7話 ボス?
「っ!?な!なんだ?」
「ああー。知らないうちにボスエリアに入ってしまったのね」
話していると、奥の方から、狼が現れた。狼とは言ったが、身体全体を見るとなんとなくわかる程度だ。顔は狼に角が生え、たてがみがある。身体も狼をベースに所々甲羅に覆われており、肩のあたりから尻尾にかけて青い線が入っている。そして尻尾は、先の方に行くほど毛が鋭く尖っていた。
何というか、とても迫力がある。画面を見てボタンをポチポチしていた頃とは大違いだ。
「ぐ、グラン 、 ヴォルフ…」
サナが呟いたそれはそのボスモンスターの名前だ。赤い線で囲まれているところより外へは出られないようだ。どうやら戦うしかないみたいだ。グランヴォルフのHPゲージは三本ある。
俺たちがそれぞれ自分の武器をむけると、待っていたかのように吠えた。
『ウオオオオーーーン』
グランヴォルフはそのまま真っ直ぐに突っ込んできた。
「っ!」
「避けろ!」
俺が指示して回避すると二人もそれぞれの方向に回避した。一旦距離を取り作戦を練る。
「最初は回避に専念し、行けると思ったところ全員で攻撃してくれ!」
「うん」
「分かりました」
これまでの戦闘で指示は俺が出すと決めていたので、二人ともしっかり頷いてくれた。
グランヴォルフは今のところ突進、回転、前脚攻撃、尻尾攻撃くらいのようだ。
たまにくる回転と尻尾攻撃さえ気をつけておけば他の攻撃はある程度なら耐えられる。それに前脚攻撃をした後は少し間、次まで時間があるのだ。まだこれ以外にも攻撃方法はあるかもしれないが大体の情報は集まったので、二人に指示を出す。
「ユイはボスが前脚攻撃をしてきたら側面に回り腹部を攻撃、サナは相手が怯んだり疲れを見せたら攻撃それまで、ポーションでみんなのHPを管理してくれ!」
「了解!」
「了解です!」
その指示を出した後俺は【身体強化】のアーツ〈瞬足〉を発動させてグランヴォルフの背後に回る。
アーツはどのスキルにも必ずあり、レベル5ずつに使えるアーツが増えていく。〈瞬足〉は一瞬だけが速くなるアーツだ。だがアーツは大抵強いものを使えば使うほどクールタイムがあるので連発はできない。
刀で後ろから尻尾を切り裂く。といってもゲームなので傷は少ししたら治るが。
NWOには一定以上のダメージが入ると部位破壊や特定の位置(尻尾など)の切断がボスクラスのモンスターにはできるところがある。できた場合高確率でダウンするのでNWOではまず一つの場所を重点的に攻撃するのである。
と、太陽が言っていた。
だから、俺はヒットアンドアウェイで尻尾を攻撃していく。刀のアーツや【見切り】などを発動させて戦う。
時々サナやユイが怯ませたりダウンさせたりしてくれるので効率よく攻撃できた。
ある程度攻撃がパターン化してきた後、尻尾を切断させすことが出来た。
その後、ダウンすると思っていた俺たちは攻撃しようと前に出たが
『ウオオオオオオーーーン』
グランヴォルフが吠え、吹き飛ばされた。
見ると、HPゲージがいつのまにか残り一本になっていた。
グランヴォルフが青白く光っていて、目が黒かったのが赤くなっていた。
「第2ラウンドか!」
グランヴォルフの纏っていた青い光が尻尾に集まっていた。
「逃げろ!」
「っ!?」
あれはやばい。ガチでやばい。俺の見切りのスキルが頭の中で警報を鳴らしていた。まあ、なくても分かると思うが。
俺たちが回避すると同時にグランヴォルフがこっちに飛びかかってきて一回転すると尻尾を地面に叩きつけた。
どっかーーーーン
地面がめっちゃえぐれてる。あんなん食らったらひとたまりもなさそうだ。
それに風圧や飛んできた石でダメージを受けた。HPゲージの3割削られてまい、残り3割しかない。サナやユイも同じ感じだ。
ポーションで回復しようとするが、次は前脚に光が集まり出していた。
「あ!やべ」
どっかーーーーン