リナリア―『この恋に気づいて』
体調を崩して更新が遅くなって申し訳ない
そんなわけで星花プロジェクト、2話です。
私の中に芽生えた、『恋』という感情。
それは、日常の中に確実に爪痕を残していく。
授業中に、窓の外を見る時間が長くなっていたり。
恋愛小説を読んでいるときに、頭の中で勝手に邑先生と私に置き換えて想像してたり。
邑先生と通りかかって挨拶するだけで、心臓がスポーツでもしたときみたいにドキドキしたり。
……なんて、また、邑先生のことばかり考えてる。『恋』って、本当に、不思議だ。
邑先生は、何が好きなんだろうか。
邑先生は、笑ったらどんな顔になるんだろう。
邑先生は、誰かに恋をしたことあるんだろうか。
邑先生は、私のこと、どう思ってるんだろう。
答えは全部、私には分からない。だって、まだ、邑先生のこと、全然知らない。
好きな人――邑先生のこと、もっと知りたいって、自然に、でも強く思う。
また、窓の外を見てしまう。私らしくないな、授業に集中できないなんて。
空は青く澄み切っているけれど、それよりも土埃にまみれた薄汚れた青いツナギを着た邑先生のほうに心が惹かれる。
遠くから眺める邑先生の姿は、相変わらず凛々しい。例えるなら、荒れ地に咲く一輪のスミレ。
クラスメイトの太刀川さんも、傍目から見たら十分――立ち振る舞いだけで周りから黄色い声が上がるほど――凛々しいのだが、邑先生にはきっと敵わないと、私は思う。そう思うのは、きっとこの学校で私だけ。
チャイムの音で、意識が急に教室の中に向かう。
何やってるんだろう、私。邑先生のこと考えてると、頭がそれしか考えられなくなって。
いけないってわかってるのに、どうしても邑先生の顔が頭に浮かんでしまう。
……はぁ。
知らぬ間に漏れていたため息。届かない想いに、こんなにおかしくなってる私に。
どうして、こんなに好きになってしまったんだろう。
そんなこと考えながら、廊下を歩いたのが間違いだった。うっかり、誰かにぶつかってしまったのだ。
「わ、す、すみません……っ」
目の前の顔を見て、――一瞬で胸から心臓が飛び出そうになる。だって、ずっと胸の中に浮かべていた人だったから。
「ふふっ、全く、馬鹿だなぁ……」
そう言って、邑先生は、微かに頬を緩ませた。
微笑というか、嘲笑というか、とにかく普段表情の変わらない邑先生のそんな顔。それを見てるのは、きっと私だけで。
「し、失礼しましたっ!」
熱くなった、鏡を見なくたって赤くなったとわかる頬を隠すために、気が付いたら走っていた。
中庭で息をつく。胸の奥の高鳴りは、走ったからなのか、邑先生の笑った顔を見たからなのかわからない。
そう思わせたくて、本当はどっちかなんてとっくのとうに心は分かっている。
邑先生のことを想って赤く染まった顔、きっと見られてるよね。だったら、――
この溢れんばかりの『好き』って気持ちも、邑先生に伝わればいいのに。
そんな不埒なことを思うくらいに、私の心は狂わされていた
いきなりカテラン入れさせてもらってありがとうございます。
大学も春学期末が近いので更新がまばらになりそうですが気長にお待ちください。