最悪、オールドミスを貫いてもいいんだけど
誤字報告ありがとうございます。
もう二度と魔界には行かない。
昨日はそんな決意をしてから霊界に帰ったんだけど、一つ思ったことがある。
私、そう言えば人界ではローゼとして生きていかないといけないけど、そもそも結婚とか恋愛とかどうするんだ?
いや、霊王だからって理由で最悪、オールドミスを貫いてもいいんだけど。
レティアン王国では、二十歳の時点で結婚できていない貴族令嬢はいき遅れのレッテルを貼られる。
そして、ローゼは御歳十六歳、レイの百分の一もないけどあの国では結婚適齢期。
まあ、前まではあの馬鹿と婚約してたからそんなに焦ってなかったけど、そう言えば婚約破棄されたもんなあ……
私は、恋愛的に人を好きになることはあるのだろうか。
いやね、普通に尊敬的になら沢山いるんだよ?友好的でもいっぱいいるんだよ?
ただ、恋愛的に好きな人は今まで一度も出来たことがない。それは、レイも含めて同じこと。
あの馬鹿と婚約してたのだって、王家から持ち掛けられた縁談だったからだし。
そして何より、これからは政略的な感情で私に取り入ってくる人も多いだろうね。
だって私霊王だし。いくら人の姿だからと言っても、もたらす恩恵は沢山あるだろうし。
まあ、人付き合いは今まで通り、リズ嬢とかだけでいいかもね。そっちの方が気楽だし、逆に急に私に言いよってくる人は私の恩恵目当てってことでOK。
問題は弱体化なんだけど、実はあの時ヒュドラーが言っていたことは正しくない。
ヒュドラーは、私が人間になっていたから弱体化したとか考えてるんだろうけど、それは違う。
私が弱体化した原因、そしてクーデターを起こされるかもしれない要因、それは…………
あのクソジジイのせいだ。
あのクソジジイがいつから私を弱体化させようと考えていたかは知らないが、私が弱体化したのは実はクローカとの喧嘩が終わったその直後である。
恐らく、神界の一割を破壊した時からもう弱体化は決定してたんだろう。
そして、それならクローカも弱体化してていいはずなんだけど、あいつは弱体化していない。
それは多分、ペナルティの重さが原因だと思う。
クローカは三つの世界の"イレギュラー"解決。これは結構キツい。どれくらいキツいかというと、一週間くらい不眠不休なのと同じくらいキツい。
それに比べて私のペナルティはあの世界のイレギュラーを探るだけ。解決は別にしなくてもいい。
うん、私は弱体化させられても問題ないけど、クローカは弱体化したら危ないわこれ。弱体化したままなんて、いくらなんでも鬼畜すぎるわ。すまんクローカ。
さて、なら私はどうやって弱体化された分の力を取り戻せるだろうか。
それを考えている間に人界に着いてしまった。
まだ時間は止まったままで、見ていて結構面白い。
だって、私にぶっ飛ばされた警備員がそのまま宙に浮かんで止まってるんだよ?これを笑わずして何を笑うんだ。
『レイ。そろそろ時間を動かすぞ?いいな?いいよな。』
クソジジイから一言かかり、私のクソゲーは開始される。てか、相手の了承を取る前に時間動かしたけどいいのか?
あ、警備員が地面に落ちた。ねえ、ドンって聞こえたよ?ドンって!立て続けにその音が聞こえるからちょっと面白いんだけど。
「ローゼ様!!大丈夫ですの!?」
「はい、大丈夫ですよリズ様。」
リズ嬢が私の方に駆け寄ってくる。貴族令嬢は戦闘時以外は走らないんだけど、私を心配してくれてるみたい。なんかちょっと嬉しい。
「でも、どうしてでしょうか?ローゼ様に襲いかかろうとしていた兵士達が次々と宙から落ちてきましたわよ?」
ああ、そう言えば私が警備員をぶっ飛ばした所で時間が止まってたから、誰がぶっ飛ばしたかは分かんないか。
リズ嬢が私が警備員をぶっ飛ばした時に悲鳴をあげてたけど、それはなかったことにされたらしいね。割れた窓ガラスも元に戻ってる。
でも、今考えたらちょっと怖いよね。
だって、リズ嬢達が一瞬を過ごしていた間に、私は三日くらいの時を過ごしてたんだよ?普通に考えて、ちょっと怖くね?
「ペガサス、アリア・マオリーヴを拘束しなさい。」
さすがにこれ以上問題を起こされても困るから、一応拘束はさせてもらおう。
「ちょっ離しなさいよ!!こんなことをしても良いと思ってるの!?」
「我が主の命令ですので。」
アリア嬢は抵抗するけど、力でペガサスに勝てるわけがない。だって、八霊の一柱だからね。
ごめんとは思わないよアリア嬢。文句なら私にナイフを突き刺した自分に言ってね。
「霊王様に危害を与えようとした人間を拘束しろ。」
ヒュドラーも、警備員の拘束を始めた。ああ、何回見ても可愛いなあ水の下位精霊。
水の下位精霊は、上半身は人間で下半身は魚の、半人半魚。みんな深い海色の髪に同色の瞳。小さな体で駆け寄ってくる姿がもう可愛くて可愛くて堪んないんだよなあ………
おっと、子供を自慢する親のようになってしまった思考は一時停止しておいて、陛下の方へ向かう。
陛下は顔面を蒼白にしながら私を見つめた。
…………ドンマイ。
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