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お母さま登場! エミリアside

久々の更新になってしまいました。

今日は、お母さまが我が家に夜会の衣装の打ち合わせに来る日だ。


リカルドは仕事を休めないとかで、名残惜しそうに出勤していった。・・・うん。リカルドはお母さまが大好きなのだ。『憧れの貴族像』らしい。


まぁ、なんだろう・・・リカルドって、7歳まで庶民として育ったのを、口には出さないが、めっちゃ気にしてる。だから、貴族らしくってのを、すごく意識していて、そのお手本になってるのが、お母さまなのだ。


うん、わかる。わかるよ。


我がお母さまながら、お母さま程、ナチュラルに優雅で品がある人はそうはいない。洗練されてるし、センスも良いんだけど、おっとりでゆったりで嫌味がない。


簡単に言うと、育ちが良いんだと思う。


まぁね、お母さま、侯爵家の生まれだし。


見習うなら私でもいーじゃん、ってふざけて言ってみた事がある。・・・まぁ、冷笑されたよね。しかも、ものすごーく冷たいやつ。いやいやいや、私だって生粋の貴族のご令嬢っすよ?まぁ、変な記憶がありますけど。


だってさー、貴族かどうかなんて、生まれで決まっただけじゃない?そりゃあ、『貴族に生まれたからには責任がある』とか言うのは、私でも分かるよ?でもさ、態度とか振る舞いとかさ、そういうのは、ひどく失礼じゃなきゃさー良くない?って思うんだよね?だって、貴族なんだもん、らしくってナニ?らしくなくても貴族じゃん?そう生まれちゃったんだし。

だからさ、緩くいこーよ。リラックスだよーって言いたかったんだけどさ、分かって貰えなかったみたい。


ま、リカルドは努力大好き人間だからさ、仕方ないのかも知れないけど。でもね、リカルド程完璧なマナーの人なんて、そう居ないんだよ?そろそろ、コンプレックスから解放されて、ノビノビいけばいーのになぁ・・・。


でも、リカルドとお母さまが仲良しなのは、私も嬉しい!・・・リカルド、お母さまの為に、話題のお店でお菓子を買ってきたんだって。本当は一緒に食べたかったんだろーなぁ・・・。まぁ、私とお母さまとリチャード様で食べちゃうけど。


ちなみに、マナーや振る舞いに関しては、リカルド曰く、私とリチャード様は問題外。お父様はガサツすぎ、お兄様は高慢すぎ・・・だ、そう。


まぁ、わかる。

ちょっと『お兄様に言い付けてやる』と言う意地悪心も湧きますが・・・私はリカルドには激甘だからね、そんな事はしないのだよ。


・・・それにしても、衣装の打ち合わせかぁー。


リカルドには真面目にやれと言われたが、正直、夜会の衣装はどーでも良い。・・・どうせ、よく分からないのだから、お母さま任せでオールオッケーなのだ!


うん、ソッコーで終わらせよう。


お母さまとは『デジ甘』の新刊を語り尽くさねば!!!

しかも、今回はリチャード様も参戦する・・・あ、ロイド様もハマってるけど。


これは、もう盛り上がる予感しかありません!!!


◇◇◇


「エミリア、リチャード、ごきげんよう。」


昼過ぎに、お母さまがお屋敷にやってきた。

私は嬉しくて、ご挨拶もそこそこに、お母さまに飛びついた。


「お母さま!お待ちしてました!」


「まぁ、エミリア。母さまもよ?」


後ろから、リチャード様とロイド様もやってきた。あ、ロイド様とお母さまは初対面でした!


「あ、お母さま、こちらがロイド様よ。えっと、私とリチャード様の護衛で、鬼教官みたいな感じ?北の辺境伯のご令息らしいわ。」


「・・・エミリア、ずいぶん適当な紹介だな。・・・はじめまして、ユリア様。私はロイド・コーシーと申します。」


ロイド様は、お母さまに堅苦しい挨拶を始めた。

・・・ちっ、お母さまには『様』をつけんのか、凶悪ライオンめ。


「こちらこそ、はじめまして、ロイド様。お噂はかねがね。夫のエリオスからも、ロイド様のお話は伺ってましてよ。お会いできますの、楽しみにしていましたの。」


お母さまは、ニコニコとロイド様のご挨拶に答えている。・・・ロイド様はなんだか照れてるらしく、真っ赤だ。まぁ、お母さま・・・すごく可愛いからな。お母さまってお顔も可愛いんだけど、なんだろう雰囲気?が可愛い。だから、年齢的にはだいぶいってるけど、好意を持たれがちなんだよねー。・・・まぁ、嫉妬深く腹黒いお父様を、敵に回したい奴なんて居ないから、言い寄られたりはしないけど。


「ねー!ユリア!・・・僕にご挨拶は?」


リチャード様が、わざと邪魔をする。リチャード様はいつだってロイド様に意地悪だ。

お母さまに照れるロイド様を横目に、お母さまに近づき抱擁を交わす。・・・まぁ、わざとやってる。


「リチャード、お元気でした?」


「もちろん、元気だよ。ユリアは?」


・・・そう言って、やたらと近い距離で話すリチャード様とお母さまは・・・正直、とても絵になる。まるで、セットで売ってるお人形さんみたい。リチャード様が美人系なら、お母さまは可愛い系なんで、とってもお似合いなのだ。


幼馴染だけあってか、二人は仲が良い。・・・ゆったりしている二人は、いつもふんわり、ほのぼのな空気感を漂よわせている。


ロイド様は、その様子をポカンと見つめている。


あ、なんか・・・疑ってますね?

仲良いですからね、お母さまとリチャード様は。

・・・でもこれ、普通ですから、慣れて下さいね。


なんだろう・・・最近、実感したのだけど、私たちはどうもスキンシップ過多らしい。多分・・・いや、確実にお父様のせい。お父様に害されて、こうなってしまったのだと思う。


私たちってのは、スチューデント家とリチャード様だ。・・・リカルドは、お父様から、あんまり食らってないからか、セーフ。


私たちは、お父様の執拗なスキンシップのせいで、抱きついたり距離が近いのに慣れてしまっている。・・・おかげで、私たちも、嬉しかったり、心配だったりすると、ついつい抱きついたり、抱きしめたりしてしまう。・・・うん、ヤバいよね。


まぁ、一番ヤバいのは、そんな事しなそうなのに、ついやっちゃうお兄様なんだけどね。・・・リカルドは、一緒に居るからか、結構抱きつかれているらしい。それに慣れてきてるリカルドも、そろそろ末期だ。


そんな訳で、最初の頃は私とリチャード様の事すら疑っていた。

ロイド様から見ると、異様に仲良しで、くっついている様に見える私とリチャード様は、実は浮気でもしてんじゃない?って思ってたみたい。


まぁ、中年にしてはなかなか美形なリチャード様だ。分からなくもない。・・・でもね、中年だよ?ない、ない、ないって。リチャード様だって、私なんか赤ちゃんの頃から知ってるし、全然無しだろう。そもそも、すげー美女ですら、選り取り見取りのモテモテ男ですからね。


まぁ、その疑惑は三日くらいでハレた。・・・『お前らはしょうもない双子みたいなモンなんだな』って、呆れた様に言われた。・・・ええっ・・・どう言う意味?中年と双子なんて、酷すぎだろ?・・・リチャード様が泣いちゃうから言わないけどさ、私はかなり傷ついたよ。


「リチャード、ご婦人に対して、距離が近すぎないか。」


ロイド様が嫌そうに、苦言を呈した。


「はぁ?ロイド?・・・僕は常に、ご婦人方とはゼロ距離だよ・・・てか、マイナス???・・・でもね、ユリアとはそんな事してないよ?」


「リチャード!ユリア様に失礼だろう?」


リチャード様の下ネタ発言に、ロイド様は怒り気味に言う。ゼロはともかく、マイナスは無いだろ・・・あからさますぎだ。堅物ロイド様の怒りに触れない訳がない。


「・・・ユリア、僕は失礼なのかい?」


リチャード様はキョトンとしている。・・・うん、よく分かってなくて言ったな、あれ。


「リチャード?貴方は子供の頃から、ずっと失礼な方よ?」


お母さまはふんわりと微笑み、リチャードに答える。

・・・安定のお母さまだ。お母さまは、リチャード様にふんわり、おっとりだが容赦ない。


お母さまの発言を受けたロイド様は、リチャード様を睨めつけている・・・ああっ!もう!


もー、こんな事をしている時間はないのだよ!


私はさっさと打ち合わせして、『デジ甘』談義に花を咲かせたいのだ!やめ、やめ、やめー!


「お母さま、リチャード様、早く打ち合わせしましょう!リカルドが有名なお店のお菓子も買って来たんですよ!」


私はそう言って、みんなをサロンへと促した。





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