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彼女を待ちながら  作者: 斉賀 朗数
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閑話

「これは、私の友達の友達が実際に経験した話なんだけど」

 彼女はそう前置きして「今の生活に満足している?」と問いかけてくる女の子の話を聞かせてくれた。

 FOAF。

 friend of a friendの略で、日本語にすると友達の友達と言う意味だ。

 それは都市伝説を、都市伝説足らしめるもの。

 都市伝説とは、ジャン・ハロルド・ブルンヴァンが『消えるヒッチハイカー』という本で初めて登場させた言葉。

 ネットが普及した今の時代において、そんなものを信じる人なんていない。と思われがちだが、むしろ信じる人たちは増えている。

 いつの時代になっても、そういったものを信じる人は、信じてしまうのだろう。


《今の生活に満足している?》

「今時、そんな話は暇つぶし程度、無駄話みたいなものだと思って聞いて、楽しむのが普通だと思いますけどね」

 僕はそう彼女に言った。

 彼女は頷くばかりで、何かを語ろうとはしない。

 そんな彼女の睫毛は重力に逆らうように綺麗な放物線を天に向けていて、頷く度にその睫毛が光を浴びて美しく輝いている様に思えた。

 私は彼女に問いかけた。

「もし、もしですよ。そんな女の子がいたとして、今の生活に満足しているかと聞かれたら、あなたはどうしますか?」

 彼女は美しい睫毛の下にある、吸い込まれそうな程の妖艶さを含んだ瞳で私を見据えると、質問には答えず、言う。

「あなたは?」 そこで少し間を置いてから続ける。

「今の人生に満足している?」

 私は答えた。

「はい。僕は今の生活がすこぶる楽しいので、満足していると言えますね」

「嘘」

《終》


「これは、俺の友達の先輩が実際に体験した話なんだけど」

 彼女の話は語り継がれる。

 都市伝説に終わりはないのだから。

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