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心変わりしたお母さま エミリアside

エミリアsideが、しばらく続きます。

サロンに移った私たちは、リカルドが買ってきたお菓子を食べながら、お母さまと衣装の打ち合わせを始めた。


ちなみに今日のお茶は高いやつだ。リカルドから、口を酸っぱくして『あのクソ不味いお茶をユリア様には出すな。』と言われている。まぁ、もっとお上品な言い方であったが、内容は同じだ。・・・お父様やお兄様には出してるんだけど、そこはスルーなのね・・・とは思わなくはないが、まぁお母さまは深窓のご令嬢育ちだからね。


・・・ん?私も割と深窓では・・・?


まぁ、いい。余計な記憶がありすぎだから仕方ない。


打ち合わせが始まると、リチャード様が結構ノリ気になった。

着飾って、綺麗なご婦人方に囲まれたいという所なのだろう・・・。お母様と、真面目に話を始める。

一方、ロイド様は入り口付近に立って、護衛っぽくしてるけど・・・正直、お母さまをチラチラ見ててキモイ・・・。えー・・・マジで惚れちゃった系???


「・・・えっとユリア、つまり我が家を白い衣装で、スチューデント家が黒い衣装にするって事?」


「ええ、どうかしら?ほら、リチャードもワイブル家もお揃いにしたいって、言ってたじゃない?だから、ワイブル家が白で、我が家が黒にしましょう?どうかしら?」


「チェスの駒みたいだね?」


「ええ、それを思ってましたの。今回のテーマは『チェス』ですわ。みんなお好きですし。それに、リチャードもナイトになれば、馬のブローチを付けられますわよ?リカルドから馬に拘ってるって聞きましたわ。・・・エミリアは、青いドレスでなくても良いかしら?」


「はーい。何でも大丈夫ですわ、お母さま。」


私に勿論、意見などない!


「じゃあ、僕がナイトだとして、他はどーするの?」


「そうですわねぇ・・・。夫婦は、キングとクイーンで良いと思いますの。問題は、ユリウスですわね。」


「ユリウス君はルークじゃない?クイーンの次に大切な駒だし。・・・あーそうなると、ひと通り駒が揃うから、ビショップ役が欲しいよねー・・・?・・・あ。じゃあロイド、お前、ビショップね。」


「は?・・・俺は白い衣装など着ないぞ。騎士服が正装だ。」


いきなり話を振られてロイド様は不機嫌そうに答えた。


さすが、チェスのチャンピオン。ビショップ欲しさに、ロイド様も巻き込もうとは、なかなかやる。

私が、そのやり取りを『やれやれ』な気持ちで見ていると、目をキラキラさせたお母さまが言った。


「ぜひ、ロイド様もご一緒に!・・・ロイド様に、私の選んだ衣装を着ていただけるなんて、とても光栄ですわ!・・・エミリアとリチャードもロイド様にはお世話になっていますし、感謝の気持ちもありますのよ?ね、ぜひご一緒に、ロイド様・・・!」


・・・どうしたの?お母さま???

え・・・まさか、お母さまも・・・ロイド様に一目ぼれ???


お母さまに可愛く縋るように言われたロイド様は・・・デレた。

ロイド様にデレ成分があったのは驚きだ。リカルドはツンデレ気味だが、ロイド様に限っては、デレなど存在しない、ツンのみの構成になっていると、私は思っていた。そのロイド様が、だ、耳まで赤くして、弱々しく「私で良ければ・・・。」と言った。お母さまもお母さまで、口に手を当て、感激している・・・ナニコレ。


ええ・・・どういう事?


まさかの両思い???

・・・ぜったいダメだから、どんなにお父様の愛が激重でも、ロイド様が義父になるのは・・・許せないからーーー!!!

ふと見ると・・・リチャード様も唖然と二人を見つめている・・・。


「・・・では、衣装はそんな感じで進めるわね?」


お母さまは、ニッコリと私たちの方に向き直り・・・そう言った。

私とリチャード様は、もやもやした気持ちを目くばせで語り合い・・・衣装の打ち合わせを終了した。


◇◇◇


「それで、お母さま!『デジ甘』の最新作は読みました?!」


もやもやした気持ちはありつつも、衣装のお話が終わったので、私は待ちに待った『デジ甘』のお話をお母さまに振った。


・・・が。


「ごめんなさい。エミリア・・・母さまね、『デジ甘』は卒業してしまったのよ。」


「え。」

「は?」


私とリチャード様は、同時に短い声が出た。


だって、私とリチャード様は、お母様と最新作について語り合うのをとても楽しみにしていたのだ、そんな声も出ちゃうよ。・・・何?何かあったの?お母さま・・・あんなに大好きだったじゃない?それとも、『デジ甘』よりハマるシリーズでも開拓したのだろうか・・・?


「・・・もう、お母さまは『デジ甘』に興味がないの?」


私は、おそるおそる聞く。私の隣に座るリチャード様も、複雑な顔でお母様を見つめている・・・。


「エミリア、母さまね、もうロマンス小説は・・・卒業したの。」


「え・・・な、なんで?」


「ええ・・・この間見に行ったお芝居で・・・新たなジャンルに目覚めましたの。」


「・・・?」


お母さまはそう言って、ご自分のバッグからお芝居のパンフレットを取り出し、私とリチャード様の目の前に置く。


パンフレットにはこう書かれていた『北の騎士団の愛の秘密』・・・と。


え・・・ええ・・・なんか、嫌な予感。

私とリチャード様が、パンレットを捲ると・・・ロイド様似のゴツイ男が、ロバートっぽいヒョロっとした男と抱き合う姿絵が描かれていた。


・・・これは・・・ボーイズ的な・・・ラブか。


「この、お芝居が・・・とても・・・尊くて・・・母さまね、・・・アリだと思いました。」


リチャード様は若干どころじゃなく引きつっている。

・・・だがまぁ、お前こそ当事者みたいなモンじゃんか・・・とか思ったが、通常、男性はこういう反応だろう。

ロイド様にはこの話が聞こえてないのか、お母さまにイイとこ見せたいのか、無駄にキリッとした顔で、ドアの近くに護衛らしく立っている。


「・・・お、お母さま?」


「エミリア、みて?この俳優さんの衣装・・・白なのよ。ロイド様に・・・着せたいわ、これ。」


お母さまが指さす先には、ロイド様似の男が、やたらと飾りのついた白い騎士服もどきを着て、ドンと描かれていた・・・な、なるほど。これで、必死に説得していたのか・・・いわば、コスプレさせたかったのか・・・!


良かった。お母さまがロイド様に一目惚れしたとかじゃなくて。


「あ・・・うん。似合うと思うよ。この俳優さんとロイド様って似てるし。」


「でしょう?・・・でね、こっちをユリウスに着せようと思うの!」


・・・マジか。


お母さまが指さした先には、ロバート殿下似の・・・ヒョロい男が・・・やはりやたらと飾りのついた黒い王子様みたいな服を着ていた・・・。


ええぇ・・・。お、お兄様に・・・?


お母さま・・・「ロイド様×お兄様」なの?「お兄様×ロイド様」なの?・・・どっちで考えて・・・。いや、それはどっちでも良いか。


お兄様ーーー!・・・カップリングされてますよーーー!お母様にーーー!!!早く逃げてーーー!


「お、お母さま・・・お兄様、これは絶対に嫌がって着ないと思うわ?!」


「うーん・・・エミリア、母さまは着ると思うのよ。」


リチャード様は、完全に蚊帳の外だ。固まっている。

お母さまは・・・なぜか自信ありげだ。


「なぜ、そう思うのです?お母さま?・・・だって、あのお兄様ですよ?」


「・・・実はね、このお芝居・・・ユリウスに頼まれて見に行ったの。」


「え?」


「何でも、ロバート殿下に悪意を持って作られたんじゃないかと、ユリウスは思ってるらしいの。北の騎士団で繰り広げる、実は王子様な新米騎士と、騎士団長の禁じられた愛のお話なのよ。・・・ストーリーはこう見ても重厚で、二人の純愛がとても尊いの。思い合いつつも二人は別れて、お互いに国の為に別の道を進むと決めたラストは涙無しには見えなかったわ。・・・とても素敵だったのよ・・・。でも、これって、どう見てもロイド様とロバート殿下・・・よね?」


確かに、姿絵は・・・そっくりだ。


「お話がすごく良かったから、この舞台、かなり人気が出てしまったの。・・・ねぇ、エミリア。ロバート殿下が変な噂をされないように・・・ユリウスなら、これを体を張って着ると思うのよ。」


・・・着るかも。


お兄様は・・・そんな理由なら・・・着るかも。

めっちゃ不機嫌で、確実に荒れるが・・・これは着るかも知れない。


そうだ、お兄様はリカルドを守るのに、自ら「お兄様×リカルド」もしくは「リカルド×お兄様」になりに行ったではないか。お兄様がどちらを設定していたのかは・・・少し気になるが、まあ良い。


なら、ロバートの為にだって、体を張ってしまうかも知れない。


お母さまはうっとりと姿絵を見つめている。


「母さまね・・・ずーっとエリオスとリチャードを見ていて、何も疑問に思わなかったのだけど・・・ある意味、これが理解できていたからかも知れないって、思ったのよ。」


「・・・は、はぁ。」


思わず、げんなりしてしまう。


「!!!・・・ちょっと、ユリアやめて!僕とエリオスは無い!無いの!絶対に!」


不穏な話に、我に返ったリチャード様が、怒って参戦してきた。


「でも、いやいや言いつつ流されるって、アリなのですわ。だって、いつもリチャードはエリオスに押し切られてますわよね?・・・なのでエリオスが、この騎士服の黒バージョンで、リチャードを王子服の白バージョンにしようと思うの。どうかしら、エミリア?」


・・・ええぇ・・・ボーイズ的なのは、私には良く分からないが・・・。


騎士服黒と王子服白はお父様とリチャード様には似合いそうだとは思う。てか、真っ白い王子様な衣装なんて、リチャード様くらいしか着れないだろう・・・。リカルドだって、こんなキラキラしい浮ついた格好は似合わない・・・。


「まぁ、こんな服を着こなせるのって、リチャード様くらいだろーなって思いますけどねー・・・。」


思わず、声に出てしまった。

私の意見にお母さまは、コクコクと頷く。


「そうですわよね。この衣装を着こなせるのは、リチャードしか居ませんわ。リチャードこそ、似合うのですわ。」


お母さまにそう強く言われたリチャード様は、少し考えてから、笑顔になった。


「・・・。・・・!そっかー!じゃー、僕、着ようかな!」


リチャード様は、簡単に流された。


・・・うん、流されキャラ、マジで確定じゃないですか。



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