幸運の小瓶
どこか懐かしい街並みが残る町、椥ノ辻。緩やかな坂道と石畳が入り組むこの町には、昔から時間がゆっくり流れているような空気があった。古民家を改装した喫茶店。軒先に風鈴を吊るした雑貨屋。小さな神社とお地蔵さんが並ぶ路地。そして坂の上には大正時代から建っているのではないかと思われる赤レンガ造りの古びた交番がある。――椥ノ辻交番。
そこに勤務する24歳の巡査、宮坂蓮は平和な日常を過ごしていた。
「…暇だなぁ」
湯呑に口をつけながら呟く。
この椥ノ辻交番は良く言えば平和、悪く言えば退屈な場所だ。主な仕事といえば、道を聞きに来る観光客の案内、近所の野良猫の安否確認、泥酔したオヤジを自宅まで送り届けることくらいである。
しかし、この町には少しだけ変わった特徴がある。宮坂が赴任した初日、先輩から引き継いだあること。
―【時々、人間のものではない落とし物が届く】―
最初はタチの悪い冗談だと思っていた。だが宮坂は配属されて半年の間に二度、それを経験している。1度目は「狐の面」裏には『稲荷神社・眷属用』と墨書されていた。2度目は「見たことない模様の鱗」一晩で真珠に変わっていた。どちらも数日後には妙に浮世離れした雰囲気の落とし主が現れ、深々と頭を下げて持ち帰っていった。椥ノ辻ではそういうことが起こる。理由は誰も知らない。昔からそうらしい。
「まあ、何が来ても驚かないけどなぁ…」
宮坂は立ち上がって体を伸ばした。
「少し見回りでもするか」
昼下がりの椥ノ辻は穏やかだ。少しくらい交番を空けても問題ないだろう。宮坂は商店街を1周することにした。
*****
昼下がりの商店街は賑やかだった。八百屋のおじさんは客と世間話をしてるし、向かいの和菓子屋では看板猫が偉そうに座ってる。
「事件らしい事件がないのはいいことだけどなあ」
そう呟いた時だった。
ガシャン!と大きな音が響いた。小学生くらいの女の子が転んでいて、手に持った買い物袋からリンゴが坂道を転がっていく。
「あっ!」
宮坂が駆け寄ろうとした時。
「大丈夫!?」
1人の青年が誰よりも早く飛び出した。勢いよくリンゴを追いかけ、次の瞬間ズルッと見事に自分が転んだ。さらに電柱に激突し派手な音がなる。周囲の人が振り返るほどだった。
「痛ててて…」
しかし、青年は何事もなかったように立ち上がり、リンゴを拾い集めると女の子に笑顔で差し出した。
「怪我はしてない?」
女の子は頷いた。
「それならよかった!」
女の子はしばらく青年を見つめていたがやがてポケットを探り始めた。
「お兄ちゃん…これ…」
そう言って絆創膏を差し出した。青年は目を丸くした。
「ありがとう!」
それは宝石でも受け取ったかのような笑顔だった。女の子は少し照れて走り去っていった。青年は嬉しそうに絆創膏を見つめていた。宮坂は思わず声をかけた。
「大丈夫ですか?」
「はい!」
元気な返事。しかし額には立派なたんこぶができており、まるで説得力がない。
「災難でしたね…」
「そうですか?絆創膏もらえたし、いい日ですよ。」
青年は笑って答えた。宮坂は少し呆れたが不思議と嫌な気はしなかった。
「僕、用事があるので失礼します。」
青年は勢いよく振り返り、再び電柱にぶつかった。
「…気を付けて帰ってくださいね。」
*****
「まったく、変な人だったな」
宮坂は苦笑しながら交番の椅子に腰を下ろした。
その時、ガラガラと小気味よい音を立てて引き戸が開いた。
「ごめんくださいよ、お巡りさん」
入ってきたのは近所に住むひとり暮らしのおばあさんのタキさんだった。御歳80歳を超えているが毎日の散歩は欠かさない元気な人だ。
「あっ、タキさん。こんにちは、今日はどうされました?」
「いやね、さっきそこらの路地を歩いていたら、変なものが落ちていてね。ほら、これさ」
タキさんが机の上に置いたのは手のひらに収まるほどの小さなガラスの小瓶だった。宮坂は思わず目を細めた。その小瓶は蛍光灯の光を浴びて、まるで自ら発光しているかのようにキラキラと七色に輝いていたのだ。中に液体が入っているわけではない。金色の細かな砂のような、あるいは星の欠片のような光の粒子が生き物のようにゆったりと渦を巻いていた。
「綺麗でしょう?なんか見ているだけで元気が出るんだよ。誰かの大切なものだろうから、届けておこうと思ってね」
宮坂も同じことを考えていた。胸の奥がポカポカと温かくなる。根拠のない幸福感。何が良いことが起きそうな気がする。
「分かりました、お預かりします。拾った場所はどのあたりですか?」
「坂の下のお地蔵さんが並んでるあたりだよ。」
宮坂は慣れた手つきで遺失物届の用紙を広げ、ペンを走らせる。品名の欄には『ガラス製の小瓶(内部に発光物あり)』と書き込んだ。
「よろしく頼むよ」
タキさんが笑顔で去っていった後、宮坂は一人机の上の小瓶を見つめた。
「これ、絶対に人間の持ち物じゃないな……」
*****
タキさんが帰ってから少し経った頃だった。突然、交番の前に突風が吹き荒れ、引き戸が勢いよく開いた。
「 ない! ない!どこを探してもないんです!」
若い女性が飛び込んできた。年齢は二十代前半ほどに見える。よれよれのスーツ姿で肩まで伸びた栗色の髪は走り回ったせいで乱れ、目の下には濃い隈ができている。しかしどこか人間離れした透明感があった。
「あの、すみません!お巡りさん! ここに、その、キラキラしたちいさな小瓶みたいなやつ届いてませんか……っ!?」
女性の視線が机の上で止まる。
「それだあー! 、あった、あった!よかった…」
女性はの小瓶を見るなり、飛びついた。宮坂は慌てて瓶を確保する。
「落ち着いてください!これ、あなたの落とし物ですか? 一応、確認が必要ですので…」
「…すみません、私こういう者です」
女性が差し出してきたのは、一見すると普通のビジネス名刺だった。しかし、そこに印刷されている文字を見て、宮坂の思考は一瞬フリーズした。
――――――
高天原中央省
運命管理局
幸運配給課 見習い
**天春結乃比売命**
――――――
「……あま……?」
「長いですよね」
女性は少し気まずそうに笑った。
「人間界では『ハル』と名乗っています。私は『運の神様』の見習いをやっておりまして……」
ハルは力なく椅子にへたり込み、頭を抱えた。
「終わったと思いました。それを紛失したと知れたら、始末書どころか、数百年は下界のミミズの運勢管理に左遷されるところでした。拾ってくれた方に神の加護があらんことを……」
「はぁ……で、この小瓶の中身は一体何なんですか?」
ハルは周囲を確認し、小声になった。
「……一生分の幸運です」
「はい?」
「だから一生分の幸運です」
「だから意味がわからないんですが…」
ハルは瓶を大事そうに両手で包む。
「これは特級幸運結晶と呼ばれるものです。人間の善行や徳を神界で長年観測し、一定基準を超えた方へ授与される特別報酬です!」
「名前からして嫌な予感しかしないんですが…」
ハルは続ける。
「宝くじの高額当選なんて可愛いものです。病気はすべて治り、歩けば札束を拾い、出会う人すべてに愛され、何をやっても大成功する。まさに無敵の人生を約束する『幸運の結晶』なんですよ!」
「そんなすごいものを、なんで落としちゃったんですか?」
ハルは顔を赤らめた。
「いや、その……駅前の『たい焼き』というものが、あまりにも美味しそうで。買い食いしようと財布を出した拍子に、ポケットから滑り落ちたみたいでして……」
宮坂は呆れて頭を抱えた。神様とは一体何なのだろう。だが、落とし主が判明したのなら、書類を書いて返却するだけだ。
「じゃあ、ここに受領のサインを…」
と言いかけた時、ハルが突然立ち上がった。
「まずい!時間がありません!お巡りさん、大変不躾なお願いなのですが、私と一緒に『本来の受取人』のところへ行ってくれませんか?本来の配達指定時間は、もう一時間も過ぎています!これ以上遅れたら、受取人が今日の分の不運で死んでしまうかもしれないんです!」
「死ぬ!?」
死ぬと言われて放っておける警察官はいない。幸い、今は他の署員も近くを巡回しており、交番を一時間ほど空けても無線で連絡が取れれば問題はなかった。宮坂は素早く帽子を被り、ベルトの装備を確認した。
「分かりました!道案内します。その受取人の名前と住所は?」
「ええと、名前は佐藤健太。住所は……『夕焼け荘』の二〇一号室です!」
*****
「うわっ、危ない!」
宮坂はハルの腕を引っ張り、間一髪で突っ込んできた自転車を避けた。
「す、すみません……。下界の乗り物は速くて……」
「ハルさん、あなた本当に運の神様ですか? 自分の運は良くできないんですか?」
「私は配る専門ですから! 自分の運は一般人並みなんです!」
二人は椥ノ辻の複雑に入り組んだ路地を走っていた。
ハルから移動中に聞いた話によると、受取人の佐藤健太という男は、今年で二十六歳になる青年らしい。
「彼はね、本当にすごいんですよ」
ハルは走りながら、手元の神仕様スマホの画面をスクロールして言った。
「生まれつきの運勢メーターが、完全に『マイナス』に振り切れているんです。生まれた日に病院が停電になり、小学校の遠足はすべて豪雨、高校の受験日にはインフルエンザ。大学時代には、歩いているだけで看板が落ちてくること三回、痴漢に間違えられかけたこと五回。現在も、就職した会社が3連続で倒産し、今は日雇いのアルバイトで食いつないています」
「……それ、生きてるのが奇跡じゃないですか?」
「そうなんです! 普通の人間なら、十代の時点で心が折れて引きこもるか、グレるか、最悪の事態を選んでいます。しかし、彼は違う。どんな不運に見舞われても、常に前を向き、周囲への感謝を忘れず、他人のために善行を積み重ねてきた。その結果、彼の『徳メーター』がカンストしましてね。高天原の上層部が『よし、彼に一生分の幸運を授けよう』と決定した訳です!」
宮坂は納得した。神様からのボーナスというわけだ。不運な善人が救われる結末は、聞いていて悪い気はしない。
「見えました! あそこが『夕焼け荘』です!」
宮坂が指差した先には、築五十年は経っていそうな、木造二階建てのひどく年季の入ったアパートがあった。今にも台風で吹き飛びそうな佇まいだ。二人が階段を駆け上がり、二〇一号室の前に辿り着いたその時、パンッ! という破裂音と共に、部屋のドアが勢いよく開いた。中から煙がモクモクと溢れ出てくる。
「ゲホッ、ゲホッ! 参ったな、まさかトースターから火が出るなんて……。あ、でも初期消火は成功したぞ!」
煙の中から現れたのは、煤で顔を真っ黒にした昼間に出会った青年だった。彼こそが、世界一不運な男、佐藤健太だった。頭には寝癖がつき、Tシャツはどこかに引っ掛けたのか破れている。しかし、その表情は不思議なほど明るく、目は生き生きとしていた。
「あ、お巡りさん! それに……どちら様ですか? 煙で迷惑かけちゃいましたか?」
「いえ、火事が収まったなら良かったです。佐藤健太さんですね? 私は高天原から来ました、運命管理局のハルと申します!」
ハルは一歩前に出ると、恭しく一礼し、ポケットからあの七色に輝く小瓶を取り出した。
「佐藤健太殿。あなたのこれまでの善行と、不運に負けない高潔な精神を讃え、神々の意思に基づき、この『一生分の幸運』をお届けに上がりました。これを受け取れば、あなたの人生からはすべての不幸が消え去り、あらゆる幸福が約束されます!」
小瓶がひときわ強く輝き、夕暮れのアパートの通路を美しく照らした。宮坂も、ハルも、これで一件落着だと確信していた。健太は涙を流して喜び、これまでの苦労が報われるのだと。しかし、健太は小瓶とハルの顔を交互に見つめた後、困ったように眉を下げて、頭を掻いた。
「ええと……せっかくなんですけど。それ、要りません」
「……はい?」
ハルの口から、間の抜けた声が出た。宮坂も耳を疑った。
「要らない、ですか? 聞き間違いでしょうか。これは『一生分の幸運』ですよ!? 宝くじも当たるし、病気もしないし、最高の人生が手に入るんですよ!?」
「いや、凄くありがたいお話だと思うんですけどね、僕、今の人生、結構気に入ってるんですよ」
健太は煤のついた顔で、へらっと笑った。
「気に入っている!? あんなに不運続きなのにですか!?」
ハルが詰め寄る。健太は「まあまあ」とハルを宥めるように手を振り、自分の破れたTシャツの袖を見つめた。
「確かに、僕は人より運が悪いみたいです。今日も、朝起きたら目覚ましが壊れてたし、アルバイトの面接に行く途中で盛大に転んで、ズボンが破けちゃって面接を受けられなかったんです。でも、転んだ時、近くにいた小さな女の子が『お兄ちゃん、大丈夫?』って、自分が持ってた絆創膏をくれたんです。それが、すごく嬉しくて……」
健太は、普通の人間なら「最悪の日だ」と呪うような出来事の中から、自分だけの小さな光を見つけ出していたのだ。
「僕ね、もしその『一生分の幸運』ってやつを受け取って、何をやっても成功するようになったら、きっと麻痺しちゃうと思うんです。歩いていて札束を拾っても、病気が治っても、それが『当たり前』になっちゃう。それって、なんだか退屈で、怖いことですよ。不運だからこそ、たまに起きる小さな良いことや、人の優しさが、人一倍嬉しく感じられるんです。雨が降るから、雨上がりの虹が綺麗に見えるみたいに。だから、その素晴らしい運は、僕なんかより、もっと本当に絶望して、明日を生きるのが辛いって泣いている人に回してあげてください」
ハルは、差し出した小瓶を持ったまま、完全に固まっていた。その目から、ぽろぽろと大きな涙が溢れ落ちた。
「あ、あれ!? 神様、なんで泣いてるんですか!?」
「だって……だって……!」
ハルは袖で涙を拭いながら、声を震わせた。
「私、見習いになってからずっと、人間はみんな『運』を欲しがる強欲な生き物だと教わってきました。もっと金をくれ、もっと成功させろ、なんで自分だけ不幸なんだって、神殿に届くのはそんな邪念ばかりで……。だから、自分の仕事は、人間の欲望を満たすためのただの作業なんだって、どこかで冷めていたんです……」
ハルは健太の前に膝をつき、彼の両手を握った。
「でも、違いました。あなたは、運の有無なんか関係なく、自分の力で、自分の心で、世界を幸せにできる人だ。私の方が、神のくせに、人間の強さを何も分かっていませんでした……! ありがとうございます。私、もう一度、真摯にこの仕事と向き合います!」
「はあ、よく分からないけど、お役に立てたなら良かったです」
健太は苦笑しながらハルの背中をポンポンと叩いた。
宮坂はその光景を静かに見守りながら、胸の奥が熱くなるのを感じていた。警察官として、色々な人間を見てきたつもりだったが、これほどまでに強くて美しい心を持った人間に会ったのは初めてだった。
佐藤健太、この人は確かに不運だ。世界で一番不運な人かもしれない。だけど、世界で一番不幸な人ではなかった。
*****
交番への帰り道、すっかり日は暮れて、椥ノ辻の夜空にぽつぽつと星が輝き始めていた。
「ありがとうございました、宮坂さん。あなたがいなければ、私は彼に会うことも、大切なことに気づくこともできませんでした」
ハルはスッキリとした、どこか神様らしい清々しい表情で言った。その手にある小瓶は、心なしか最初よりもさらに眩しく輝いている。
「いえ、僕はただ道案内をしただけですから。……あ、でも、その小瓶、どうするんですか? 本部に返すんですか?」
「いいえ。本当にこの幸運を必要としている『世界で一番いま悲しんでいる人』の元へ、責任を持って私が届けてきます。今度は絶対に落としません!」
ハルは力強く頷いた。そして、何かを思い出したように悪戯っぽく微笑むと、小瓶からほんのひと搾り、光の粒子をつまみ出した。
「これは、宮坂さんへの、私からの個人的なお礼です」
「いや、神様のものを勝手に…」
「少しくらい大丈夫です」
ハルが宮坂の胸に手をかざすと、光の粒子が衣服に染み込むように消えていった。
「…何をしたんですか?」
ハルは少し考えた。そして笑った。
「宮坂さんのこれからの人生に、『絶対に雨に降られない運』を付与しました」
「えっ?」
思わず拍子抜けした声を出す宮坂に、ハルはフッと笑った。
「人生を狂わせない程度の、でも、ちょっとだけ毎日が快適になる、ささやかな幸運です。お巡りさんには、雨の中のパトロールよりも、晴れやかな空の下を歩いていてほしいですからね。……それでは、また!」
ハルがパチンと指を鳴らすと、一陣の暖かい風と共に、彼女の姿はかき消えるように消え去った。後には、微かなたい焼きの甘い香りと、静かな夜の空気が残るだけだった。
*****
数日後、宮坂はいつものように、椥ノ辻の街をパトロールしていた。空は今にも泣き出しそうな、どんよりとした分厚い雨雲に覆われている。
「あー、これは一雨降るな……。傘、持ってこなかったんだけど…」
商店街のアーケードを抜けた瞬間、ぽつぽつとアスファルトに黒いシミが広がり始めた。雨だ。周囲の買い物客たちが、慌てて軒下に駆け込んだり、傘を広げたりし始める。しかし、宮坂は不思議なことに気づいた。彼の周りだけ、雨が避けているのだ。正確には、宮坂が歩く一歩先の地面には雨粒が落ちるのに、彼の頭上からは不思議と一滴も雨が降ってこない。まるで、透明な見えない傘が、常に彼を守っているかのように。
「ふっ……。本当に効いてるな」
宮坂は誰もいない路地裏で、小さく笑った。
大金が手に入るわけでも、出世するわけでもない。けれど、この先どんなにどんよりとした曇り空の日でも、自分だけは濡れずに歩いていける。そう思うだけで、これからの警察官人生が、少しだけ愉快なものに思えてくる。 路地の向こうから、頭に大きなゴミ袋を被って叫びながら走ってくる青年が見えた。
「うわああ、またゲリラ豪雨かよー!」
佐藤健太だ。彼は相変わらず運が悪く、ずぶ濡れになっていたが、その顔はやっぱり、どこか楽しそうに笑っていた。
「佐藤さーん! 交番で雨宿りしていきませんか!」
宮坂が声をかけると、健太は元気に手を振った。
「あ、お巡りさん! 助かります!」
二人の頭上では、暗い雨雲の隙間から、ほんの少しだけ、綺麗な夕日が顔を覗かせようとしていた。




