どんな修羅の道歩いてんだよ悪役令嬢
「第127万回、イレギュラー対策本部会議を始めるぞい!!」
「いえーい。」
「どんどんぱふぱふー。」
気合いたっぷりの爺様に対して返ってきたのはやる気の無さすぎる返事。ちなみに、言ったのはクローカとエレンだったりする。
「爺様、今回は127万回じゃなくて362万回だから。ついに老けたの?認知症?」
「なっ!儂はまだ老けとらん!まだたったの(自主規制)歳じゃ!!」
「いや、充分な歳だわ。」
爺様の歳、0の数が10を超えてるんだからもう充分歳だよな。なのにまだ全盛期の力を保ったままって、どんな化け物だよ。
「今回の"イレギュラー"は名付けて、『乙女ゲームの悪役令嬢に転生しちゃった!でも破滅なんて絶対に嫌!私は絶対にバッドエンドを回避してみせる!!…のような想像、もとい妄想が世の中に多すぎて本当に起こっちゃった!』……じゃ!!」
「「長いわ!!」」
ついハリセンを出して爺様をみんなで吹っ飛ばしてしまった。
てか、なんだよ。悪役令嬢に転生したら破滅するって。どんな修羅の道を歩いてんだよ悪役令嬢。
「で、どんな内容なの?」
クローカが目を輝かせながら聞いた。うん、お前確かそういうシチュエーション大好きだったもんね。結構聞かされてた気がする。
「【乙女ゲーム】、知っとるじゃろ?」
「詳細は知らん。」
「名前だけは…」
「もちろん!」
「あー…女の子が好きなアレか…」
ちなみに、上から私、エレン、クローカ、ヒューズね。乙女ゲームの大まかな内容は知ってるけど詳細は知らないんだよな…
………ん?乙女ゲーム?
「あ……」
もしかして、もしかしてだけど……アリア嬢、本当にヒロインだった?仮定だけど、あの世界は本当にゲームの世界でアリア嬢はそこに転生してきたヒロイン(仮)だった?
つまり、悪役令嬢は……私か?
いやいや、まさか…まさかね。
私の仮定が本当だったら笑えないよ?なんか面倒くさそうなことを押し付けられる気がするよ?気の所為?
「……ねぇ、クローカ。一つ聞きたい事があるんだけど、悪役令嬢の破滅って何?」
クローカにそう聞くと、少し首を傾げた後、ハッっとさせて私の手を掴んできた。
おい、クローカ!やめろ痛い!お前全力で握ってんだろ。痛いから!!
「分かったわ!!レイも乙女ゲームやりたいのね!!私のソフト貸してあげるから一緒にやりましょ!!」
おい、魔王が乙女ゲームなんてやってんじゃねぇ。なんて思うかもしれないけど、意外にここは娯楽が少ないんだよね。
だから人界からわざわざ持って来てるんだけど、それがクローカは大好きで仕方ないらしい。
「ちなみにエレンはどうする?」
「うーん…やろうかな…」
え、あの、クローカさーん?私の質問に答えてくれない?え?無視なの?ねぇ…
私の心の中のことなんていざ知らず、クローカは私とエレンの腕を引っ張り円卓の間を出ていく。
「え、ちょ!みんな!?」
慌ててヒューズが止めに入ろうとしたけど、
「黙れ変態ストーカー。」
「え!?なんでクローカがそれ知ってんの!?」
クローカには勝てなかった。
うん、恨むなよヒューズ。ちなみに教えたのは私じゃないからな!!
私がエレンに教えてそれをエレンがクローカに教えただけだからな!!私は悪くないぞ!!
「変態ストーカー(笑)……」
「カッコ笑いなんて言わないでくれない!?」
「エレン…」
「あんた…」
「え、何かいけなかったの?」
「「超グッジョブ!!」」
思わず親指を立ててしまった。でも、エレンに悪気はないからな。ヒューズも強くは怒れまい!
…………
帰りたい。
天王であるエレンはそう考えていた。普段何事にも無表情で何も考えていないような彼女がこんなことになった理由。
それは、何を隠そうクローカが持っていた乙女ゲームのせいである。
その乙女ゲームはなんの変哲もなかったのだが、レイ曰く、純粋無垢な心の持ち主である彼女には刺激が強すぎたのだ。
何故二人は顔色も変えずにプレイができるのだろうか。
彼女はそれが不思議でならなかった。彼女もゲームはする。ポ○モンやマ○オなどは結構上手い。ちなみに彼女の一番好きなポ○モンはロ○ンのア○ーラのすがたである。
まあ、彼女の好きなゲームは置いておいて、今度は二人がプレイしているゲームを見てみよう。
ゲームは現在主人公が攻略対象に告白をしているシーンである。
クローカは楽しそうに目を輝かせて見ているが、レイの目は死んでいる。
「きゃー!見て!レイ!!キスシーンよ!!」
「あー…うん。見てる見てる。だから私の肩を揺さぶるのはやめようね。吐くから。」
その時、レイに酔い止めと水が差し出された。
ここまではいい。よくクローカの所の悪魔が差し入れでくれるのだ。
だが、目の前にいるこの女は悪魔では無い。
……エルフである。しかも、白髪の、オッドアイ。しかも、メイド服。
「クローカ…お前…」
ついに人攫いを始めたのか。そんな意味を込めてレイは非難めいた視線を向ける。
「違うわよ!!その子はうちの新しいメイドよ!!」
「嘘つけ!!お前この前白髪のエルフはいい魔法の生贄になるって言ってただろうが!!」
「はあ!?確かに言ったけど、生贄が必要な魔法なんて意味無いでしょう!?寝言は寝て言いなさい!!」
「上等だわやんのかゴルァァ!!!!」
「ああ!!いいわよ!その喧嘩買ってやるわよバーカ!!」
「え?あの?」
突然始まった喧嘩にエルフのメイド……アネルは困惑中だ。彼女の肩にぽんと手を乗せ、「大丈夫だよ。よくあることだから。」と告げるのはエレンである。
突然始まった喧嘩が後に神域を三割ほど崩壊させることになるなど、まだ誰も知らなかった。
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