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エッセイ

飛行機

作者: 柊 紫音

 この間、実家に帰るために、生まれてから何度目かの飛行機に乗った。三度目だろうか。毎度のことながら地面を離れる瞬間は緊張する。鹿児島空港にはたくさんの光が燈っていて、最後に見る景色がこれでもいいかもしれないな、とかぼんやり思っていた。そんな心配はよそに飛行機は無事に離陸し、これまた幻想的な「空の上」を見せてくれた。


 初めて飛行機に乗ったのはいつだったかと考えてみる。どうやら中学3年のとき、修学旅行で沖縄に行ったときのようだ。当時、飛行機に乗ったことのある生徒は270人ほどいる学年の中で、片手に収まるほどの人数だったのではないだろうか。そんな「田舎者丸出し」の私たちは幼さもプラスされ、ジェットコースターに乗るごとく興奮していた。飛び立った瞬間のどよめき、歓声や拍手は忘れられない記憶として残っている。

 次に飛行機に乗ったのは高校の修学旅行、マレーシアに行ったときだ。もちろん初の国際線である。ホーチミンの空港でトランジットもした。「トランジット」というよくわからない響きにわくわくしていた。ドキドキと保安検査を通り、パスポートを見せて、無事に飛行機に乗ったと思ったら今度は機内食。「Beef or Fish?」という質問に「びーふ」と片言の英語で答えたのもいい経験である。


 もう飛行機に乗ることは無いかと思っていたら、大学生になって鹿児島へ行くことになってしまった。帰省のたびに飛行機を使うのだろう。身近な乗り物になってしまう残念さと、「空の上」がそれなりの頻度で楽しめるという興奮が入り混じった複雑な気分だ。

 夜景が見れるのは悪くない。むしろ最高だ。夕方の便に乗ると日が暮れ始めるころに離陸する。「空の上」では紅い線が引いてあるみたいになっていて美しい。こんな夕焼けもあるのかと感嘆の溜息をもらす。

 ただなんと言っても格別なのは、着陸態勢に入るくらいから見え始める神戸の夜景だ。ライトアップされた明石海峡大橋を上から見るのは圧巻である。息をするのも忘れて食い入るように窓の外を覗き込む。私の住んでいる街はこんなにも美しいのかと嘆息する。


 関西弁の飛び交う到着ロビー、右側にきちっと整列して乗るエスカレーター。ああ帰ってきた。喜びを噛みしめポートライナー連絡口へと足を向ける。

「ただいま、神戸」


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