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咲いた恋の花の名は。  作者: しっちぃ


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18/25

ポインセチア―『私の心は燃えている』

今日で連載1周年です(もうすぐ終わるけど)

『せっかくの青春なんやし、楽しまな損やで?』

 上の空になりかけながらも、なんとかしのげた5限の授業のあと、携帯を開くとマノン先輩からこんなメッセージが来ていた。

『ありがとうございます、頑張りますね?』

 そう打ち込んで送信ボタンを押した、その瞬間にため息が零れる。

 先輩たちに背中を押してもらったのに、いざ踏み出そうとすると、また足がすくむ。

 邑先生のこと、知りたい。そう思って楓さんに訊きにいく前と、状況はそのときと全然変わってない。

 溢れそうな感情が見せる、生々しいくらいに邑先生と溶け合う夢も、いつ爆発するか分からない衝動も、邑先生を想う度に、跳ね上がる鼓動も。

 いっつも慎重になりすぎるのは、私だってよく分かってる。でも、それくらい、本気で好きになってるから。失ってしまったら、私の中が全部空っぽになって、私が丸ごと消えてしまいそうなくらいの気持ち。

 誰かに恋するって、そんなものなのかな。そんなことを思案していると、帰りのホームルームはとっくに終わっていた。

 恋について考えたまま、自然と足が図書室に向かう。きっと、そこの雰囲気も、他の誰かの人生を見れるってことも、好きだから。

 一番好きな作家さんの棚には、まだ読んでない本が3冊もあった。最近、図書室に行けてなかったからな。生徒会の仕事も忙しかったし、何より邑先生のことが、頭の中に浮かんで片時も離れなかったから。

 体育祭の準備も、中間試験も、もうちょっと先だから、このうちに読んでおこうかな。その三冊を持ってカウンターに向かうと、水藤さんの顔が見える。その顔は、ちょっとだけ明るいような気がする。かおりちゃんが水藤さんの部屋に泊まりにいくときみたいな、ふんわりした笑顔。

 貸出手続きに使う学生証と、その本を渡すと、「お久しぶりね」って声を掛けられる。

「ちょっと忙しくて」

「生徒会ですもんね、大変ですね」

 そんな風に笑いながら、あっという間に手続きを済ませてくれる水藤さん。

 もし、恋が叶ったら。私はこんな風に、明るく笑えるようになるのかな。かおりちゃんや、水藤さんみたいに。

 部屋に戻っても、どうせ邑先生で頭がいっぱいになってしまうだろうから、図書室で本を読むことにする。自習をしている生徒たちのいないスペースに荷物を置くと、目の前に、見知った顔を見つける。同じクラスの赤石さんと目が合って、なんとなく逸らす。

「あ、そうだ、……江川さん、面白いこと、教えてあげよっか?」

 小声で言われたその言葉に、なぜかノーとは言えない自分がいた。

同じ1年かかったのは12万文字書いてるのにどうしてこんなに差が付いたか

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