表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/134

呪いの人形 リカルドside

今回は少し短め。新婚夫婦の夜の寝室でのお話。

今日はいつにも増して、仕事が忙しかった・・・。

少し遅くなって、屋敷に戻るとエミリア達はもう就寝したと言われた。


・・・この時間だ、仕方がない。


・・・食事を済ませてシャワーを浴び、寝室に向かう。


あーだるい・・・。


エミリアを起こさないように、そおっとベッドに入り目を閉じる。

・・・ああ、すげー疲れた・・・。長椅子で寝るより、やっぱベッドは気持ちいいな・・・。


そう思って、静かに体を横たえると、まるで溶けていきそうだった。


「リカルド・・お帰り。」


エミリアに声を掛けられ、ハッと目を開ける。

・・・速攻で、寝落ちしそうだった。


「ただいま。」


そう言って隣にいるエミリアを見つめると、目が合う。エミリアはすこしくすぐったそうに笑った。


・・・可愛い。


・・・今夜も、うちの奥さんは、とっても可愛い。


あー・・・寝ようと思ってたけど・・・どうしようかな・・・。


・・・エミリア・・・。


思わず抱き寄せようと手を伸ばす。

なのに、エミリアは俺の手をヒラリとかわして、ベッドから降りてしまった。


・・・え???


おれが、呆気にとられていると、エミリアは、ベッドの横のテーブルから何かを取り出した。


「じゃーん!見て!コレ、今日ねリチャード様とロイド様と作ったの!リカルドにあげるね!」


そう言って、俺にエミリアは『呪いの人形?』を手渡した。


・・・えええ・・・何コレ。怖いんですけど・・・。

その人形は、茶色の肌で上半身に青い服を着ており、手足が5本もあって異様に目が大きく、真ん中にだけ白い髪が生えていた。


「・・・こ、これは?」


「アルベルトだよ?」


・・・???

・・・アルベルトはポニーだよな?


何で・・・上だけ服を着ているんだ???この5本の手足だと思っていたのは、前足と後足と尻尾なのか・・・???

ええ・・・何で馬が二足歩行っぽくなってんの???

人・・・みたいだよね、これ?ええ・・・こ、こわいんだけど・・・!


「な、なんでアルベルトは服を着ているんだ?」


「え・・・裸とか・・・エッチじゃない?」


「・・・アルベルトは・・・いつも裸だろ?・・・エミリアはアルベルトをそんな目で見てるのか?」


・・・ええ・・・だとしたら、ひくんだけど。

馬って常時裸だよね?鞍ぐらいはつけるけど・・・。

それがエッチって、どんな見方してんだよ・・・!?


・・・俺の奥さん、大丈夫か???


「えええ・・・なんでリカルドまで、そうなるの?アルベルトは馬だから服を着てないのは当たり前でしょ?どうして裸とか言うのかな?・・・でも、お人形は・・・お洋服着せたくない?裸じゃ可哀想じゃない?」


「いや、人ならな???・・・アルベルトは馬だし、しかも・・・上半身だけ服を着せるとか、どういう趣味だよ?!」


「え・・・・?・・・いや、上半身だけでも、おかしくないよね???」


「いや、変だろ。俺やお前が上半身しか服着てなかったら、大問題だろ?」


・・・おかしいよな?!人形に・・・馬だけど・・・上半身しか服着せないとか、変態だろ?売られている人形(ビスク・ドール)はみんなお洋服をちゃんと着てるだろ???・・・えー・・・何でそんな事思い付いた???

ええっ???・・・まさか・・・エミリアって実は、そんなマニアックな趣向なの???

・・・俺は無理だぞ、それ??


「!!!・・・リカルドの変態!どうしてそうなるの?」


・・・はい?


・・・どう考えてもド変態はエミリアだろ???なんで・・・俺???・・・何で怒られてんの?


あ。・・・あの格好に深い意味は無いって事か???・・・いやー、それはそれで問題なんじゃ・・・?だって、この格好・・・どう見てもヤバいだろ???


・・・これが変じゃないと思うなら、・・・エミリアの感性が相当な変態なんじゃ・・・???


「・・・いや、いや。コレ作ったの、エミリアだろ?・・・相当な変態はお前だろ?」


「だーかーらー!そういうのだよ!!!何で私が変態になるのかな?変な目で見るからそうなるんだって!!!・・・もう、リカルドまで、アルベルト人形をいやらしい目で見るなんて、許せない!!!」


そういうと、俺の手から『呪いの人形?(アルベルト?)』を取り上げ、プンスカと布団にくるまってしまった。


・・・えー・・・だからさ・・・何で・・・。


仕方ないので、俺もベッドに横になる。

エミリアの背中からは、ものすごい近寄んなオーラが滲み出ていた。


「・・・エミリア・・・なんかゴメン。」


声をかけてみるが、無視だ。


・・・まぁ一生懸命に作ってくれたのだろう。なんか気持ち悪い人形だったが。それをけなされたのだ・・・面白くなかったのかも知れない。・・・全く持って、エミリアのセンスは理解できないが、良いと思って作ったんだろうしな・・・あれでも。


「もう・・・いい・・・リカルドになんか・・・あげない。・・・お兄様にあげるわ・・・。」


エミリアは少し籠った声でそう言った。


・・・え。


ま、じ、で。


あの、不気味で卑猥な人形をユリウス様にあげる気だと???


「・・・いやぁ・・・ユリウス様もさすがに・・・。」


俺は必死で、自分の仕える魔王に被害が及ばないようにしようと、取りなそうとした。


エミリアは俺の方を振り返り、俺を睨む。目には涙が溜まっている。


・・・えええ・・・泣かしちゃったんですけど・・・俺。


「お・・・お兄様もいらないって言うって事?」


「・・・そ、それは知らないけど・・・。」


・・・どうしよう。エミリアが可愛い。

でも、相当に怒ってるから、抱きしめたりしたら、さらに怒ってしまうだろうな。

けど・・・ウルウルとした目で睨まれると・・・これは・・・たまらない。


でもなぁ・・・あの人形は無い。・・・無いよな。

気持ち悪いし、変態ぶりがハンパない。


「だって・・・リカルドは・・・要らないのでしょう?」


・・・正直、要らない。・・・確実に、ユリウス様だっていらない。・・・欲しいと言う人が思いつかない。


でも、エミリアは抱きしめたい。


・・・もはや俺は眠くない。・・・問題は、エミリアのご機嫌だけだ。


・・・。


仕方ない・・・。


「嬉しかったんだけどさ・・・俺、馬は全裸派だから・・・。」


俺がそう言うと、エミリアは嬉しそうに、にっこりと笑った。


こ、これは・・・いい感じにご機嫌がなおった?


・・・で、では、早速・・・。


そう思って、俺がエミリアに手を伸ばそうとすると、エミリアはまたしてもヒラリと俺の手をかわし、ベッドから飛び降りてしまった。


・・・はい???


エミリアは、『呪いの人形?(アルベルト?)』を握りしめ、俺に笑顔で言った。


「朝までに、服は脱がしておくね!!!先に寝てて!おやすみなさい、リカルド!!!」


そう言って、寝室の手前にあるソファーや机などが置かれている部屋に、いそいそと行ってしまった。


・・・。

・・・ええ???

えーっ!!!


その日、とても残念な気持ちで眠りについた俺は、翌朝、枕元に置かれた『呪いの人形?(アルベルト?)・改』を手に入れることになる。上半身のみの服が無くなった事で、変態度は下がったが、二足歩行しそうな馬?は非常に気味が悪かった。


そして、仕方なくそれを持って出勤した俺は、魔王にその人形について愚痴り、面白がった魔王によって、その人形は俺の執務室の棚に飾られる事になる。


・・・いつの間にかその人形が『魔除の人形』だと噂される様になり、祈願に人が訪れるまでになったのは・・・また別のお話。


そして、その気持ち悪くて変態な人形を、父上とロイド様も持っていると知るのは・・・まだ少し先の話。





二人のすれ違いの解説?ネタバレ?は次話にて!・・・まぁ、ご想像どおりです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リチャード・エミリア・ロイドの
獣人転生IFストーリーの連載をはじめました!
「怠惰な猫獣人にも勤労と納税の義務はある」
よかったら、こちらもよろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ