~炎炎~
お母さんと理沙がやっと服を決めてくれた。
散歩に行ってたおかげでお母さんと理沙につき合わされなくてよかった~と思っていたが、結局20分くらい付き合わされてしまった。お父さんのほうが大変だったと思うけど・・・。
あれ?
細かくは覚えていないけど、夢でもお母さんと理沙に付き合わされたような・・・。
夢と同じことが現実でも起こった。
もしかしてあの火事も?・・・・そんなわけないよね!夢では僕、散歩へ行ってないし。
待ち合わせの時間が近づいてきたので、僕たちは車に乗り込む。
「お腹すいた~!」
「もう少しで食べられるわよ!」
お母さんと理沙は、お昼ご飯をほとんど食べていなかったのでお腹も空いているはずだ。
「出発~!」
理沙の声とともに車が動き出す。
お店に近づくと理沙が、
「木造のお店なんだね!」
と言った。
「そうみたいね。こういうお店は初めてよね。」
「お母さんも初めてなんだね!」
「そうよ~。」
お店に着き、みんな車から降りる。
「やっと着いたね!楽しみ!」
「理沙昨日からずっと楽しみにしてたよね。」
「うん!」
お店に入り、店員に案内してもらう。
玲奈と玲奈のお母さんはもう席についていた。
「彩香さん、こんばんわ!」
「こんばんわ。待たせたかしら?」
「いいえ、全然待ってないわ!」
お母さんどうしが挨拶を交わす。
僕たちは、すぐに料理を注文した。
ガシャンッ!
「!?」
みんなが一斉に振り向く。
燃え盛る炎が目に入ってきた。
僕は恐ろしくなった。
「夢が現実になった・・・」
「お兄ちゃん、何か言った?」
「い、いや何でもない。」
「う、うわあ!!」
お客の一人が無理に外へ出ようと炎に包まれた出入り口のほうへ走って、火傷をしたみたいだ。
・・・・夢でも同じことをした人がいた!
怖い。夢で起こったことがどんどん現実になっていく。
「お父さん、お母さん!早く逃げよう!」
焦って言った僕にお父さんが言う。
「でも、出口がないんだぞ。」
「そうだけど、逃げなきゃ死んじゃうよ!」
僕は夢のとおりにはしたくなかった。
「窓だ!窓から逃げればいい!」
「あの、この窓は割れにくい窓なので割れないと思います・・。」
僕の話を聞いていた一人の店員が言った。
こんなところまで夢と同じなんて・・・!
あっ、夢と同じってことは一つだけ普通の窓があるはず!
どれだ?・・・これか!いや、ちがう。どれだよ!
普通の窓を探し回る僕の近くに理沙が来た。
「お兄ちゃん・・・私たち死んじゃうの?」
おびえながら尋ねてくる理沙に僕は、大丈夫といってあげられない。
夢では助かったが、割れる窓が見つからないかぎり何も言えない。
「分からないよ。」
おびえる理沙とみんなのところへ戻る。
「悠里、私まだ死にたくないよ・・・。」
「うん。僕もだよ。」
玲奈の目には涙が溜まっている。
僕だって怖い。死にたくない。でも、二人がこの状態なら僕はしっかりしなきゃ。
お母さんは、お父さんにピッタリくっついて炎を見ている。
玲奈のお母さんは、動揺を隠し切れない様子だ。
ガラガラッ!
「キャーッ!」
お客が上から崩れ落ちてきたものの下敷きになってしまったみたいだ。
助けなきゃ!
「大丈夫ですか!」
僕はそのお客の近くへ行く。
「た、助けて・・ウッ」
「大丈夫ですか!?」
近くへ行ったが火に包まれていて何もできない。
助けたい。でも、体が動かない。
「うわぁ~~!」
屋根が崩れ落ちてきた。
お店にいた全員が崩れ落ちた屋根の下敷きになる。
熱い、熱い、熱い・・・
「うわあ~!」
「キャー!」
「熱い!」
「助けてっ!」
いろんな人の声がだんだん遠のいて聞こえる・・・
お父さん達は!?
炎が服に燃え移る。痛みと熱さに絶えられなくなってきて、お父さん達を探すことが出来ない。意識が薄れていく・・・
僕は、火の中に落としてしまったキーホルダーみたいに黒こげになってしまうのだろうか。
こんな風に死んでいくなんて思いもしなかった。
・・・ここで僕の意識は途切れた・・・
ありがとうございました。




