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閑話_…貴方、まだ生きていたい?

 

 一方、時は三日ほど遡り、とある国の王城である。


「あ…あぁっ!成功だ!成功したぞ!」


 そこには巨大な魔法陣が展開されており、大量の魔術師と見なりのいい小太りの男が歓喜している。


 その理由は魔法陣の上に座っている一人の少年だろう。


 ローブ姿の魔術師が目立つなかで、やたら一人だけ身形(みなり)のいい小太りの男、名はファーマルと言う。彼はこの国の宰相で、この"勇者召喚"の儀式の最高責任者だ。


 そして、肝心の勇者は…


「異世界転移キタコレ!!」


 などと叫んでいる。


 双方の歓喜に包まれたこの部屋は後にこの国の王女が現れ、少年に現状を説明する。


 曰く、魔王クローカが解き放った魔物から日々迫害を受けていて、この世界の現状は危ういものもなっている。そこで、大昔、天王エレンに授かった召喚の儀を使い少年を異世界から召喚した。

 どうか、勇者の力でこの世界を救って欲しい。


「玉座の間へ案内致します。どうぞこちらへ。」


 王女のその言葉の後に、この部屋からは誰もいなくなった。



 ……はずだった。


「…あいつらを、勇者を、全員…」


 そう呟いた彼女の髪は白く、目は黄と緑のオッドアイ、耳は長く、尖っている。その顔は見目麗しい。

 様々な特徴から考えるとエルフだろう。


 この世界のエルフ族は他の人族、獣人族、吸血族、小人族の五つの人種の中で最も寿命が長く、霊力量、ないしは魔力量が膨大で美形が多い種族だ。

 だが、滅多に他種族の前に姿を表さず、こんな人族領の、しかも王城にいるのは不自然である。


 だが、次の瞬間全ての辻褄が通った。


「大人しくしていろ。どうせ、お前はもうすぐ売り払われる。」


 男が現れ彼女を拘束し、王城の外へ連れ出した。

 連れてこられた場所、それは奴隷市場である。


 彼女が人族領にいる理由。

 それは、無理矢理誘拐されて来たか。または生贄として差し出されたかのどちらかだろう。

 先程も述べた通り、エルフは魔力量が多い。"勇者召喚"には膨大な魔力が必要だ。


 彼女はその媒介とされる魔力タンクとして使われた。

 先程からの彼女の全てを殺さんばかりの瞳には光が映っておらず、虚ろとしている。

 あれほどの魔力を絞り出されて、意識を保てている方が異常なのだ。彼女はゆっくりと目を閉じ、意識を手放した。



 そして、彼女が次に見た光景は周囲を燃やし尽くさんばかりの灼炎である。


「なに…これ…」


 彼女の口からはこんな言葉が溢れ出ていた。


「なにこれ凄い」


 光が映っていなかったはずの瞳は輝いており、心なしか表情も明るく見える。


 彼女はこの炎の原点を探そうと辺りを見回すがそれらしきものはない。

 …否、あった。この炎こそが原点だ。

 炎は巨大な魔法陣を描き、周囲を燃やしている。


 そして、彼女は想像した。

 自分が、この魔法を使えていれば、こんなことにはならなかったのではないか。……と。


 彼女は自分の無力さと弱さに悔しくなった。それと同時に……


「復讐…復讐したい…私をこんな目に追い込んだあいつらに…」


 あと、数秒もすればこの炎は自分を包み、燃やし尽くすだろう。なら、その時間までは自分を売った同胞、人族、勇者を恨んでいよう。


 そう思っている間にも、彼女に炎が襲いかかる……はずだった。


「…貴方、まだ生きていたい?」


 彼女に襲いかかるはずの炎を消したのは、彼女より歳下に見える少女だ。傍からみれば、倒れている大人に少女が大丈夫?と聞いているだけに見えるだろう。


 ……この子、身体に内蔵されてる魔力量が多すぎる!?

 彼女はエルフ族でも随一の魔力量である。でなければ、"勇者召喚"など、大量の魔力を使う儀式の溶媒になり、それでいて生きているなど、不可能だ。


 だが、目の前の少女はそんな彼女からしてみても体内の魔力量がおかしかった。多かった、ではない。おかしかったのである。

 明らかに自分の十倍以上はある。いや、それどころではないかもしれない。

 自分より魔力量が多い相手がいる。それは彼女にとって未知のことだった。


「ねぇ、貴方、私の話を聞いている?」


 黙々と考えこんでいる彼女に少女は問いかけた。


「貴方は…何?」


 彼女の返答に気分を害したのか、怪訝そうに少女は眉を顰めている。


「あら、ダメよ?質問をしているのは私。だから、もう一度聞くわ。貴方は、まだ生きていたい?」


 生きていたいか。そんなの、答えはもう決まっている。


「私は、まだ生きていたい。そして、私を貶めたあいつらに復讐を…」


 彼女がそこまで言うと、少女は可笑しそうに笑った。


「ふふふっあははっ!!

 いいわ!実にいい!貴方最高よ!!そして、貴方にそんなことを言わせるようなことをしたこの世界も最高よ!!」


 そして、彼女は少し息をつき、こう言った。


「私はクローカ。魔王クローカよ。」


 その名前を聞いて彼女は驚いたような、納得したような顔をする。

 彼女をこんな目に合わせた元凶だろうが、もうこの際どうでもいい。まず、復讐をしようと思っても、この少女に自分が勝てる未来が思い浮かばない。


「あら?殺意を向けてこないの?」


「もう、この際元凶云々はどうでもいいです。私は、強くなってあいつらを全員殺したい。」


「ふぅん…それは、貴方の同胞であるエルフ族も?」


「ええ、全員まとめて殺したい。」


 彼女がそう答えるとクローカは、


「へぇ…じゃあ、今の貴方はさしずめ、闇に堕ちたエルフといったところかしら。名前は?」


「私には、元々ダリアという名がありましたが、もう必要ありません。」


「そう。じゃあ、アネルね。」


 ……その時、ダリア…もとい、アネルは思った。


 どうゆう意味だろうか……と 


面白い、続きが読みたいと思って頂けたら下の評価ポイントを押してくれると有難いです。


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