探偵物語~第三章おかしな証言
その先生の話によると社会科の遠藤は
わからないが、国語科の田中と体育科の須藤は
明らかにおかしな証言をしているらしい
話を聞くと確かにおかしな事を言っていた
まず
その日、数学の先生は休みだった
その事は、国語科の田中自身が職員会議で
伝えたというのだ
つまり、田中は数学の先生がいないのを
知っていたのに会いに行こうとしたと
言うことになる
次に須藤のどこがおかしいというと
この学校では、絶対にありえないと言われた
学校の構造を聞くとすぐに納得した
この学校は二階建てで
音楽室は二階の端にあった
確かにたまたま通りかかる場所ではない
遠藤の不思議な点は特に感じなかったが
強いてあげるとするなら
社会科の授業で理科の実験道具を使うのか
私の経験上そんな授業は受けた事がない
少し考えてみるとおかしな証言ばかりだ
そして
直接ではなく他の先生たちにも話を聞いた
そうするとおかしなことはまだ出てきた
ひとつめは、田中が休むと報告したその日から
数学の先生は学校に来なくなったというのだ
二つ目は、田中と数学の先生はあまり仲良くなかった
三つめは、須藤は音楽に全く興味がない
四つめは、なくなった絵はベートーベンなどの
偉人の絵ではなく、生徒が書いた絵だったらしい
いくつもおかしな事が出てきたが
遠藤についてはひとつもおかしな事が
出てこなかった
そこが逆におかしな気がした
私はゆっくりと考え
これはただの窃盗事件ではないのでは
ないかと考え
ひとつの仮説をたて始めた
つづく