魔女と願い事
休日に思いついた作品です
少々長いですが、よろしければ読んで見てださい!
突然ですが貴方は運命を信じますか?
小さい頃にある方に命を救っていただき私は初恋を知った。これはまさに運命だ、そう思った。
それからいつかきっとあの人がまた私に会いに来てくれると、彼は私の王子様なのだと乙女チックなことを考える時代が私にもありました。
しかし私は運命なんて物を今では微塵も信じていない。
そんな懐かしき日から10年経ち私はもうそんな事を忘れていた、いや黒歴史として心の奥底に眠らせてしまった。
しかし大学2年になったあの日、魔女に彼との再会を願ったあの日。また私の中で運命が動き出した。
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春になり桜舞い散る中、他の学生達がわいわい、ぎゃあぎゃあ、いちゃこら騒いでいる。そう、ここは通称暇人どもの巣窟、大学である。この四月で私は無事平凡な大学2年生へとランクアップした。まぁ中には期末テストでひいひい言っている人もいたが。
と、まぁそんなどうでもいい話は置いといて、私は進級の手続きのために久方ぶりに大学へと訪れていた。初めての大学生としての春休みだったが、ものすごく充実したものであった。なんたって、長い長い、約二ヶ月も行かなくてもいい。幸せだった…
「お~い、沙希ちゃん手続き終わったか~い?」
私の名前を叫びながら私が座っている学食の席に向かって爆走している彼女は、輿方 真那。何を隠そう危うくタイムスリップ(留年)しかけた私の大学での唯一無二の友人である。
「もう、やっと終わったんだね。待ちくたびれちゃったよ…」
「いや~ごめんごめん」
わいわいがやがや
「ところで、沙希ちゃん。魔女の願い事って噂きいた?」
「また、あんたは噂に振り回されてるの?」はぁ
そう、彼女は同じ大学部ないではかなりの情報通であり、しょっちゅう変な噂話や大学七不思議の調査をしている。春休み前にも、毎年同じ講義出ている通称時間旅行者(超留年している先輩)の調査で彼女は期末テストで赤点を取りかけ、彼女自身が時間旅行者になるところだったのだ。
「いやいや、今回は本当なんだって。実際に願い事を聞いてもらったって言う人がいたんだよ」
「ま~た胡散臭い話だな…」
「いやいや、でもお願い事を聞いてくれるんだよ!それに魔女の存在も気になります!」
懐かしいなそのネタ。私も一時期あの作品に熱中してたなぁ。しかし、それ以上に気になったのは…
「とは言っても、お話をただ聞いただけかもしれないよ?それに相手は魔女なんだからもしかしたらなにか代償とか求められるかもしれないよ」
「あぁ、その可能性まで考えてはいなかったな~」
「で、どうすんの?」
「え、どうするって?」
「魔女の願い事、調査するの?」
「え、協力してくれるの!?」
「まあ、その私も気になるし…」
「あ~私の持ちネタ取った~」
ふふっ、今までは考えられなかった友とのこんな会話がとても楽しい
こんな日々がずっと続いたらいいのにな…
「ふふふのふ、まぁ沙希ちゃんがこの噂に興味を持つのはしょうがないか」
ニヤニヤしながら真那が意地悪そうに呟く
「なによその顔は、どういうことよ…?」
「沙希ちゃんには会いたくてしょうがない運命の人がいるからね~」
「っ!?な、なんで真那がそのこと知ってるのよ!」
な、何故だ。このことは今まで誰にも告げたことはないはずなのに…
「実は、この前沙希ちゃんの家にお泊まりしたときに昔の日記見ちゃった」てへぺろ
「…はぁ、そういうことね」
「いや、ごめんね。本当は見る気はなかったんだけどさ~。沙希ちゃんのそういう浮ついた話を今まで聞いたことがなかったから、ついね…」
「まぁ、過ぎちゃった事はもういいよ…」
ああ、最近やっと頭の中からなくなり始めてたのにな…
この世に運命なんて物は存在しない
この世にあるのは起こったという事実と必然だけ
「それより、真那今日はバイトじゃないの?」
「あぁーー!そうだってもうこんな時間だ!ごめん先に行くね!」
「はいよー、気をつけて行きなよ」
ばたばたと慌てながら席を立って走って行った
…どうにかごまかせたかな、いくら真那でもあの話は言いたくない
それに私自身もう諦めがついている。今頃あの方はきっと幸せに誰かと暮らしている、だから私の前になんて二度と現れやしない…
「私も帰ろうかな」
そう、独り言を呟き私も席を立った
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春風の温風を感じながら私は帰路につく途中、学食に忘れ物をしたことに気づきまた大学に戻ってきた。
どうせ明日も来るからそのときでもいいやとも思ったが、時間にも今日は早く大学も終わったことからわざわざ戻ることにした。
「えーと…あ、あったあった。さぁ、帰るかな」
「運命の人か、もう会えるわけないのに何を夢に思ってたんだろ…」
忘れ物も回収しとことだし帰ろうかと思ったその時、全身黒い服装女性に呼び止められた
「ねぇ、あなた運命って信じてる?」
「(なんだ、この怪しい人は…それになんだ、あの胡散臭い宗教の勧誘みたいな発言は)いえ、私は運命なんて信じてません、って事で私はこの辺で…」
「この10年もあの人を待っているのにかい?」
「っ!?何でそのことを今まであったことのない貴方が知っているの?」
この女性は何者だと、警戒して改めて見つめる
「そうね、まずは自己紹介からしたほうがよさそうね。私は貴方たちがさっきこの場所で噂していた魔女よ。名前はアリスとでも呼んでちょうだい。」
「…そんな話信じるわけないでしょ(不思議の国にさまよう少女の名前を持つ魔女なんて明らかに怪しいしよね)」
「残念ながら私は本物だよ、それに不思議の国を彷徨った少女でもないよ。なかなか、心の中では面白いことを考えているのね貴方は」
そうつぶやき、上品そうにこちらをみてクスリと笑う
「…今日は驚かされてばかりね、本当に私の心の中を貴方は読めるの?」
「ええ、なんせ本物の魔女ですから。さて、前置きが長くなったわね、改めて聞くわ貴方が願うことは何?」
「…でも何か代償とかがあるのでしょ?」
「確かにあるにはあるけど、貴方の願い事ならばたいした代償は必要ないわ。そうね、私の弟子としてしばらく手つだってくれるのなら、こちらは構わないわ」
「…何で私の願い事を叶えようと思ったの?」
「それは偶然よ、貴方が偶々この時間に忘れ物を取りに来た。そして暇つぶしに私が貴方の心を読んだときに、面白いことを考えてるなって、思ったからただそれだけよ」
「…」
「質問はそれだけのようね、では改めて聞くわ、貴方の願い事は何?」
「私は…」
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「やってしまった…まさか魔女と契約してしまうとは…」
魔女と契約してしまった帰り道私は先ほどの出来事を思い出していた。
『私はあの時、命を救ってくれたあの方にまた会いたい!』
『ふふふ、素直な子はお姉さん嫌いじゃないよ、よしこれで契約は終わり、近いうちにきっと運命の人と再び会うことができるわ」
契約をし終えると自分の腕に魔女と同じような模様があった
『それは契約の印。私と契約し弟子になった証よ。大丈夫、"私のような魔女しか見えない"から安心しなさい。では、また用事ができたら会いに行くわ。貴方の運命に幸あらんことを』
そう、私に告げ彼女は私の前から消えた
しかし、私の心の中は先ほどから興奮し、今にも飛び跳ねてしまいそうだった
興奮しすぎて帰り道に何度か帰宅中の人達の方にぶつかってしまった
しかし、またあの方に会うことができる!
興奮絶頂のまま、自宅に飛び込んだがその時になにか違和感を感じた。
「(あれ、帰ってきたのに返事が返ってこない)」
不思議に思いながら、家族がいるリビングへと進む
「ただいま~」
「…」
返事が返ってこない、まるで私のことが見えようだ
「え、ねぇお母さん帰ったよ。夕ご飯は何?」
「…あの娘今日はなかなか帰ってこないわね」
っ!?まさか今私は他人から見えないの!?
確かに今日の帰り道よく考えてみたら違和感があった。
誰かにぶつかっても、感覚はあるが誰もこちらに顔を向けない。
それどころか、相手も何食わぬ顔で通り過ぎていった。
あの時は、ぶつかっていなかったと思ったが、そうではない
私の存在が他人から認識されなくなってる!?
『"私のような魔女しか見えない"』
まさかあの言葉の意味は…
その意味を察したとき家を飛び出してあるとこに向かった。
そう、唯一無二の友のもとえ、今はバイト中なのできっとあのコンビニのレジにいるはず!
そして、商品などに目もくれずそのままレジにいる真那のとこえ飛び込んだ
「ねぇ!真那、真那助けて、私魔女と…!」
沙希は気づいてしまった、母や帰宅途中の人達に認識されなかったのは例外なんかではないのだと言うことを…
真那は私のことなんか見もせずに、レジで接客している
「ああ…あ…ああ」
私の中で何もかもがめちゃくちゃになってしまったような錯覚に陥った
もう、この世界でこれから私は正真正銘のひとりぼっちになってしまったのだ
自分の幼き日の願い事を叶えてもらうために…
しかしそんな願い今となってはもう意味を持たない
だって、もう誰からも私という存在を認識してもらえないのだから
それはきっと、運命の人だって例外ではないはずなのだから
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途方に暮れ、何の当てもなく歩いていたら懐かしい場所にたどり着いた
幼き日に私が交通事故に巻き込まれた川沿いに咲く桜の並木道だ
そして私があの方に事故から助けてくれた場所でもある
「なつかしいな、あの時もこれくらい満開のじきだったっけな」
そんな過去の記憶を思い出しながら桜並木を進んでいると反対側から一人の男がこちらに向かって歩いてくるのに気づいた
しかし自分には関係ないと男を避けずにそのまま直進し肩がぶつかったその時
「おい、あんた前見ないで歩くと危ねぇぞ…」
こちらをみ見て呟き男は再び歩き始めた
「あ、はいすいません」
つい反射的に答えてしまった、それにしてもこれからどうしようか…人と話せないのなら家に居てもしょうがないし…あれ?
「ちょっと、待って!あなた、私が見えるの!?」
先ほどの男に向かって叫びながら後ろを勢いよく振り向く
「!?」
しかし後ろからは私の存在に気づかずに猛スピードで直進してくる車が来ていた
景色がゆっくりと流れていく
ああ、私ここで車にはねられて死ぬんだ…目をぎゅっと瞑り、死を覚悟した
せめて、せめてもう一度あの方にあってお話がしたかった…あれ、車が突っ込んでこない、そしてなんだこの謎の浮遊感は…
おそるおそる目を開けてみると正面には夜空一面に星が瞬いていた
「何で避けないんだ、自殺願望者かおまえは?」
っばと振り返ると先ほど私の存在に気づいた男が私を抱きかかえていた
こうして星が瞬く夜に、私はひとりぼっちの魔法使いさんとの出会った
最後までご視聴ありがとうございました!
機会があれば続きを書いていきたいと思うので、感想、評価等お待ちしております!