そろそろ本気で入国審査的なやつやろうかな
後半を大幅に編集しています。
あれから一時間。書類に海の様子や天候を書き記していったんだけど、そろそろ手が疲れた。
さっきフェニックスに頼んでココア入れてもらったけど、まさかのホットココア。今は人界で言えば春なのに。
まあ炎を司ってるフェニックスに頼んだ私が悪いけどさ。今度から冷たいのが欲しいときはフェンリルに頼もう。
「それにしても、本当に貯めましたわねレイ様。私達に出来るものはなるべくやっておきましたが、それでもまだこれだけの量があるとは。」
さっきとは違って擬人化してクリームシチューを持って執務室に入って来たペガサスがそう言う。くそっ、カレーじゃなかったか。
そう、もうお昼の時間なのに、まだ四分の一までしか終わってない。ペガサスとヒュドラーの手は借りてないけど、今は猫の手も借りたい状況だ。
人界に行く前だったらとっくに終わらせてる量なのに、一向に終わらないのがなんかイラつく。
天界との狭間を守ってる霊達からの報告書を確認して、ん?と首を傾げる。
報告書の内容はこう。
【1821区画、天界と霊界の狭間
天王エレンと七大天使との小競り合いあり
持続的に続いているため、目を通し次第、最高位の八霊による調査を希望する】
………天界が霊界に仕掛けてきた?
しかもそれが持続的に続いてるから、調査しに来てくれ?
なんのイタズラだ?これ作ったやつ馬鹿なの?
おかしくないか?
まず、エレンなんかと小競り合いなんて出来るわけないだろ。それに普通、対峙した瞬間、並の霊なら恐縮して戦えないと思うけど。
それに私は昨日エレンと会ったし、それにエレン単体じゃ霊界に来るなんてまず無理。
だったらまずはこの書類を作った子が怪しいんだろうけど、あんまり配下を疑いたくないんだよなぁ……
「ペガサス、この書類誰が作ったか分かる?」
とりあえず、多分こういう事に詳しいであろうペガサスに聞いてみる。
「ああ、これはここを魔王城だと勘違いした人間が私達を誘き出し、各個撃破しようとした時のものでしょう。」
まず、あの化け物のような戦闘能力を持った天王様と小競り合いなんて、私達でも不可能ですのに、中級の霊が出来る訳がないでしょうに。馬鹿なのでしょうか。……と付け足して答えた。
うわぁーペガサスめっちゃ辛辣だなぁー。私も馬鹿だとは思うけど、短慮過ぎるとも思うけれど。
そろそろ本気で入国審査的なやつやろうかな。まず、ここ霊界だし。魔王城なんてないし。
これがレティアンの所の偵察隊だったら笑っていい?てか、笑うわ。あの国がこれ以上霊界に無礼なことをしたら多分八霊に殺されるよ?
まあ、何も無いに越したことはないけど一応誰かに見に行ってもらおうかな。常識人組がいいけど戦闘能力と言ったら残りのちょっと変わってる二体か馬鹿三体なんだよなぁ……
あの馬鹿三体に任せたらもし人間がいた時、問答無用でスプラッタしようとするだろうし。
他の二体は片方は善良的なんだけど、もう片方は性格に難ありだし。
………もういっそ私が行こうかな、手の空いた時間に。
書類仕事を根性で終わらせて、お風呂入って、睡眠時間少し削れば何とかなるでしょ。
「という訳で私が確かめに行くから手伝ってくれペガサス。」
「いえ、私が確かめに行きますので、レイ様はしっかりと書類仕事をしてくださいませ。」
……なんてこった。
第一候補のペガサスに断られてしまったじゃないか。私の書類仕事を少しサボるという魂胆がバレたのか?
しょうがない、第二候補に頼もうかな。それがダメだったら第三候補に。さすがに第三候補までは行きたくないけど。
「ひゅ」
「ヒュドラーに頼むなんてレイ様が言う訳がありませんよね?」
「はい。」
ペガサスが怖い。
ダメだ、これ多分第三候補に頼もうとする前に阻止されるに決まってるわ。
多分……というか絶対、書類仕事が全部終わらせるまで執務室から出してくれないやつだ。
「では、確かめに行って来ます。二時間ほどで戻りますので、それまでにこの半分は終わらせておいてくださいね?」
そう言い残して去って言ったペガサス。
もう椅子に座って書類書くの疲れたんだけど。ペガサスいなくなったならもう寝っ転がって書こうかな。
ペガサス……というかヴァンパイア以外の常識人組は普段は優しいのに書類仕事になると厳しいんだよね。
でも、今その二体はいない。つまり、ゴロゴロするチャンス!!と思って書類とペンを持ってカーペットにダイブ。
「ぐほっ」
しようとした。
私のゴロゴロタイムを邪魔しようとした人を見るため上をみれば、そこにはとってもいい顔で笑ってるヒュドラーくん。私が今乗ってるのはヒュドラーの足。アハハ、どう考えても詰んだわ。
「…息抜きにも書類とペンを持ったままなんてレイ様は仕事熱心ですねえ?いやぁ……まさか、霊王である貴女が寝転がって仕事をするなんて、有り得ませんよね?」
「イヤーマサカソンナコトアルワケナイジャナイカ。」
思わずカタコトになってしまった。
でも、しょうがないと思ってほしい。だって怖いもん。爽やかな笑顔なのに目は全然笑ってないんだよ!?
「そろそろフェニックスが持っていったココアが無くなる頃だと思ったので追加を持って来れば……」
十六年もの間、人間でいたのですから本調子でないのは分かりますけど、さすがに床に寝そべって仕事はしないでください。と、付け足された後にため息をつかれた。
「うわお。なんで知ってるんだい?」
思わずそう聞いてみる。
そしたらヒュドラーはキョトンとした顔で、こう言った。
「霊界の自然の力が少し弱くなってますから。多分気づいていないのは八霊の中ではいませんよ?」
「ふむ。私が弱体化したとか知ったらクーデター起こされるかもとか考えてたんだけども。」
正直、これは事実だ。
全盛期の頃の私だったらクーデターだろうがなんだろうが徹底的にぶっ潰してみせる自信があったけど、今の私じゃ最高位の八霊の総攻撃を受けたら死ぬだろう。
それも、霊力で攻撃されるだろうから、もう一回転生するだろう。さすがにアレの経験は二回もいらない。
そんなこと考えてたらヒュドラーに笑われた。
オイ、一応私は君の主人なんだけどな?笑うのは失礼過ぎない?まあ、真顔よりはマシだけど。
「何故クーデターなどという発想に至ったのかを、教えて欲しいですよ、レイ様。」
………今、ちょっとヒュドラーじゃない声が聞こえたんだけど。私の気の所為?
そして、多分それが幼女の声に聞こえたのも私の気の所為?
正直、嫌な予感しかしないから振り向きたくないな!!心なしかヒュドラーの顔も引き攣ってるし、私の勘が当たっているとしか考えきれないな!!
「あらぁ……?私を無視なさるの?」
振り向いた先にいたのは、目が死んでる金髪ロリでした。
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