五話 青年は本気を出してしまいました〜
僕は青年パーティーが受けたゴブリン討伐依頼に後ろからついて行く、朝早く出発して依頼主がいる町に到着したのはお昼過ぎてからだ。
(意外に近いですね。)
青年パーティー達は依頼主の町長から話を聞きゴブリンの根城があると思われる森へと向かって脚を進める。
根城に向かってる道中幾度が数匹のゴブリン集団と遭遇するもパーティーの連携で各個撃破。
(女神官と女罠士は流石ですね。)
僕は素直な感情を言葉にする。
そう、青年がパーティーメンバーに加入する前までは新人の頃から二人でパーティーを組んでたらしく、流石はC級冒険者パーティーに昇格してるだけの実力があった。
それに比べ青年は実力を出せてない、むしろ女神官と女罠士の連携を崩してるように僕からはそう映る。
(経験の差ですか…………)
青年は一人での狩りや模擬戦、知識があっても常に一人、パーティーとして行動するのは今日が初めてなわけで、勇者パーティーと同行してる時もパーティーで動き方を教わってない。
『パーティーによって連携が違うから今後、青年とパーティーを組む人に合った形をしなさい。』
勇者パーティーにそう言われたからである。
女神官と女罠士は青年の方をみてため息をつきながら、
「連携が出来てないぞ」
「そうですね、少しづつパーティーの連携に慣れて行きましょう。」
「すみません……」
「大丈夫なのだ」
青年冒険者は注意、慰めをうけている。
僕は青年冒険者パーティーを眺めながら、誰にも聞こえないフォローを入れた。
(まぁ、初めての実戦ですからね。)
暫く青年冒険者パーティーについて行くとゴブリンの根城近くに辿り着いた。
こんな所にゴブリンは根城を造っていたんだね、町から歩いて二時間程の距離である。
(やっと着きましたね。んっ?これは……)
僕は根城がある洞窟の奥の方に意識を鋭くし気配を確かめた。
(面白い事になりそうですね。)
青年冒険者パーティーの方に視線を戻し呟いた、ゴブリンの根城から感じる気配は普通のゴブリンではなく、それ以上の強い気配を感じたからである。
これは、ゴブリンジェネラル、ゴブリンメイジがいますね、更に奥にゴブリンジェネラル、ゴブリンメイジ以上の気配を感じとる。
(いますね……これは間違いなくゴブリンロードですね。)
通常ゴブリンロードはA級冒険者パーティーが数十いないと討伐できない、S級パーティーでようやく討伐出来る災害級の魔物、しかも青年パーティーはC級パーティーで逃げる事も通常なら不可能である。
しかし、そんな事を青年冒険者パーティーは気づいていない、岩陰で作戦内容を確認している。
(これは楽しみですね。)
青年冒険者パーティーはギリギリゴブリンジェネラル、ゴブリンメイジを退けた。
(どうやら逃げる事を選んだみたいですね、しかし、簡単に逃げ切れるでしょうか?)
ゴブリンロードが青年冒険者パーティーを追いかける。
青年冒険者はパーティーの連携がとれず諦める。
そして女神官、女罠士を岩陰に退避させる。
青年冒険者ゴブリンロードと対峙して数分で倒した。
(やはり使いましたね、召喚魔法、上位魔法といい時知らずの収納魔法これぞチートですね。)
女神官と女罠士がモゾモゾしている主に下半身に手を当てて。
(あれは漏らしましたね、いいえ漏らしてますね。おや?青年冒険者は気づいていないふりですね。)
青年冒険者パーティーはゴブリンロード率いるS級魔物を討伐した、簡単に……これから冒険者ギルトに報告するためにギルトに向かう。
青年冒険者はS級魔物を討伐した事で初の依頼でS級に昇格し女神官と女罠士と結婚した。