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メイドと錬金術

「まあ、そうなると思ってたんだけどねー」

「申し訳ございません……」


 もしも私の頭の上に獣人族のように耳があったのであればおそらくはぺたんという音がなるくらいに頭に張り付いていたことでしょう

 ご主人様は呆れたようではありましたがどうやら私が話が聞ける状態で生かしておけるとは思っていなかったようです。そのため大したようお咎めはないのですがそれはそれで期待されていないような感じがして悲しくなります。


「それでリップス、まだ反応はあるの?」

「あります!」


 私のセンサーには人の反応がバッチリと記されています。実際に近づいて壁を叩くと明らかに空洞のようで反響するように音が響いています。ですが、


「扉がないよねー」


 そうなんです。

 この部屋にある出入り口の扉は私たちが陣取ってる場所のみのはずなんですが。


「隠し扉かな?」

「ぶち破りますか?」


 軽く何度か拳を振るって私がやる気満々であることをご主人様へとアピールします。この拳で先ほど落ちた名誉を挽回するのです。


「ははは、リップスの冗談はおもしろいなぁ〜 ここ、地下だよ? 君の馬鹿力で壁なんて殴った日には最悪崩落しちゃうじゃないか」

「……! で、ですよね!」


 あ、危ない!

 割と本気で壁を殴る準備をしていました。ご主人様は冗談だと受け取ってくれたようです、あれでもし壁なんて殴った日にはご主人様に絶対軽蔑される羽目になってましたよ!


「ですがどうします? 扉らしきものは見当たりませんが」

「もうなんか面倒だから作るよ(・・・)


 ご主人様は私が指差した壁の側まで歩いて行くと黒い手袋に覆われた両手を壁へ付けます。


「作成、扉」


 短い言葉と共にご主人様の体から魔力が発生。その魔力がご主人様の両手を伝うようにして壁へと流し込まれると青白い光を発生させながらまるで粘土を弄るかのように形を変化さしていき、光が収まる頃には壁であった場所には立派な扉が作られていました。


「ふー、こんなものかな」


 かいてもいない汗を拭うような素振りをするご主人様ですがその顔は全く疲れている様子は見られません。


「さすがご主人様の錬金術ですね」

「唯一の取り柄だからねぇ。それに扉くらいなら簡単な物だよ」


 錬金術。

 それはご主人様が使うえげつない術です。

 魔力を消費して様々な現象を起こす魔法に対してご主人様の使う錬金術というのは物質を変形さすことのみに特化しています。

 通常、錬金術は簡単なものしか作ることしかできません。しかも設計図がなければ作れないという非常に不便なものなのですがそれをご主人様はいとも容易く使いこなします。


「頭に設計図が入っているのは簡単なことではありませんよ?」

「そう?」


 ご主人様の頭の中にはかなりの数の武器の設計図が入っているようで材料とやる気さえあれば幾らでも作ることができるそうです。

 ですがそれはご主人様曰く非常に疲れるとのことなのであまり使わないようですが。


「さてさてみなさんこんにちわー」


 自ら作った扉を開き、隠し部屋へとご主人様は率先して入っていきます。

 あわてて私も後に続き、ご主人様を守るように前に出ます。

 部屋にある人影は五つ。

 そのどれもがそれなりの力を有しているのを私のセンサーが捉えています。


「ベルモンディアスか、何の用だ」


 やたらとぶっとい葉巻を三本も口に咥えるというどう見ても体に悪いことをしている顔が傷まみれの男がため息をつきながらそんなことを言ってきます。

 他の四人も息を飲んだかのように黙りご主人様と葉巻の男の会話を聞いています。


「ははは、なんだよユーゲルク。ぼくと君の仲じゃないか」


 ご主人様のその言葉に葉巻の男、ユーゲルクは傷だらけの顔を大いに歪めます。


「こちらの組を大半潰しといてどんな仲だと?」


 怒気を通り越し、すでに殺気となっているような圧力をユーゲルクはご主人様へと向けてきます。可愛らしいご主人様になてものを向けてくるんですか! 少しばかりイラついたので残り少ない魔導液体(マジカルリキッド)で腕と一体型の刃を作り上げ、わざと音が鳴るように軽く素振りをして差し上げると強面の顔にさ似つかわしくない程に顔を青くしています。


「殺しあった仲じゃないか〜」

「あ、ああわかったからそのおっかない鉄の戦乙女を引いてくれ!」

「だってさリップス」


 ご主人様に笑顔で言われてしまっては降ろすしかありません。

 魔導液体マジカルリキッドで作り上げた刃を一振りし砕くと踵を返してご主人様の背後へ控えます。その際にご主人様見えないようにユーゲルクを睨みつけてやり、声に出さずに口だけを動かします。


 命拾いしましたね。


 っと


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