君結構凄かったんだね
「あんたの…あんたのせいでぇぇぇ!!!」
目の前にはナイフを持ったアリア嬢。後ろには何処からか出てきた王城の警備員さん。
あれ?アリア嬢、ついに頭おかしくなった?それとも、元からおかしかったの?君の両親である子爵と夫人がビックリしながら顔青ざめてるよ?
あと、君結構凄かったんだね。あの魔法の檻、私が知ってる限り君じゃ絶対に解けないと思ってたのに。もしかして覚醒でもした?
警備員さんに魅了の魔法がかかってるし、ナイフも少し魔力を帯びてる。まあ、それだけだけどね。
「キャー、タスケテー」
もちろん、嘘だ。棒読みで言ったから結構な人に苦笑されてる。別にアリア嬢の戦闘能力で私がかすり傷を負うわけないし。まず、あんなちっちゃいナイフが当たった所で痛くも痒くもない。
私を殺したいなら天力に満ち溢れてる大剣を持ってきて欲しいよね。それか、スナイパーライフルで。意識外から攻められたら流石に防げない。それでも受けるダメージは微々たるものだけど。
グサッ
アリア嬢のナイフはそのまま私のお腹に刺さり、まさか刺さるとは思わなかっただろうアリア嬢は顔を青くしている。これでマオリーヴ一家は全員顔が青いね。
まさか、兄様達も無抵抗で刺されるとは思わなかったのか、目を見開いてる。
それにしても、全然痛くない。ぶっちゃけ刺さってるだけで血なんて出てないし、多分これダメージは1も入ってないと思う。これと、テーブルの脚の角に小指ぶつけたのならどっちがダメージ入るんだろうね?
とりあえず、リズ嬢達が悲鳴上げてるから起き上がりますかね。
「えいやっ」
「「え?」」
私はびっくりしてる人達を横目に警備員さん達の方へ歩み寄り…
「ていっ」
全員ぶっ飛ばした。
血が出てたり、窓ガラスが割れてたりしてるけど、私は知らないよ?だって、包囲されてたら普通は全員ぶっ飛ばすでしょ?
残念ながら、血とかが飛び散ってしまってて、またリズ嬢達が悲鳴を上げてる。ごめんよ、文句ならアリア嬢と警備員さんに言って?
「…まあ、この混乱ですし、帰りますかね。」
このカオスを見渡して、私はそう呟き、霊界へ帰った。
………
「あっはははっ!ほんと、サイッコーだわ!!」
ここは始祖神の神界の円卓。そこには少女が二人、中央にある水晶を中心に座っている。
片方は腹を抱えて大笑いし、もう片方は……無。ただひたすらの無表情である。
「クロちゃん。レイちゃんはいつ来るかな?」
無表情の少女はクロちゃんと呼ばれた少女…クローカに問いかける。
「さあね?レイって基本時間にルーズだから、もう少し先かもよ?」
「大丈夫なの?それ。」
「まあ、レイが帰って来たらお爺さまに今回の"イレギュラー"を聞かないといけないから、早く帰って来て欲しいものね。」
クローカは隣にいる少女、エレンは一瞬驚いた顔をし、クローカを見つめた。
「きゃっあんまり見ないで?照れちゃうわ。」
クローカはそうふざけるが…
「ふざけるのはダメだよクロちゃん。なんで"イレギュラー"が出てるなら教えてくれなかったの?」
「ふふふ…なんとなく!」
エレンの問いかけにクローカはドヤ顔で答えるが、エレンは「おぉ〜」と無表情で手を叩くだけだ。もしここにレイがいたのなら、「ドヤ顔してんじゃねぇ。」と一蹴しただろう。
だが、エレンが相手なら大抵のことは辻褄があってなくても「クロちゃん凄い。」で済まされてしまうのだから、恐ろしいものである。
「いや、エレンちゃん。それ、おぉ〜で済ませていい問題じゃないからね?」
そうやって現れた瞬間にツッコミをすることになったのはヒューズである。クローカはそんなヒューズに、
「黙れ雑魚。」
と、笑顔で言い放つ。エレンの時との温度の差が激しいのは言わずもかな。言ってることはなかなかに酷いが、実質事実なので反論のしようがない。
そう、ヒューズは霊王、魔王、冥王、天王の四人の中で一番弱いのである。相性の上では確実に勝っているはずのクローカに負けるのだから、相当である。
弁解であるが、彼は別に弱いわけではない。むしろ、相性で負ける霊界の最高位の霊でも一体一なら負けはないだろう。つまり、クローカが強いのだ。
まあ、四人の中では一番弱いのは仕方ないだろう。女は本気を出すととても強いのだ。
…まあ、今はどうでもいいだろう。
とってもいい笑顔なクローカと無表情のエレンにヒューズは告げた。
「もうすぐレイちゃんが帰って来るよ。」
その言葉を聞いた二人の喜びようは、言うまでもない。
魔王→クローカ
天王→エレン
やっと全員出せました…
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