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メイドと黒スーツ

 闇ギルド。

 それはこの街バーディアの暗部の集大成と言えるものです。

 誘拐から暗殺まで人のやりたがらない仕事を金次第でなんでも受けるという非合法組合です。

 闇ギルドはこの街に巣食うギャング、マフィアといった悪党どもの幹部連中が運営しています。

 そんな闇ギルドは定期的に会合を開きこの街の運営についていけ話し合っているわけです。

 さらにいうと闇ギルドの会合場所は開催する時によって変わるのですが……


「ふんふーんふん♫」


 どういうわけか開催場所を知っている様子のご主人様について行くだけの状態となっています。あ、ちゃんと護衛はしていますよ? すでに人知れずご主人様を拐おうとしている輩は排除していますし。

 そんなわけでどうやって手に入れたかはわかりませんが闇ギルドの会合場所を突き止めたご主人様様と共に向かうわけです。

 そして、暗い、只々暗いだけの階段をご主人様は鼻歌交じりならステップを踏むようにして下っていきます。

 ご機嫌です。非常にご機嫌です。

 ご主人様は大体なにかしらの新しいものを手に入れるときは上機嫌になります。

 新しい武器を自分で試す時や隣国の兵士たちを地雷で吹き飛ばしたときなどもとても上機嫌でしたし。


「あそこだね」


 階段を下り切ると僅かな光を灯す松明が目に入ります。炎の舌を揺らめかすように動いています。

 そんな中を特に怖がる様子もないままご主人様は突き進んでいきます。

 扉の前に黒スーツにサングラスといういかにも、という風体の輩がいるんですが本当に御構い無しです。

 そしてご主人様が扉に手をかけようとした瞬間、それを遮るかのように黒スーツが手を伸ばし阻みます。


「失礼、どちら様の紹介でしょう?」

「紹介? ぼくに紹介なんているの?」


 キョトンとした表情を浮かべ首をかしげるご主人様もまた可愛い! ここは暗すぎするので写真が撮れない! 撮れたとしてもフラッシュで気づかれてしまうかもしれませんしカメラは全く役に立ちませんね。


「紹介がない方をここから先に通すことはできません。お引き取りください」


 丁寧に、ですが有無を言わさぬ拒絶の言葉です。ですがご主人様がこの程度で引き下がるわけがないのです。


「まだ教育が行き届いてないのかなぁ?」


 背筋に悪寒が走るような声が暗い空間に響きます。それを感じ取ったのはどうやら私だけではなく黒スーツのほうも同様だったようで、即座に懐へと手を入れ銃を取り出し銃口をご主人様へと向けてきます。

 私が前に出ようとしたのを察したのかご主人様は軽くてを上げることで動きを制します。


「まだだめだよ?」

「はい、失礼しました」


 もしご主人様が手を上げなければ私は目の前の黒スーツを原型がわからないほどに叩き潰していたことでしょう。


「お兄さん、暴力というのは交渉の手段であって目的ではないんだよ? 仮に恐怖からその武器をぬいたんだとしたらさ……」


 ご主人様は極々自然な動作で太ももに備え付けてあるホルスターから小型の銃を抜き放ちます。それは私から見ていても武器を取り出すとは思えないほどの自然な動きで。落ちていた物を拾うという全く違和感のない動きで行われたために黒スーツはその動きに疑問すら持たなかったでしょう。

 そう、死ぬまで。

 軽い炸裂音と共に周囲を火薬の匂いがただよいます。そして僅かに遅れて黒スーツだったものは糸の切れた人形のごとく大きな音を立てながら倒れこみます。

 その音を聞きつけたのか扉の中が慌ただしく人が動いているような気配があり、殺気立ちます。


「リップス」

「はい、ご主人様」


 手にしていた小型の銃を手元で遊ばせながら人を一人殺したとは思えないほどのにこやかな笑みを浮かべたご主人様。

 ああ、その人の命をなんとも思っていないような瞳の色は素晴らしいものです! ご主人様であるからこそ、その淀みのない瞳の色は価値を持つのですから。

 私はそんなにこやかに笑うご主人様の命を待ちます。


「話ができる程度に殲滅で。あ、ちゃんと挨拶はするんだよ?」

「はい、わかりました」


 矛盾しているような命令です。

 ですが簡単に言えば「話ができるレベルならいいよ」というお墨付きをいただいたわけです。

 ならば後は主人からの命令を全うするのみです。

 そう考えた私は恐らくは中で慌ただしく動いているであろう扉に向かい軽くノックを行うのでした。

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