届け!
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くそ、あと、あとたった5センチ‥‥‥!くっ‥‥‥届かない。
‥‥‥絶望的だ。どうする、手はいくつかあるが、どれもリスキーな行動だ。いっその事、諦めて考えない様にするか‥‥‥
いやそれでも、あれが無いと俺は‥‥‥っ。
届け!届け!届けよぉ!
すると、足の先にブツが当たる感触があった。
よし、このままこっちへーー
「っ?!」
‥‥‥マズったっ!誤って更に奥へと追いやってしまった。
もう、届かない‥‥‥どうする。もう、俺の力だけでは‥‥‥。
いや、諦めるな。やれるか、じゃないだろ‥‥‥やるんだ!
うおおおおおおおぉっっ。
伸びろ!そして届け!俺の足ぃ!
「‥‥‥何してんの、あんた」
「っ?!」
隣から聞こえたその声に、一瞬の震えが生じた。そして激音。
ガタァァン!
尻と頭に強烈な痛みが生じた。
周りの目線が一斉に集まるのが分かった。
「何してんのよ、バーカ」
またも隣から声がする。その主を見るとこっちを見て小馬鹿にした顔を向けている女子がいた。
「ミッション‥‥‥失敗か‥‥‥」
あと、少しだった。俺の力不足か‥‥‥。
「何言ってんのよ、落ちた消しゴム拾うくらいで」
「‥‥‥はあ」
この女は分かっていない。俺がミッションだと言えばそれは実現しなければならないミッションなのだ。
「ちょっと、何溜息ついてんのよ。呆れてんのはこっちよ」
「‥‥‥」
‥‥‥消しゴム救出作戦、失敗。
原因、俺を乱した隣の女。
「おい、授業進めるぞ。さっさと机と椅子、元に戻せ」
「‥‥‥はい」