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石英の子  作者: 彼岸花
9/9

「滋をいじめる奴は私が許さないよ!」

「ゲッ‼︎男女きたよ。逃げろ〜!」

滋は泥だらけで地面に伸びている。

「滋?大丈夫?起きれる?」

「痛い」

滋の目から大粒の涙が溢れた。

「僕が小さくて弱いからダメなんだ。頭も悪いし、テストで0点ばかりとるから」

「滋。そんなに自分をいじめないでよ。滋は素敵な人よ」

杏は離れたところの水道に行き、ハンカチを濡らして滋の体を拭いてやる。

「ね、秘密の場所に連れて行ってあげる」

「秘密の場所?」

連れてこられたのは、河川敷の葦がたくさん生い茂っているところの中ほど。そこだけぽっかりと葦が生えていないところがある。

大きな川が先にある。

「水切りしようよ」

「うん」

杏と滋は水切りして遊ぶ。滋は水切りがうまく、先まで飛んでいくが、杏は2回しか跳ねない。

夕暮れの赤い水面に飛沫がキラキラ光る。


「ほら、滋にもできることあるじゃない」

「でも、水切りだよ?そんなの、役に立たない」

「それでも、楽しいからいいじゃない」

杏がそう言っている横顔がすごく可愛かった。

「あ。綺麗な半月!ちょっと赤いね」

「月、綺麗だね」

と、滋の方に向かって笑う杏の目がキラキラ光ってたまらない気持ちになる。

抱きしめたい。キスしたいと思った。

でも、僕にはできない。杏は綺麗すぎる。

その夜、杏は死んだ。

1人で帰っている時に暴漢に襲われて首を絞められたらしい。

助けられなかった。僕が秘密の場所に行かなければ、そうすれば、杏は助かっていた?僕のせいだ。僕が殺してしまった。

滋は葬式には出られず、彼女を思い涙した。

その夜は綺麗な猫の目をした月だった。

そして、滋は生涯独身を貫き1人で死んでいった。


☆☆☆

目を覚ますと、シゲールは泣いていた。

これは、誰の夢?懐かしくて悲しくて、胸が苦しくなる。

あの杏という女の子、アンに似てた。





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