、はたまた何処かで生きているのかも分からない状態らしい。
つい2日前にも数名の冒険者パーティーが挑んだがまだ帰ってこないらしい。
このクエストは彼、彼女らの救助の依頼も含まれており報酬は金貨8枚と元勇者討伐級に太っ腹な物となっていた。
決して火神達はお金に目が眩んだ訳では無いと言っておきたい。
《人助け》の為にやるのだ。
金の為ではないのだ。そこを勘違いしないで頂きたい。
そうして彼らは難陀が巣食う洞窟へと足を踏み入れた。
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