この門番、怪しすぎる
そして、城に着いたわけだけど、デカい。知ってたけど、久しぶりに見るとやっぱりデカい。レティアンの王城といい勝負なんじゃない?
ただ、傍から見るとこの城、RPGで言うところの魔王城に見える。何も知らない人からすると、「な、なんでこんな所に魔王城が!?」って思わず叫ぶだろうくらいには真っ黒。
城塞があって、今は中が見えないけど中には立派な庭園があるから、中から見れば魔王城には見えないんだよね。まず、魔王城じゃないけどさ。
とりあえず、城の中に入ろうと思ったけどここで一つ問題発生。
「すみません、関係者の方以外は城に入れないようになっておりますので。」
まさかの、いないと思っていた私を知らない人がいた。え?嘘でしょ?私、姿も霊力もそのまんま霊王なんだけど。え?もしかして知らない人いたの?もしかして、君が不審者?
てか、フェンリル!この門番どうなってるんだよ!人くらいちゃんと選んで!
「私、霊王なんですけど?」
「霊王様がそのような服装をしているはずがありません。変装ならもう少しマシな物を用意してください。」
その霊王がそのような格好をしてるんだよ。
あれ?でもおかしいぞ?私、割とこのくらいラフな服装で王城出入りしてるぞ?
それに、いくら姿形を真似したって私の霊力だけは真似出来ないはずなのに、それが分からないのがいるのか?
「とりあえず、あなた怪しいので連行しますね。」
ちなみにこの言葉を言ったのは私だ。
だってこの門番、怪しすぎる。ダメだろ、門番が霊王の事が分からないって。とりあえず、多分一番霊が集まってる場所まで連れて行きますかね。
門番(仮)が離せとか言ってるけど私しーらない。
そして着いた、霊が一番多かった場所。
それは……食堂!うん、お昼どきだもんね。みんなご飯食べてるよね。いいな私も食べたい。
……それは置いておいて、私は食堂のドアが閉まってて、片手が塞がってたから足でドアを開けたのよね。そしたら、勢い余ってドアが吹っ飛んじゃった。あは、今の自分の戦闘能力忘れてたわ。
当然、楽しく食事してた時にバァァン!!なんて、でっかい音が聞こえたらそこに注目する訳で。そこに霊王に姿も霊力も丸々同じな女の子が門番を片手で掴んでたらびっくりして固まるよね。
だが、敢えて私はこの静かな状態で言う!
「この人、門番なのに私の顔知らなかったんだけど、この城大丈夫?」
反応無し。
「とりあえず、この人どうすればいいわけ?従頭の所にでも連れていく?」
反応無し。
「ああ、分かったわフェンリルの所に行ってくる。」
反応な…「えぇぇぇえぇぇ!!?」
反応あり。
そしてそこから来るわ来るわ質問の群れが。
フェンリルとフェニックスから聞いてなかったの?めっちゃ、どうしているんですかって質問が多かったんだけど。
あと、そろそろこの不審者をどうにかしたい。そして、ここ食堂。お腹空いたんだけど何か食べていっちゃだめかね。
「と、言うわけでヒュドラーくん。私はご飯を食べてから行くからこの不審者くんを大広間へ連れて行ってくれたまえよ。」
「全くどういうわけか分かりませんでしたが、畏まりました。」
私が不審者を託したのは水のエレメンタルを司る最高位の霊、ヒュドラーである。彼は毒のスペシャリストで、あの不審者が誰かに危害を与えようとした場合、容赦なく猛毒を浴びせるだろうからね。
うん、近くに他の精霊とかがいないか確認してから使ってね。
そして、話が180度変わるけど、オムレツうまい。
オムレツを食べて機嫌上々の私はヒュドラーに指示した通り、大広間に来ていた。そこに待ち受けていたのは、
「すみません情報は全て吐くので見逃してくださいお願いします…」
断頭台とさっき捕まえた不審者…私はドアを閉めた。
さっきのは幻覚だ。私はスプラッタ予備軍なんて見てないし、なんかみんな黒い服着てたとかしらない。
うん、大丈夫、不審者はまだ無事だ。そう、まだ無事…
そう思ってもう一度ドアを開けた。瞬間目に入った光景は断頭台にセットされかけてる不審者。
驚いてまたドアを吹っ飛ばしちゃったんだけど。これはもう不可抗力だよね?
「キミタチナニヤッテルノ」
思わず片言になったことなんて私は知らない。大丈夫、肩を震わせてなんてないさ。足は震えてるけど。
「ああ、霊王様に対する不敬をこの場で償わせようかと。」
「まって!?私、ただ怪しいと思って連れてきただけだから!!」
「霊界にいながら霊王様の事が分からないなど無礼の極みです。殺します。」
「とりあえず、不審者さんを断頭台から離そうか!これ命令ね!?」
とりあえず、このままじゃ首がコロンしそうだったから断頭台をどっかにやってもらって、不審者から話を聞いた。
「つまり、勇者召喚をした国がここを魔王城と勘違いして偵察隊を出したってことか…」
ここ、魔王城じゃないんだけどな。
霊界の神聖なる城なんだけどな。大丈夫かなその国。第一、魔界はこことは真逆だぞ。空気の圧が強いし、一日中夜なんだぞ。
「はいそうですどうかご慈悲を…」
「うん、じゃあ君は仲間がいるならそれと一緒に早く帰りなよ。あと、ここは魔王城じゃない。霊界の城だ。」
そう告げると、不審者もとい、偵察隊の人は顔を青くして帰って行った。最近顔面蒼白な人を沢山見かけるんだけど、なんでだろうね。
「……で、フェンリルくんや。なんであんな怪しい人を門番として雇っているのだね君は。」
とりあえず、今日一番疑問に思ったことをフェンリルに訪ねると、何気ない顔で、
「泳がせておこうかと。」
なんて帰って来よった。ふむ、つまりあの門番だった人が偵察隊だったなんてことはみんな知ってたわけか。うん、どうなってるんだよとか思ってごめん。
「じゃあ、私がいなかった間にあった事を聞…」
「やっほーレイちゃん。そろそろ人界は夜だから迎えにきたよー」
「人の話を遮るな、死ね。」
「酷い!」
私がいなかった間の事を知りたかったのに、ヒューズが乱入してきて何も聞けないまま人界の家に帰った。
使用人の人にもなにも言わずにきたので、母様に不在の理由を聞かれたのは言うまでもない。
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