エピソード3 事件発生
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「(なに今の?地震…?)」
停電しているようで辺りが全く見えない。
「きゃっ」
「あっ、ごめん」
プロデューサーと身体がぶつかり藤崎は思わず声を出す。
その瞬間、電気がついて部屋が明るくなった。
それと同時にマネージャーが駆け込んでくる。
「藤崎さん!大丈夫ですか!?」
「(良いタイミングに来た)」
藤崎はサッと身を翻し、自分とプロデューサーの間にマネージャーを立たせる。
「私は大丈夫、それより番組のことでプロデューサーさんと話あるんじゃなかったけ。」
「え、あ、いやそんな話…ってあれ岩瀬プロデューサーどうしてここにいるんですか?」
「いや、それはだな…」
「それじゃ私は予定があるので!」
「あ、ちょっと桜ちゃん!」
________
撮影スタジオを飛び出し、
会社が呼んだタクシーに乗り込む。
「六本木まで。」
藤崎はそれだけ言うと、話しかけないでという意思表示も含め、帽子を目深に被る。
「(とにかく今日も疲れた。)」
藤崎は目の付け根を抑えながら瞼を閉じる。
突然、バッグの中でスマホが鳴った。
藤崎は手探りでスマホを探し、画面を見るよりも先に、慣れた手つきで応答した。
「はー…」
「俺のメッセージを無視するとは良い度胸だな」
藤崎は閉じた目を開きスマホの画面を凝視する。
画面には"柳田さん"と書いてる。
だがしかし、恐ろしいことに藤崎は、この柳田という人物に全く身覚えがない。
名前があるということは、一度自分の意思でこの男を電話帳に登録したことがあるはず。一体いつ?
そんなことを考えて返事をすっかり忘れていると、痺れを切らした柳田はそのまま言葉を続けた。
「まぁいい、さっき港に例のブツが届いた。お前がヤク中にしたっていう俳優とアイドル、あいつら今すごいテレビ出てるらしいじゃねえか。ふっかけてその分の利益をうちの組に流せ。いいな?」
ヤク?顧客の俳優とアイドル?それに、組?
どう考えてもヤクザのものとしか思えない会話に藤崎の歯がカチカチなる。「怖い」、心臓に冷や水をひっかけられたような感覚になった藤崎は、何も考えず電話を切った。
連絡先を消そうとスマホを立ち上げようとする。しかし何度やってもスマホのパスワードが開かない。
「なんで、なんで開かないの!!」
「お客さんどうされました…?」
するとその瞬間、柳田から再び着信があった。
運の悪いことに、藤崎の指が滑り着信を取ってしまう。
「あっ」
「おい岩瀬てめえ何切っ…待てよ、お前誰だ?」
「あ、…えっと」
藤崎の口の中がカラカラになる。
「おい車出せ、話を聞かれたから始末しに行くぞ。」
ドスの効いた声はそれだけ告げると無慈悲に電話を切る。
一瞬頭が真っ白になり、それから急速に回転し出す。
「運転手さん!!早く!とにかくどこか遠くに!!」
「え、えっとそうは言われましても…」
「じゃ、じゃあ近くの警察!お願い、早く!!」
「この近く警察ありませんし、道だって私ここら辺詳しくなくて」
「いいから!!!」
藤崎の必死の形相に只事ではないと思ったのか運転手も言葉を返すのをやめナビで行き先を変更しだす。
「じゃあ警察に向かいます。」
そう言って、道を変えてすぐだった。
黒いバンが後ろから猛スピードで近づいてくる。
藤崎は反射的に悲鳴をあげる。
「あれ、あの車に絶対追いつかれないでください!」
「えっ!?」
「もっとスピード出して!!」
「出来ません!だしたら会社にバレて私のクビが、」
次の瞬間、車が壁にでもぶつかったような、強い衝撃が訪れ、身を乗り出していた藤崎はタクシーの天井に頭をぶつける
「痛った…」
藤崎は頭をさすりながら前を向く。
「あっ…あっ…」
藤崎の声は震えていた。
藤崎の乗ったタクシーを追っていたバンと同じものが藤崎達の前に立ち塞がり、その左右に先程後ろから追ってきたバンが、動きを封じるよう車体を添わせていた。
「な、なんで…」
タクシーのガラスが割られ、運転手が引き摺り出されていく、藤崎も同様に、タクシーだけをその場に残したまま、黒いバンに連れ去られていった。
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