00話 プロローグ
玉響改め、葉月酒夜です。
覚えてる方はもう小説家になろうを卒業してますかね(笑)
今流行りのチート系ではないですが、たまにはこういうのもいいじゃない的なノリで読んでくだされば幸いです。
────誰しもが何かしらの運命を背負しょって生まれ、常にそれに抗いつつ生きている。
少年は父を知らなかった。
物心つくころには既にいなかった。
少年とその母は二人で暮らし、貧しいながらも幸せな日々を送っていた。
しかし、ある日少年の母が流行り病に倒れた。
風邪程度の軽い流行り病ではあったが、元々身体の弱い母はそれを拗こじらせ、徐々に疲弊していった。
少年は幼いなりに母の快復を信じて看病に努めた。
家を担保に、暫くの分の薬代を工面するも快復の兆しは見られなかった。
それでも母は、息が絶え絶えながらも少年の銀色の髪を優しく撫ぜ、自身の身よりも少年の行く末を案じた。
「ありがとう。ごめんね。」
母親が紡いだ言葉は短かった。
腕も、声も、昔のそれよりもか細く、頼りなくなっていた。
そのことは少年に、母親に残された時間があと微々たるものあることを嫌でも暗示させた。
少年は母の手を取り、『僕は大丈夫だよ』と、気丈に振る舞った。
母はゆっくりと笑って見せ、一筋の涙を流して人形になった。
少年は涙は流さなかった。
母であったそれの想いを鑑みると、涙を流してなどいられなかった。
母を弔った後、少年は家から追い出されて孤児になった。
それからというもの、そこいらで小間使いとして働きにでたものの、子供だからというひょんな理由で給金はしょっ引かれ、とても続きはしなかった。
仕舞いに物乞いや物盗りをして食い繋ぐ生活をするようになった。
時には林檎を。
時には名も知れぬ魚を。
生きるために、盗った。
己の行いに自問自答を繰り返したりもした。
それでも、少年はぶれなかった。
母を安心させるために言ったことを嘘にしないためなら、泥水啜り、腐肉貪る覚悟を決めていた。
そして、少年は今日も生きるために街に出向く──────
イカれる程文章が堅いですが見逃してください(笑)