これは、クソゲーだ
ズドォォォォン
私は、とりあえずこの馬鹿三人を殴ることにした。……人じゃないけど。
なんかヴァンパイアが「ひぇ…」とか言ってるけど私は知らないな!!
クローカに殴られてる間は何も反応出来なかったけど、私はこれでも霊王だ。同じ霊の、しかも格下となら何人だろうが相手にしても問題ない。
昨日は危うく腹に穴が開きかけたけど、あれはクローカの攻撃がえげつなかっただけだから!!私が弱いわけじゃないんだからな!!
まず、光速で叩きつけられる打撃をあの時の状態でどうやって避けろと!?それこそ出来るのはエレンか爺様くらいだわ!!
ところで、この馬鹿三人……正式に言えば三体かな?壁に突き刺さってそのまま抜けないんだけど、どうすればいい?
いっそもう一回ぶん殴ってもう城の壁を貫通させる?でもそしたら建て直しが大変なんだよな。ここは神域とは違ってすぐ直るわけではないし。
直すのにはグリフォンの力を使うから十分で終わるんだけども、今は気絶中だろうからな。
でもグリフォンが気を取り直すまでの間、風が入って寒いからやだな。
「あ、あのぉ…レイさまぁ…ヒュドラー消えちゃいますよぉ…」
あ、ヒュドラーのこと忘れてたわ。すまん。
とりあえず、ヒュドラーの氷を溶かした。
もちろん炎で溶かしたけど、インフェルノみたいな大規模なものではない。まず、ここであんなのやったらこの城が吹き飛ぶ。
比喩ではない。ほんとに風の前の塵みたいにヒラヒラと飛んでいく。さすがに私はあんなクレイジーな真似はできない。
私はクローカみたいに馬鹿じゃないし、脳筋でもないし。
「んで、馬鹿三体は置いておいて、とりあえず最高位八霊を全員集めて。重大な話がある。」
「レイ様、もう全員います。」
なん、だとぉ!?
え?全員いるの?私が目視出来る限り五体しかいなくない!?
「レイ様、あの馬鹿三体数えてないんじゃないですか?」
あ、すまん馬鹿三体。完全に数に入れてなかったわ。最初に馬鹿三体は置いておいてって言ったのに。
「んじゃ、八霊全員揃ったところで話を始ようと思う。私はまだ帰って来たばかりだが、任務の関係でもう一度人界に行くことになった。」
「はい。知ってます。」
「え?なんで知ってんの?」
「しばらく人界に任務だと冥王様から言伝がありまして。あの馬鹿共の喧嘩の理由もそれが一枚噛んでおります。」
なんで喧嘩の理由が私の任務に関係してる??お菓子争奪戦してると思ってたのに全くの別ベクトルだったんだけど。
「そもそもなんであいつらは喧嘩してたわけ?」
そう私はヒュドラーに聞いた。他にも霊いたけど、ヒュドラーが一番近かったし。
「それはもし人界で霊王様に近づく不埒な者がいた場合切り捨てる役目を争っていたのですわ。」
あ、一番抜けはフェニックスだったか。
結構強めに殴ったつもりだったけどまだ足りなかったらしいね。長い間気絶させとくならもうちょっと強く殴らないと。
あと、なんだよ。私に対する不埒な者って。別にもうあの馬鹿殿下…あ、そういやもう殿下じゃないわ。
えっと、馬鹿とアリア嬢はもういないから私に対して不埒なことをするやつなんていないと思うよ?
「あと、ついでにレイ様の護衛についてでも争っていたでしょう。」
フェニックスに続くように付け足して来たのは翼の生えたミニサイズの馬のペガサス。本来はもう少し大きいんだけど、さすがに城にそのまま馬を入れたくなかったから、城内では縮小化か擬人化を義務付けてる。
ついでに、ペガサスは雷のエレメンタルを司る最高位の霊で、なんか変わり種の多いこの八霊の中じゃ結構な常識人に入る。……人じゃないけど。
「まず、レイさまに護衛は必要ないんじゃないの?僕たちより強いんだし。」
ヴァンパイアが極めて当たり前な正論を言う。
でも、今回ばかりはそうでもないんだよなぁ……
「そう言ってくれるヴァンパイアには少し悪いけど、あの三馬鹿の言う通り、今回は護衛が必要になった。」
私がそう言うとヴァンパイア、ペガサス、ヒュドラーの三人が目を見開いた。そういえばこの三体は馬鹿三体とは対極でめっちゃ常識備わってる霊だわ。残りの二体はちょっと変わってるし。
「ほら、私の言った通りだったでしょう?」
フェニックス。ちょっと自慢げにするのはやめなさい。さっき爺様から付けられたルールがなかったら絶対に護衛なんてつけなかったんだから。
爺様から付けられたルール。
緊急時以外に転移、未来予知などの特殊能力以外の霊法を使うことを禁ずる。
それは、私の身の安全が体術以外では守れない最悪のルールだった。
比較的楽な任務だと思ってたけど、前言撤回する。
これは、クソゲーだ。
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