~事件~
ガシャンッ
急に大きな音がした。
「!?」
みんなが一斉に音がした方を見る。
「キャーッ!」
「え!?何これ!?」
音がした方をみた人々は動揺を隠せなくなり、慌て始める。
僕らは、驚きすぎて硬直してしまっていた。
すると、玲奈が
「・・・逃げなきゃ!」
といい、理沙がその言葉に対して
「でもどうやって!?」
と聞く。
確かに、入り口付近は塞がれてしまっていて逃げることが出来ない。
他のお客さんの中に無理やり入り口から出ようとして負傷している人がいた。
僕らは、ただただその光景を見ていることしか出来なかった。
ここで今起こっていること。
それは、火事だ。
これが故意で起こったものなのか事故なのか分からない。僕らが考えなければいけないのはそんなことではない。この中にいる僕らが考えなければいけないのは、どうやって逃げるかだ。
入り口は一つしかない。その入り口は炎によって塞がれてしまっている。
ここは木造なのですぐに全焼してしまうだろう。どうすればいいのか。
「あ、窓だ。窓から逃げよう!」
お父さんが窓に気づき窓を開けようとする。
「アツッ!」
窓はものすごく熱くなっていて無理だったようだ。
「お父さん大丈夫!?」
僕はお父さんにかけより窓に触れた部分をみた。一瞬だったのでまだそこまで重傷ではない。
「大丈夫!?」
みんなも心配して駆け寄る。
急にお客さんの一人が、
「調理場に水あるよね!?調理場ってどこにあるの?」
というと、店員の一人が
「調理場はここです!」
と、案内を始める。
お客さんの数人がついて調理場に向かった。
残されたものは子供を火に近づけないように守っている。
お母さんが、
「子供たちだけでも外へ出せられないかしら?」
と言ったので、
「お母さん達も外へ出る方法を考えようよ!」
と、僕はすこし怒鳴ってしまった。
お母さんやお父さんがいなくなってしまったら。と考えると怖くなってしまったからだ。
「うわっ!」
「うわ~~!」
急に数人の叫びが聞こえた。
その声の中にさっき調理場はどこにあるかと聞いた人と案内をした店員の声が聞こえたような気がした。
残っていたお客と僕らは背筋が寒くなった。そのとき、きっと‘死’という言葉がみんなの脳裏をよぎっただろう。僕は生まれて初めてそういう感覚に襲われた。
お客さんも僕らも慌てはじめる。
「どうするんだよ!このままじゃ死んじゃうよ!」
「まだ死にたくない!」
と、叫び始める人達が増えた。僕は恐ろしくなりすぎて声が出ない。
目の前には真っ赤な炎がある。絶体絶命だ。
そのとき、
ガシャンッ
お客さんの一人が窓を割った。そして、
「子供たちだけでもここから外へ出そう!」
といった。
疑問に思った僕は、
「どうして小さい窓を割ったの?大きい窓を割らないの?大きい窓なら大人も逃げられるじゃん!」
と言った。するとお父さんが、
「ここの窓はすごく頑丈に出来ている。だから割れないんだよ。きっとたまたまあの窓だけ普通の窓だったんじゃないかな。」
と言った。そんなものがあったのか。
そう言ってる間に子供たちがどんどん外へ脱出していく。
「あなた達も早く逃げなさい!」
窓を割った人に言われた。
「そうよ。悠里も理沙も玲奈ちゃんも早く逃げなさい!」
お母さんが迫り来る炎を見ながら言う。
「理沙と玲奈は行けよ。僕は行かない。」
そう言うと、
「何言ってるの!悠里も逃げなさい!」
とお母さんに言われたが、
「僕はお母さんやお父さんといる。」
と言った。
「お兄ちゃん行こうよ!」
「悠里行こうよ!」
理沙と玲奈に言われたが僕は行きたくない。
「悠里、理沙と玲奈ちゃんと一緒に外に出てやってくれ。二人は女の子だぞ。男の子が守ってやらなくちゃいけないだろう。」
「でも、お父さん達はどうするんだよ。」
「大丈夫だ。大丈夫だから先に外へ出ててくれないか。外で必ず会おう。」
「お父さんたちも絶対出てきてよ!待ってるから!」
お父さんに説得され、僕と理沙と玲奈は窓から外へ出る。
僕でもその窓は少しきつかった。
外に出て見ると、やっと消防車が来て消化作業を始めようとしていた。
僕ら子供を見つけた消防隊員に保護され、怪我がないかの確認を一人ずつされる。
耳には
《中にいる人達の安否が確認できません!》
《炎は勢いよく燃え上がってどんどん強くなってきてます!》
という言葉が入ってくる。




