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石英の子  作者: 彼岸花
3/9

月明かりの下で

「……ル。シゲール」

誰かが呼ぶ声がして、目を覚ます。

まだ明け方で外は暗い。

シゲールは寝床を片付けると、服を着替え、兄妹たちを起こさない様に細心の注意を払い、外に出た。

肌寒い空気の中満月が煌々とあたりを照らす。

太陽よりひそやかで、星々より冴えた光。

シゲールは朝の空気を胸いっぱいに吸う。

森の中は静かで獣たちさえ寝息を立てる。

そんな中、シゲールは歩を進めた。


風さえも動かない。月光だけを頼りにして。


「着いた」

そこは、シゲールの秘密基地。

満月の日にしか咲かない不思議な花がある花畑。

なんの娯楽もない村で唯一拝めるもの。

周囲にはむせかえるくらいの甘い香りを放つ。

月の光の下、たくさんの花が咲いている。

シゲールは草むらに寝そべり、周囲に漂う薫香を楽しむ。

甘い匂いを感じ、丸い月をみている。

天に触れる様に右手を伸ばして空気を掴む様に手を握った。

そこにあるはずのない光に触れるように。

目を閉じて、背中で下敷きにしている草花の感触を楽しむ。

風がふわりと体を包む様に凪ぐ

これは、シゲールが誰にも見られずにやっている、秘密の習慣だが、今回は違った。

「何、してるの?」

「……!」

黒い髪、黒い目、黒の服に白い肌。

夜みたいな色の女がそこにいた。


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