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片方を応援するのは嫌なだけ

少し第三者目線が続きます。

 

 いきなり始まった魔王と霊王による、世界崩壊レベルの大喧嘩は殴り合いから始まった。


 先に仕掛けたのはクローカである。


 クローカの放った一撃はレイを壁ごと突き飛ばしていった。瓦礫が落ちて、並大抵の……例えば召喚された勇者などがくらえばひとたまりもなかっただろうが、そこは霊王。格が違う。


 結局落ちてきた瓦礫は特に意味をなさず、レイに跡形もなく粉々にされた。


「……相変わらず、蹴りの威力おかしいだろ。ガードしたはずなのに骨にヒビ入ったんだけど。」


 レイは呆れたようにそう言う。

 そう、先程のクローカの攻撃、瓦礫の威力は大したことはなかったが、肝心の蹴りは腕でガードされたものの、結構なダメージを与えられている。


 だが、呆れているのはクローカも同じだった。


「骨を折る気で蹴ったのにヒビしか入れられなかったって……あんたのガードこそ色々おかしいわよ。どうなってんの?」


 反撃といわんばかりにレイから鳩尾を狙われるがハンドスプリングで躱し、背中から殴ろうとしたが回し蹴りで対処される。


 互いを睨めつけ、クローカは一度レイから距離をとる。

 幸い、遠距離戦ならクローカの方が数段上だ。見つからなければ勝利は確実である。


 だが、クローカが遠距離が得意なら、レイは情報戦が得意だ。未来(フューチャー)予知(プレディクション)などを使われてしまえば、クローカは相当不利である。


 ……仕掛けられる前に、仕掛ける…!

 相手は自分と同格の強者。並大抵の攻撃は防がれるだろう。ならば、必殺級の攻撃を連発するしかない。


 フューチャープレディクション……長いから今後は未来予知と呼ぶが、未来予知には色々と制約がある。発動まで少し時間がかかるはずだが、モタモタはしてられない。

 それに、距離をとっているのでクローカはレイの現在地を把握出来ていないのだ。一刻でも早くレイを見つけて攻撃を叩き込まなければクローカは階段からずり落ちるように勝利から遠ざかるだろう。


 そう思い、迷宮のように広く入り交じった建物内を走り回る。

 ……が、いつまでたってもレイを見つけられない。クローカは焦るばかりだ。


「あぁぁぁ!!!!もう!!もういいわ!!出てきなさいレイ!!!真正面から叩き潰してやるわ!!!」


 ついには遠距離戦を放棄し、相手に出てこいと叫ぶ始末である。これではなんのためにレイから距離をとったのかが分からないが、もうこの際気にしてはいけない。


 クローカが遠距離戦を放棄した。

 ということは、レイにも充分に勝機があるということである。


 これは好都合といわんばかりに、レイはクローカとの距離を詰めに入った。


 ………


 一方、この喧嘩の原因になったアネルはと言うと……


「んー…カフェオレ美味しい。アネルちゃんは天才だね。」


 何故か、エレンの隣に座りこの喧嘩を観戦していた。もちろん、自らの意思ではない。エレンに半ば無理矢理連れてこられたのだ。


 どうしてこうなったのか。

 それが、アネルのただ一つの心の叫びであった。


「隣失礼するよエレンちゃん。」


「あ、ヒューズ君。」


 ……なんか増えた。

 ちなみに、アネルとこの二人は初対面である。ちょっと気安すぎるんじゃないだろうかこの人達。普通、知らない人がいたら警戒か何かしないか?


「ねぇ、エレンちゃん。この勝負、どっちが勝つと思う?」


 ヒューズがエレンに尋ねる。アネルも先程から勝敗を考えていたが、なまじレイの実力を知らないだけ予測が出来にくい。

 彼女は自分は結構強い方だと考えていたが、そんな考えは先程の殴り合いで叩き潰された。


 なんだこの化け物達は。

 自分とはまるで格が違う。クローカが強いということは知っていたが、ここまでとは考えていなかった。

 恐らく、彼女がクローカの最初の一撃をくらえば骨折だけでは済まなかっただろう。


「俺クローカが勝つ方に一票かなー。」


「私は引き分けで終わると思う。クロちゃんが遠距離戦を放棄してレイちゃんにも勝機はあるけど、近距離戦でもクロちゃんは充分強い。」


「へぇ……どっちつかずなんだ?」


「二人の総合的な実力を照らし合わせて一番可能性が高い予測をしただけ。別に、どっちが勝ってもいいし……」


「絶対最後のが本心だよね?」


 ヒューズの問いかけにエレンはそっぽを向いてしまう。どうやら図星らしい。


「片方を応援するのは嫌なだけ。」


「へぇ……じゃあさ。───────ら?」


 エレンはその持ちかけに目を見開くが、あとはヒューズは知ったことではない。これを実行に移すかどうかは全てエレン次第なのだから。


 ………


 場面は戻り、戦場─という名の神殿─である。


 そこては再び殴り合いが繰り広げられていた。先程とは違いその場にヒューズがいたら一瞬で殴り飛ばされるくらいの本気(ガチ)度である。


 そこには、絶対に必殺技を使わせたくないレイと絶対に未来予知を全力で使わせたくないクローカの互いの思惑があった。


 だが、クローカの戦況はあまり有利ではない。殴り合いながらでは必殺技を使えないクローカと違い、レイは少しながら未来予知を使いながら殴り合いができる。

 だからこそクローカはレイが予知出来ないスピードで攻撃を叩き込んでいるのだが、これもそう長くは続かないだろう。


 むしろ、未来予知を使うレイとこれ以上殴り合いを続けていても、いずれ交わされ始める。無駄な攻撃はこちらの体力を削るだけだ。


 そう考え、クローカはレイと再び距離を取ろうとした。……が、


「逃がすかよバーカ。」


 レイに腕を掴まれそれを阻止されてしまう。先程も述べたと思うが、クローカは遠距離戦が得意である。流石にレイでも認識外から攻撃されては対処が遅れる。


 いくら未来予知と言ってもこれは万能な訳ではない。

 この未来予知は、レイの五感で認識している空間でしか予知が出来ない。しかも最初に発動をするまで時間がかかる。いつもならもっと別のやり方で使うのだが、レイ一人ではそれは出来ない。


 故に、クローカに逃げられるのは避けたい。だが、他にも懸念事項はある。


「かかったわね!!地獄の業火(インフェルノ)!!!」


 ……今のように必殺級の攻撃を発動されることである。

 認識内だったので間一髪で避けられたが、これを認識外からやられるとなると冗談抜きで直撃する。


 ちなみに、先程のインフェルノはレイの後ろにあった大樹を一瞬で燃焼させ、何事かと様子を見に先程から来ていた神使を泣かせた。

 これでクローカとレイの反省文提出は確実だろう。


 こうして、殴り合いから続き、二人の必殺級の攻撃の打ち合いが始まる。


 ちなみに、先程神使を泣かせたと述べたが少し訂正しよう。

 あれで神使も泣かせた。そして、始祖神も泣かせていた。



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