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侯爵様は結構ヤバい リカルドside

悩みましたが、リカルドsideの続きです。

部屋に入りドアを閉めるなり、俺は堪らずにユリウス様に聞いた。


「ユリウス様、アーノルド殿下と何故、二人きりでお話を・・・?・・・俺に話しておけ、とは?」


「それがね、エントランスでリカルドとマーガレットを待っていると、殿下から突然話しかけられたんだ。私とは気が合いそうだから、二人で話したいと突然おっしゃってね・・・いきなりここへ案内されたんだよ。」


「・・・え???」

「いきなり、ですか?」


俺とマーガレットは驚きを隠せない。

・・・なぜ、急にアーノルド殿下がこちらに擦り寄ってきたのだ?

そもそも、アーノルド殿下は、ユリウス様の何処に『気が合う』要素を唐突に見つけたのだろう???


「ああ。私も驚いてしまって・・・。最初は近況とか・・・マーガレットが私の所で働いてくれる事になったとか、私の噂話とか、スチューデント家の者は元気かとか・・・本当に他愛もない話をしててね、何故こんな話をする為に、二人きりになったのか、良く分からなかったんだ。そうしたら・・・どうしても、私に頼みたい事があると言われたんだよ。・・・それが叶うなら、私の元に下り、王位を諦めても構わないと言われた・・・。」


・・・あの、アーノルド殿下が?

あんなに、野心家だったのに・・・?

それに、ロバート殿下ではなく、ユリウス様に・・・下る???突然すぎるし、意味が分からない。


「ロバート殿下ではなく、ユリウス様、なのですか?」


マーガレットも不思議に思った様で、ユリウス様に尋ねる。


「ああ。そうらしい。ロバート殿下ではなく、私の下になら付きたいと言われた。・・・だが、その彼の頼みが頼みだけに・・・受け入れる事は出来ないと思う・・・。」


ユリウス様にしては、めずらしく歯切れが悪い。

アーノルド殿下の願いとは・・・相当にユリウス様を困惑させるものだった様だ。


「なんです?そんなに難しいお話なのですか?・・・ロバート殿下にも王位を諦めさせろ、とか?」


ユリウス様は気まずそうに、俺から目を逸らす。


「・・・違う。・・・アーノルド殿下の望みは一つ。・・・エミリアが欲しいそうだ。」


・・・え。


「ど、どうしてです?!」


思わず、乗り出してユリウス様に問う。


「・・・ずっと慕っていると言われた。エミリアが手に入るなら、全て諦めると・・・。」


・・・は?


慕っていた?殿下が・・・エミリアを???

・・・いや、アーノルド殿下が欲しかったのは『王位』だ。だから無駄に後ろ盾が豪華だったエミリアに近づいただけで・・・エミリア本体に興味を持ってなど・・・いなかったはずだ。

王位を諦める気なら・・・何故、エミリアを欲する?


何かが・・・おかしい。


「・・・嘘です。殿下がエミリアを慕っていたなど!・・・・何か、おかしいです。殿下ほどの方が、エミリアを慕うなど・・・。」


「リカルド?・・・しかし好意とは、そういうものなのではないか?・・・もちろん、エミリアを殿下に渡す気などないが・・・。私は・・・あまりにも熱烈にエミリアを乞われるので、驚いてしまって・・・。」


ユリウス様はそう言って、顔を歪めたが・・・少し嬉しそうだ。可愛い妹が、王族に王位を捨ててでも欲しいと言われたのだ・・・変に自尊心をくすぐったのだろう。


一方のマーガレットは複雑そうな顔で、俯いている。

・・・マーガレットはアーノルド殿下に会いたくてここへ来たのだ。・・・エミリアが欲しいなどと言われたと聞いて、面白いはずがない。


・・・だが・・・違う、違うんだ。


・・・そういう事じゃない。この話には・・・何か裏がある。もしかすると・・・これがアーノルド殿下の隠している弱み?とか、そういう事に繋がるんじゃないだろうか???


だって本当に・・・アーノルド殿下はエミリアを慕ってはいないのだ。


俺は決心した様に顔を上げ、二人を強く見つめ、話しはじめた。


「俺は、ずっとエミリアを見てきました。本当に、ずっとです。・・・だから、エミリアに好意がある奴ぐらい、判別できます。・・・エミリアに話しかける男どもの様子は、常に観察していましたから。だから、言い切れます。アーノルド殿下は、絶対にエミリアに好意などありません!・・・だって、エミリアを見つめるアーノルド殿下の目に、思慕など浮かんだ事は一瞬たりともありませんでした。・・・俺に言わせれば、どちらかと言えば、ロバート殿下の方が確実にヤバいです。・・・俺の観察による限り、アメリア妃が居ない、もしくは振られれば、あいつはエミリアに行ったんじゃないかって、俺は思ってます。でも、アーノルド殿下が欲しいのは、エミリアじゃなくて、ずっと後ろ盾でした。・・・だからって、それを許せる訳じゃないけど・・・。でも、やっぱりエミリアなんて、慕ってなんか無いんです。ずっと、エミリアとその周囲を観察してきた俺には分かるんですよ!!!・・・この話は決定的におかしいんです!!!」


俺は隠しきれない違和感を二人に力説した。


これは・・・きっとアーノルド殿下を探る上での、重要なキーポイントだ。

好意がないのに、エミリアを欲しがる・・・王位を諦める程に・・・。これは確実に何か裏がある。そして、それがフリード殿下に握られたという、彼の弱みと繋がるのではないだろうか・・・?


ふと、見つめると、ユリウス様とマーガレットが固まっていた。


・・・え???


「・・・父上も大概だが、お前もなかなかだな。父上はその・・・執着で閉じ込めたいとか、独占したいと言うタイプだが・・・。その・・・リカルドは、ストーカー気質と言うか・・・何もしないが、ジッとは見てるんだな・・・。」


ユリウス様が引きつった顔でそう言うと、隣に座るマーガレットも同じような顔で俺を見つめ言った。


「・・・ある意味、それもキますね。」


「ああ。私は・・・嫌だな。そんなに見られているのは・・・。」


「ええ・・・私もです。学園でリカルドがエミリアさんのストーカーと言われていたのですが・・・本物でしたのね・・・。」


ええ???

ちょっと、俺、今さ・・・大事な話してんだけど?!


・・・何でそうなるの???


「そうか・・・やっぱりロバートはヤバいか・・・。あいつ、ちょっとおバカな女が好みだよな・・・。」


「言われてみると、そうですね。アメリア妃も努力家だけど、ちょっと抜けてて、そこが可愛い感じですからね・・・。確かにエミリアさんも・・・似たタイプですよね・・・。」


二人は遠い目で語り合う。


ねぇ、ちょっと戻って来てよ!

おい、俺たちアーノルド殿下を探りに来たんだろ?!

てか、マーガレットも好きな男がさ、エミリアを欲しがってるって、焦るとか・・・なんかあるんじゃない?!なんでユリウス様と遠い目になっちゃうの?!


「あの!!!俺の話、聞いてますか?!」


「!!!・・・あ、すまん。衝撃的で。」


「ええ、『観察』とかパワーワードにやられてしまいました・・・。」


・・・なんだよ。なんで『観察』がパワーワードなんだよ・・・。

好きな人は、つい見たり観察しちゃうだろ?俺、以外に狙ってる奴いるのかな・・・とかさ?別にそいつらに危害とか加えたりしてないし。・・・まぁ、「俺とエミリアは婚約者だから。最終的には俺だけど。」くらいは言って・・・牽制はした、かな?・・・いや、確かに、牽制はしましたよ!・・・でもねそれは、そもそも事実、事実なんですからね?!


「ええっと・・・。いいですか?・・・さっきのアーノルド殿下の話は、とてもおかしいと、俺は言いたい訳です。」


「まぁ、確かに・・・リカルドの話・・・アーノルド殿下がエミリアさんを慕っていないとなると、変な話ですね。」


遠い目から、マーガレットは戻ってきてくれ、そう言った。


「そう・・・だな。」


ユリウス様も戻ってきて考え込む。


「王座を諦めるほど・・・アーノルド殿下は、なぜ彼女に固執しているのでしょうか?そもそも・・・王座に就かないなら、後ろ盾も必要ありませんよね?・・・これも、フリード殿下の示唆でしょうか?こちらを混乱させたい・・・とか?」


マーガレットは俺たちを見つめ、問いかける。


「いや・・・フリード殿下の示唆とは思えないな・・・。そもそも、私やリカルドにエミリアをくれと言う時点で、もし、エミリアをアーノルド殿下に渡すとしても・・・それは、同意の上での話になる。私たちが、混乱する事はない。すると、アーノルド殿下の意思だろうが・・・エミリアに惚れていないと言うなら、確かに訳が分からないな・・・。」


ユリウス様もそう言うと、俺たちは、そのまま考え込んでしまった。


エミリアを・・・恋愛や後ろ盾目的でなく、すべてを諦めてまで・・・欲する理由とは何だ???なぜ、エミリアでなくてはならない???


・・・あ。


俺は、すべてのピースがカチリと音を立ててハマった気がした。


「・・・ま、まさか・・・。エミリアではなく・・・雀ちゃん?殿下は雀ちゃんが好きなのではないでしょうか???・・・マーガレット、君もここに就いてすぐに『バードウォッチングでもお好きなんでしょうか』そう言ったよね?・・そうすると、すべての理由に説明が付きます。・・・殿下が、不便なこの山の中の離宮で暮らすのは、沢山の雀ちゃんに囲まれて過ごす為です。そしてエミリアが欲しいのは、雀ちゃんの格好をさせる為なんじゃないでしょうか・・・。先日、エミリアに雀ちゃんっぽい格好をさせて「チュン」と鳴いてもらった時は・・・最高にヤバかったです。あれは、本当に雀ちゃんでしたから!・・・そして、人と雀ちゃん・・・この恋はあまりにも障害が大きすぎます・・・。これがフリード殿下に知られたアーノルド殿下の弱み、なのでは無いでしょうか。・・・ああ、きっとそうだ!・・・これで、すべてのピースがきちんとハマった・・・!!!」


俺は、あまりにも見事な推理を二人に披露した。


殿下は・・・俺とは逆で、雀ちゃんの方を愛しているのだ。俺はエミリアに似ているから、雀ちゃんが好きだ。だが、殿下は雀ちゃんの方を愛してしまったのではないだろうか・・・?それで、せめて人であり、かつ雀ちゃんを思わせるエミリアで我慢する気になったのではないだろうか・・・?!俺も疲れた時や、忙しくてエミリアに会えない時、雀ちゃんを見て癒されてきた。・・・きっと、殿下もそれと同じ気持ちなのだろう。だから、代わりにエミリアを欲した・・・!!!


「・・・リ、リカルド?大丈夫?!」


「へ???」


マーガレットの紫色の瞳は心配そうに揺れている。隣にあるユリウス様の水色の目も同様だ。


「あのね、それは、ないと思うの・・・。」

「・・・ああ。私もそう思う。お前、疲れてないか?」


「え???」


え?・・・違う?の?・・・かな???


「・・・あの、ユリウス様。私・・・リカルドが結構ヤバくって、ビックリなのですが・・・。」


「ああ・・・。まさかエミリアに雀の格好をさせて、その上で鳴かせて楽しんでいたとは・・・。正直、引いたよ・・・。人の性癖は色々だが、あまり聞きたくはなかったな・・・。」


二人の何とも言い難い視線が俺に刺さる・・・。


「・・・ユリウス様、先ほど私、アーノルド殿下にダンスを誘われましたので、ダンスがてら・・・真意を少し探ってみようと思います。」


「ありがとう、マーガレット。頼りにしている。・・・良かったら、会場まで私がエスコートしよう。・・・ちょっとリカルドでは気持ち悪い、だろ・・・。」


ユリウス様がそう言うと、マーガレットは曖昧に笑い、二人は俺を置いて、ササッと部屋から出て行ってしまった。


・・・え?


えええ???

えーーーー????


俺、どこで推理を間違えたんだ???




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― 新着の感想 ―
[一言] 続編の方が面白いってなかなかないと思います。
2022/06/12 23:25 退会済み
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